レディー・ガガのことはよく知らない。
いたるところで何度も耳にした「ポーカー・フェイス」のサビの部分や彼女の発信力・影響力の凄さや社会活動にとても積極的なことくらいはさすがに知ってるけれど。
映画館で観たある映画の予告編のライブシーンで「うわー!この人すごい迫力だなあ」ってグッときて惹かれたら、それがレディー・ガガで彼女の主演作品なのだということを後から知った。
この映画は映画館で観たいなって割と切実に思った。
そんなわけで今回は映画「アリー/スター誕生」なのである。
映画の最初の方、満員のライブ会場でジャクソンがアリーを引っ張り出して初めて歌わせたライブシーン(予告編で観て心を撃ち抜かれた場面だ)にはやはり鳥肌が立った。
ただ、僕にはそこがこの作品のハイライトだった。
どうしても作品世界に気持ちが入り込むことができなかったのだ。
アリーはジャクソンに見出されて成功する前からとてもじゃないけど内気で不遇な無名歌手には見えなかった。
レディー・ガガが演じているということを意識しすぎたのかもしれない。
それでもなんていうかもうどんなシーンも演じているガガのオーラというか自信というか魅力というか、そんな諸々が垣間見えてしまって自信のない無名の女の子には見えなくて無理があるよって思ってしまった。
鼻の大きさを気にしているようなセリフを聞いても余裕すら感じられて切実な空気は全く読み取れなかった。
逆にジャクソンとアリーの出会いのシーンでのアリーのライブパフォーマンスのどこにそんな急激にジャクソンが惹かれたのかがさっぱりわからなかった(そんな魅力的に描かれていたかな)。生意気な言い方をすれば別に普通じゃんと。
まあ僕に見る目がないと言われればそれまでなんだけど。
ふたりが恋に落ちて深く愛し合うようになっていく過程やアリーが成功して登り詰めていく姿やその高揚感のようなもの、ジャクソンが落ちぶれ挫折していく姿やその苦悩、アリーの親子関係やジャクソンの兄弟関係のいずれもあまりリアリティがなく薄っぺらく感じるのは人物の掘り下げというか描き方の基本的な厚みのようなものが足りないからなんじゃなかろうか。
なんてことを作品を観ながらずっと考えていた。
だからハイライトは件のライブシーンであって、そこから後ろに行くほど間延びしていくような感覚というか2時間15分は長いだろ...という感じになってしまった。
そんなわけで主人公ふたりの関係性などに感情移入できずあまり共感できなかったから、ジャクソンが死んでも全く琴線に触れることはなくその後の展開も「は?」ってなってしまったのが正直な感想だ。
もともと僕は登場人物の死をお涙頂戴的に演出されると興ざめしてしまう方なのだけど、泣きたくなる気配さえ全く感じさせない登場人物の死ってのはある意味潔くて良いよねってなった。嫌味じゃなくてさ。
ぶつぶつと感想を書いてきたけど様々な不満を補って余りあるほど映像は美しく魅力的で音楽は迫力があって刺激的で圧巻だ。
ガガはもちろんなんだけどブラッドリー・クーパーの歌声もすごくカッコいいから。
ストーリーとか人物の内面の掘り下げとかそんなことまあいいかってなるほど映像と音楽にやられたから、やっぱりこれは是非とも映画館で観てほしい作品ってことで何卒。
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