僕が常に同じ僕であると言い切れる自信がない。アイデンティティの希薄さ。
僕なんてものは日々うつろい変わっていき昨日の僕は今日の僕とは別人である可能性を否定できない。
ましていわんや数週間前の僕などはすでに今の僕とは別人である。
数週間前の僕がいまの僕と同じ人間だなんて思わないほうがいい。
きみは僕に聞いたね。
初めて逢った時にいつからどんなふうにきみのことを好きだったのかって。
僕はできるだけ誠実にその時の気持ちを再現して答えようとしたし、実際にいまの僕がその時に感じていたであろう気持ちをきみに伝えた。
でもさ、やっぱり違和感が残るんだよ。
どんなにその時の自分に遡って自分の気持ちの欠片を拾い集めたとしても、その時の僕が実際に感じていた感情やときめきや動悸や興奮をいまの僕がその通りにきみに伝えることはできないんだ。
だっていまの僕はその時の僕とは別人なのだから。
いやいやそんなことはないでしょって、そんな無責任なことはありえないでしょってきみは思うかもしれない。
だけど現実にそうなんだよ。いまの僕は1ヶ月前の僕とは考え方や意見も違っている部分があるし、そうでない部分ももちろんある。
過去の僕とすっかり同じ僕はもうこの世界には存在しないんだ。
そんなわずかな出会いで恋に落ちるものかって、きみは不審に思うのかもしれない。
でも僕が恋に落ちたのは事実できみに逢いたくて逢いたくて毎日きみに言葉を送り届けているのも事実。
どんどん変わっていく自分自身の中でここだけは変わりたくないっていう芯みたいなものがきっと誰にでもあって、それは僕にもある。だからきみのことを愛する気持ちはずっと持ち続けているしこれからもそれは変わりたくない。
きみに恋に落ちた瞬間のことをその当時の自分の気持ちや感情やその他もろもろと一緒に完全に再現することは僕にはできないけれど、今の気持ちを伝えることは確実にできる。
正直に言うと最初に顔を合わせた時よりも僕はきみに夢中できみのことをどうしようもなく愛しているんだけど、そこに至る経過や感情の揺れを事細かに説明することはできない。
いや、説明しようと思えばできるけどそうやって出てきた言葉はすでにその当時の僕の気持ちそのものではなく、いまの僕が勝手に解釈して組み立て直したレプリカに過ぎないんだよ。
だから僕はきみの納得がいくような答えを用意することはきっとできないし、もし用意できたとしたらそれは所詮いまの僕がいまの僕に都合のいいように再構築した紛い物に過ぎないんだと思うんだ。きみに対してそんな紛い物を伝えることは僕の本意ではないし意味があることだとも思わない。僕がきみに伝えたいのは今の僕の気持ちなんだ。
日々心は揺れ動きうつろいやすく、同じ自分は存在しえないようなこの世の中で僕はどんどんきみのことを好きになっていく。それをその時々の僕の言葉できみに伝えたいんだよ。
1ヶ月間前の僕が思っていたきみへの想いといまの僕が感じているきみへの想いは全く違う。そして僕が僕であり続けることの希薄性の中で唯一保ち続けて大切に育てたいと願うきみへの想い。
だから過去の時点の僕の気持ちを確かめるなんて不毛なことはもうやめて、僕を信じて今を一緒に生きてくれないか。
きみと出逢ったことは僕にとって決して軽々しい出来事ではないし、何でもかんでもこの時点がターニングポイントだったんだなんて決め付けることはできないしそんなことに意味なんてないんだよ。
酔ってるな...
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