いつも涼しい顔をして強がっていた。
でもさ、つらい気持ちを抱えながら酔っぱらっても平気な顔して軽口なんかたたいているくせに本当は泣き上戸でからみ酒だった。
大好きな人が人がいてその人のことは本当にもう泣きたくなるくらいに好きで好きで仕方ないのにずっと気持ちを抑えて我慢している姿を見るのがとてもつらかった。
もう疲れたよなんてつぶやくのを聞くのが切なかった。
その人のことを本気で好きなんだなってわかっていたからそんな人のことなんてもう諦めちゃえばいいのにって何度も出かかった無責任な言葉を僕は飲み込んだ。
だからといってもう心が砕けそうになるくらい頑張っているのもわかっていたから「頑張れよ」なんて言えなかった。
それでもなんとなく放っておけなくて物想いに耽る姿を見つけるたびに冗談を言ったり大丈夫かよって心配したりすることだけしかできなかった僕に「あなたのことを好きになれればよかったのに」って言われたときに跳ね上がった自分の鼓動の激しさにやっぱり僕はこの人のことが好きだったんだなって思った。
その後も相変わらずその人のことを想い続けてほんの少しのリアクションに一喜一憂しながらすごす姿を横で見ている僕はまるで悪意なきストーカーみたいだなって思いながら、時折こぼれるうれしそうな笑顔にとてもホッとさせられたしそんな笑顔が見られるなら僕のことを好きになってくれなくてもいいから側で少しでも支えになりたいなって本当に思っていたんだ。
時々一緒に飲んで馬鹿話をしながら小突きあったりなんかしてさ。そんな時間は僕にはとても居心地がよかったんだよ。
それなのに僕はその後のふたりの結末を知らない。
その人に振り回される姿を見続けるのは自分が思っていた以上につらいことだったしそれは僕がどんどん惹かれていったのと無関係じゃなかった。
僕はそこから逃げ出したんだ。
昨日、偶然似ている人を街中で見かけてその頃のことを思い出した。
あの人と幸せになっていたらいいのになって思いながら少しだけ切なくなった。
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