好きな店がなくなってしまうのはひどく寂しい。
もう二度とあの雰囲気の中で飲むことができなくなってしまうのかと思うと胸が締めつけられる。
Baby然り
Cariage然り
店がなくなっても人さえいれば別の場所でまた会える。
店としての箱は残っていても人がいなくなってしまうのはひどく悲しい。
あの人にもう二度と会えないという実感が僕の日常を部分的に欠落させる。
いわゆる友だちという関係ではなかった。
僕は客として彼は店長としてお互いいつも接していた。
馬鹿話をするときでさえどちらも節度は欠かさず敬語を使っていた。
自分で言うのもなんだけど僕は常に良い客だったし彼も常に良い店長だった...と思う。
一見謙虚そうに見えてその実、根拠があるのかないのかわからない自信満々で唯我独尊的な彼の言動に元気付けられたりムカついたりした。
仕事が嫌いと言いながらひとりでめっちゃ働いて客が増えて忙しくなると無表情になるのもおもしろかった。
気がつけばもうすぐ4年だった。
見送ったときの顔がやけにきれいで生きているようで僕は悪態のひとつもついてやりたかったけど(もちろん敬語で)
もうそれができないことがなんだか悲しかった。
新しいゲームを買ったのでいつものようにLINEで知らせたくなったけど
漫画の話やゲームの攻略法やクソゲー報告もできなくなっちゃったんだなって思い直す。
そういえばビールの話なんてあまりしなかったな。
ビール屋のくせに毎晩いいちこばかり飲みやがって。
後悔がないと言えば誤魔化しているみたいで
後悔にまみれていると言えばひどく大げさだ。
悲しくないと言えばなんか違うし
悲しくて泣きくれていると言えば大嘘だ。
僕は今日も静かに悼んでいる。