転勤先の職場から呼ばれて、4月から上司となる人や僕の前任者を交えて打ち合わせというか引き継ぎというかまあそんなことをしてきた。
これまでの仕事とは内容が違うし立場も職場文化も違うので一々、ホーとかヘーとかうーむとか感心してばかりだったのだけど知れば知るほど憂鬱がマシマシになるとかほんと勘弁してほしい。
周囲を無駄に刺激してもロクなことはないのでリアルでは黙っているけど、僕はその仕事がしたくなくてある時期自分のキャリアの舵を切った時期があったんだよ。
でも結果的に僕はその後の仕事でコケてしまい巡り巡って今回の人事異動につながったわけだけど。
もともとやりたくねーなって思っていた仕事ということもあるんだけど、前任者から現状を聞けば聞くほど心の中にずんずん積み重なっていく痼のような拒絶感と不安感とに苛まれて危うく過呼吸になりそうになった。
予定時間を大幅に過ぎた打ち合わせの後には疲労感とダダ下がりに落ち込んだ気分しか残らなかったと言えば言い過ぎか。
打ち合わせが終わったら馴染みのビアバーで憂さ晴らしに美味いクラフトビールでも飲もうかなって企んでいたんだけど疲労困憊した僕はあっさり断念。
自宅冷蔵庫のコレクションをプシュッと開けてひとり飲みをすることに。
ヘロヘロになり帰宅して飲み始めても鬱々とした気分が晴れることはなく、4月からどうしたものかと悶々と思い悩み自分の殻に閉じこもってしまうという嫌なスタートを切る。
1本、2本、3本と飲みたい誘惑を我慢して取っておいたビールを順番に飲んでいくとフッと感情が反転するポイントに突き当たる。
それまでうじうじと思い悩んでいたことがそれほどたいしたことではないという確信に満ちた天啓に打たれたかのような感覚。
なぜあんなにも苦悩していたのかという他人事のような反応。
僕には思考の癖があってそのせいで必要以上にネガティヴな感情に囚われることが多々あるのだけど、そこにアルコールというフィルターをかけてあげると大抵のことが No problem に思えてくるのだ。
え?ただの酔っ払いだろって?
うん、そうかもしれない。いやきっとそうなのだろう。
未来を見据える思考がアルコールで麻痺して感覚が狂っているからこその楽観主義なんだろうなあ。ある意味それは病的ですらある。
それでもしかしその甘美なフィルターを通してみる世界はやっぱりハッピーなのである。
現実逃避と笑わば笑え、僕のこのアルコールに救われているという屈折した気持ちと感情の捌け口よ。いや本当は嘲笑勘弁って感じなのだけどさ。
あゝ話がなんだかまとまらない。
アルコールの摂取を不健康だ逃避だと否定することは容易いし、逆にアルコールというフィルターを通して見た世界はハッピーなのだから適度な飲酒は幸福をもたらすのだよと言ってみるのも簡単だ。
きっと本質的なところはどちらに与したところで最後に残る自分自身への迷いや言動一致することの困難さに対する無力感や切なさなのだよねって立ち止まる酔っ払いの逡巡と葛藤。
それでも結論はいつもアルコールを通して見つめる世界は大概ハッピーなのである...... だから僕の飲酒は止まらない。