[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。

[ま]景気回復とアイドルの微妙な関係/日本経済復活が引き起こすAKB48の終焉 @kun_maa

 

 

安倍首相の掲げる経済政策、いわゆる「アベノミクス」は積極的にリフレーション政策を推進している。

リフレーション政策とは、アメリカの経済学者アーヴィング・フィッシャーが提唱した政策で、デフレから脱却しつつ、緩やかで安定的なインフレにとどめつつ景気回復を図るというもの。

 

著者によれば、景気が回復すると、それまで内向きだった消費者の意識が積極的に外に向かうようになり、求められるアイドル像も変化していく。

「景気回復とアイドルの衰退」という因果関係は、これまでのアイドルの歴史が証明しているのだそうだ。それは、かつて「おニャン子クラブ」や「モーニング娘。」、そして多くのアイドルたちがたどってきた避けられない道なのだという。

 

アベノミクスが推進するリフレ政策による景気回復とAKB48の今後という、一見関係のなさそうな話がなぜ結びつくのか、そしてAKB48が生き残る為に取り得る戦略について、わかりやすく、そして熱く語っているのが本書である。

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まずAKB48は、日本が直面してきた長いデフレ不況の中で生み出された「デフレカルチャー」であるとした上で、最悪のシナリオは次のようなものだと述べている。

 

アベノミクスによるデフレ脱却 → 日本経済の復活 → 好況期到来 → デフレカルチャーの衰退 → アイドル産業の沈静化 → AKB48の消滅

 

AKB48の人気は、デフレ不況下で可処分所得が少ない若者たちをターゲットに絞ったマーケティング戦力の成果であり、低コストで「萌え」と「癒し」とアイドル自身の成長物語を共有する楽しみにあふれている点にあるのだという。

可処分所得が少ないことから、彼らの持つ限られたお金が特定の対象に使われることになるため、デフレ期には1人勝ちを生みやすいという側面がある。

 

たとえば、あるファンが「AKB48も好きだけど、ももクロも、モーニング娘。も好きだな」と思っていたとしても、限られたお小遣いや給料の中では、何枚もCDを買うことはできず、高額なコンサートに何度も通うことはできません。

当然、ファンの中では優先順位をつけざるを得なくなり、こうした競争に勝利したのがAKB48でした。長引くデフレ不況の中で他のライバルたちを蹴散らして、AKB48はアイドル戦国時代において1人勝ちを続けてきたのです。(No.208)

 

ところが景気が回復して可処分所得が増えると、より多くのアイドルを消費することができるようになるし、アイドル以外の消費の選択肢も増えていくことから、デフレが終わるとAKB48の1人勝ちという事態が終焉を迎えることになるというのが著者が危惧している大きなポイント。

 

また、度重なるメンバーのスキャンダルを例に持ち出して、AKB48があまりにも社会にコミットした結果、社会のルールとAKBルールとの軋轢を生み出すことになってきているという点についても、AKB48崩壊の火種として挙げている。

 

そのほかにも、AKB48が抱えざるを得ない様々な問題点を、ファンであると同時に経済学の専門家である著者が細々と指摘した上で、その対策について真剣に言及している。

その分析と主張は、とても興味深いのだけど、AKB48への只ならぬ愛情を感じさせられて、ちょっとブルッとしてしまう。正直、ちょっと引く。

 

とは言え、全体として景気回復とアイドルの衰退という因果関係のみならず、地方アイドルのグローカル戦略なども取り上げていて、景気の動向とアイドル戦略についての考察としては、とても興味深く読むことができる本である。

 

景気の好況時には、正統派アイドルは衰退し、セクシーアイドルが台頭してくるという著者の分析には、バブルの頃を思い出し、そういえばそうだったよなあなどとひとりで納得してしまった。

 

 

 

 

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