なかなかきみに逢えなくて......久しぶりに見たきみは少しやつれたようでそれでも笑顔は変わらずにいてくれて。
バーのカウンターで横に並んで座り、お互いに気持ちの壁なんて全く感じさせずに遠慮なくバカな話をして盛り上がる。ふたりでいるといくらでも話すことが尽きないっていいよな。
傷ついたきみが見せる笑顔がなんだか眩しくて、僕は無駄におでこを突いたり笑いながら悪態をついたりしたんだ。無駄口をたたいているようでいてふたりの間にはどうしようもなく心が落ち着ける信頼感と安心感が広がっていて、それは言葉尻を捉えただけでは誰にもわからないただふたりだけで共有している感覚。
僕はすっかり飲み過ぎちまって、帰り道できみをぎゅっと抱きしめキスをした。きみの体が微かに震えているのがわかった。
通り過ぎる人たちが僕らを見て何か茶化しながら遠ざかって行ったけど僕にはそんなことはどうでもよかった。ただ1分1秒でもきみと一緒にいたかったんだ。
きみの心に寄り添いたかったんだ。
帰り際に見送られるのが嫌いなきみに無理を言って駅のホームで見送った。電車がホームに滑り込んでくるまで僕たちは抱き合ってキスをした。
そしてきみは最終電車の扉の中に吸い込まれていく。その瞬間に胸が張り裂けそうに切なくなって、きみのことを離したくなくなって大声できみの名を叫んだ。
そこで目が覚めて現実の世界にひとりで転がっていた僕は少し泣いていた。どうやらうたた寝をしてしまったようだ。僕の手にはきみとのやりとりが残されたスマホが握られたままだった。
目が覚めてもまだ夢の続きのような気がして、ベッドの上でひとり頭が混乱しながら僕はやっぱりきみのことが大好きで、毎日でも逢っていたいんだって思いながらきみの唇の感触と体の温もりを思い出している。
きみのことを想うとまた涙が溢れ出しそうになって、さみしいよってつぶやいた。
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