[ま]哲学をもっと身近に感じるために/「まんが 哲学入門ー生きるって何だろう?」 @kun_maa
のっけからこんなことを書くのもなんだが、哲学って難しい。
体系だって哲学を学んだこともなければ、もちろん有名な哲学者の理論を勉強したこともない。哲学者の名前くらいは聞いたことがあるけど、その人がどんなことを考えていたのかわからない。
カント、デカルト、ニーチェ、サルトル、ウィトゲンシュタイン、ハイデガー・・・名前を聞いただけで、ビビってしまって先に進めない。なんていうか「哲学」とか「哲学者」って敷居が高いんだよね。
おまけに、哲学の本ってなんであんなに高い本ばかりなんだろう。
この本はタイトルに「哲学」と入っているけど、とっても敷居が低い。
「まんが」だから手に取りやすいし、そして値段も高くない。
哲学の入門書にありがちな、有名な学者の理論を簡単に解説するというスタイルのものではなく、「時間」、「存在」、「私」、「生命」という4つの大きなテーマについて、著者がどう考えているのかということができるだけ平易な表現で述べられている。
その内容は、まんがの中で「まんまるくん」と「先生」という登場人物による対話の形式を用いて表現されている。
プラトンがソクラテスの哲学を対話形式で描くことで表現したように、ある意味王道とも言える「対話形式」を「まんが」という表現方法で描くことでより身近なものとして「哲学」を感じることができるように工夫されている。
本書から読み取れるのは、哲学とは何か、そして哲学的に考えるということはどんなことなのかということである。
入門書だからひとつひとつのテーマを深く掘り下げている訳ではないのだが、だからといって簡単に理解できるかと言えばそんなことはない。本書が提示しているテーマを真剣に考えれば、そんな簡単に答えが出るものではないことは容易に想像がつくだろう。
表現方法は取っ付きやすいけど内容は難しい。哲学の基本となる大きなテーマを扱っているけど、門前払いさせられるのではなく、自分で考えるきっかけとして入り込みやすい。今までなかったような不思議な「哲学入門」の本である。
難しい言葉の羅列だけだと飽きてしまうが、まんがで直観的に表現されると受け取りやすい。まんがと哲学って意外と相性がいいんだなって感じた。
著者もあとがきで書いているけど、このまんがによる表現もゆるいキャラクターだから内容に集中できるのであって、きっちりとしたキャラクターが描かれていたらこれほどまんがと哲学の相性がいいものとは思わなかったかもしれない。
哲学を身近なものに感じさせてくれるおもしろい一冊であり、読み終わった後には簡単な解説とともに哲学書の書籍リストが掲載されているので、興味を持った分野の本へと導いてくれる本当の意味での「哲学入門書」である。
まんが 哲学入門――生きるって何だろう? (講談社現代新書)
- 作者: 森岡正博,寺田にゃんこふ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/07/18
- メディア: 新書
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