[ま]飲酒と死にたくなる気持ち @kun_maa
昨年まで飲酒が続くと死にたくなる気持ちや、消えてしまいたくなる気持ちが顔を出してきて、その度に「もう酒やめた」エントリをブログに書いては実際に禁酒もしてきた。
禁酒をするなら炭酸水がとっても効き目があるなんてことも体験してみて初めて知った。甘くない炭酸水はビールを飲みたい気持ちを抑制してくれる代替品。
ただ、せっかくアルコールを断っても喉元過ぎればなんとやらってやつで、いつの間にかこれくらいならいいだろうと勝手に決めて飲酒を再開しては次第に量が増えてまた死にたくなって禁酒を再開するというダメ人間の典型のようなことを繰り返してきた。
今年の夏はビアバーやビアパブでのクラフトビールひとり飲みにすっかりハマり、また禁酒を破っている。多い時は週3回ペースでビアバーなどに入り浸る生活。
調子に乗った時はひとり飲みなのに翌日二日酔いなんていうバカなの?って思うようなこともある。明らかに飲みすぎだ。
ところが不思議なことにクラフトビールにハマった今年の夏は、たとえ二日酔いになって後悔したとしても死にたいと思ったことは一度もない。
僕は相変わらず毎日抗うつ薬や抗不安薬、眠剤を服用しているのでどの薬もアルコールとの併用は不可である。主治医には気晴らしに少しくらいなら飲酒しても構わないとは言われているものの基本的にはNGである。それは昨年も今年も変わらない。薬の種類も量も変わっていない。
飲酒が過ぎると死にたくなるのは、ずっと薬の効き目にアルコールが悪影響を与えているからだと思っていた。僕は医師でも薬剤師でもないので薬の説明書にアルコールとの併用禁止と書かれているそれを否定することはできないのだが、今年の酒量を考えるとどうやらそれだけが理由だったのではないような気がしてきた。
これまでとクラフトビールにハマるようになってからでは何が違うのか。
ざっくり言ってしまうと、以前は酔うために飲酒をしていたが今はビールそのものの味や風味を楽しむために飲んでいるということである。
極端なことをいえば、以前は酔っ払ってハイになれればなんでもよかった。酔うことが目的だったから。もちろんまずい酒は嫌いなので最初は味わいもするが、最終的に酔っ払っておかしくならない飲み方は意味がないと思っていた。酔っ払ってなんぼみたいな感じ。
だが、酔っ払うことを目的にした飲酒は薬物乱用と同じで、ハイになっているときは嫌なことを忘れることができて楽しいが醒めた時の反動も激しい。アルコールが醒めた時の反動である極端な無気力と忘れるどころか増幅された嫌なことたちが、僕を消えてしまいたい、死んでしまいたいという方向に向かせていたように思う。
ところがクラフトビールの魅力にとりつかれてからはそうではなくなった。飲んだことのないビールをじっくりと、そしてよりたくさん味わうためにむしろ酔いすぎないで飲むことができればそれに越したことはないとすら思うようになっている。酔うことはもはや目的ではない。
酔って嫌なことを忘れてバカになることが目的なのではなくて、ビールそのものを愛でるように味わうことが目的となっているのだ。
だから自分のペースで自分と向き合いながらビールの味わいを楽しめて、お店の人や他のお客さんからビールのことを学ぶ機会も多いひとり飲みにハマっているのだ。
友人から「せんべろ」(千円以内で酔っ払う飲み方)への挑戦を勧められたりもするのだが、以前の僕ならまだしも今の僕には正直興味がない。それよりもまだ出会ったことのない美味しいビールを見つけて、じっくりと向き合ってみたいのだ。
そんなふうに飲酒自体に求めるものが変わってから、僕は楽しくてつい飲みすぎたとしても以前のように味覚がわからなくなるほど飲むことはなくなったし、翌日死にたいと思うこともなくなった。嫌なことから逃れるために飲むのではなく、むしろ時にはひとりでビールに向き合いながら嫌だと思っている事柄について思いをめぐらせたりもする。何て前向きで建設的なんだ。自分で言うな。
最近の1回あたりの酒量としてはおそらく以前よりも少ないけれど、一週間、一ヶ月単位での酒量でいうと人生で一番飲んでいるかもしれない。
そして酔うことではなく、飲んでいるものや食べているものそれぞれにちゃんと向き合い、それ自体を五感で味わうことを楽しみとしている。これってある意味食べる瞑想に近い感覚だ。
僕はこういう楽しみ方に気づくのが遅かったのかもしれない。酔って忘れたいことがたくさんあるから。
そんな僕でもようやく美味しいビールに面と向き合って味わう楽しみを覚えたことで、飲酒をしても死にたくなることはなくなった。これはいいことだろ?って思っている。
いま気がかりなのは今年の人間ドックの数値だけである。
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