[ま]映画「ミザリー」/キャシー・ベイツが怖すぎるサイコサスペンスの傑作 @kun_maa
1990年のアメリカ映画。原作はあのスティーヴン・キングです。
サイコサスペンスの傑作として有名な作品ですね。キャシー・ベイツはこの作品でアカデミー賞主演女優賞を受賞しています。さもありなん。だってマジ◯チにしか見えない名演技。
同じくスティーヴン・キングの原作でホラー映画の傑作と言われる「シャイニング」とはまた違った種類の怖さなんだけど、キャシー・ベイツはジャック・ニコルソンですら足元にも及ばないほどの怖さを全開にしていて、夢に出てきそうなレベル。
やっぱり本当に怖いのは、幽霊やお化けなんかじゃなくて人間だよねーって、割と本気で思わせてくれる作品です。
あまりにも有名なんで、もういろんなところでネタバレしてるし、僕自身も以前観たことはあるのですが、それでもやっぱり怖い。
あー、次は確か...ってわかっているのに怖い。これは相当なものです。
有名な作家が、雪の山道で自動車のスリップ事故を起こして車ごと斜面を転落。
この作家の一番のファンを自称する元看護士の女性が車のドアをこじ開けて彼を助け出し、自宅で看護という名の監禁。
最初は普通の親切な人に見えた彼女が、次第に狂気を露わにしていくというストーリー。ざっくりいうとね。
このキャシー・ベイツ演じるアニーのブチ切れ方がハンパなくて背筋がぞわぞわします。作家が何気なく言った一言に反応して、一方的に捲したてる逆ギレの無茶苦茶なやつ。自分の世界に入り込んで表情も激変してブチ切れる姿はスッゲー怖いっす。
それでも、昔観たときはもっともっと怖かったような記憶があるんだけど、今回は以前より異常さが薄まって感じたのは、最近は下手すると日常生活でもこのくらいの切れ方をする人を見かけることがあるからかもしれないなあなんて思いました。時代がついに「ミザリー」に追いついた?怖いよー。
それにしても、彼女の迫真の演技にはブルブルする。
ああ、ここで顔の「どアップ」が来るんじゃなかったかなあ、いやだなあ、怖いなあって思って観ていると期待を裏切らずにドーン!と狂気がにじみ出た顔が画面いっぱいに...というシーンが何度もあって、わかっているのに心臓に悪い。
この作品、怖いだけではなくとても痛い映画でもあります。痛いって本当の意味での痛みね。痛いシーンはいくつかあるんだけど、一番は何と言ってもこれ。
作家が彼女の留守に部屋からこっそり出たことがバレて、罰としてせっかく治りかけていた両足を一本ずつハンマーでへし折られるシーンがあるんですが、見ているだけで自分の脚に激痛が走るんじゃないかっていうくらいマジで痛い。
もうね、見ている目も痛いんだよね。
狂気に満ちた自己愛の塊のような鬼畜女に監禁されて、せっかく書き上げた新作はけちょんけちょんに貶されて原稿を燃やされちゃうし、せっかく完結した小説「ミザリー」は無理やり主人公ミザリーを生き返らせて続きを書かされるしと、踏んだり蹴ったりの作家の状況は音楽も含めて明るくシニカルに描かれています。
おかげで悲惨な状況の連続なのに暗くなりすぎずに観ていられるし、その分、暗転したスリルあふれるシーンが余計怖いという、分かりやすく絶妙な演出が好きです。
正気と狂気、笑いと恐怖の対比による相乗効果って分かりやすいよね。
キャシー・ベイツが本当にヤバいって。そりゃアカデミー賞も受賞するわ。
保安官もいい線いったんだけどねえ。後ろからショットガンはひどい。あれは可哀想で泣けます。扱いが雑すぎるという意味でも。
そして、ラストへと向かうアニーとのドキドキとする会話のやり取り。
迫力ある肉弾戦!
彼女の目を盗んでこっそりタイプライターで腕の筋トレをしていた甲斐があったよね。
「シャイニング」はジャック・ニコルソンの一人舞台だったけど、「ミザリー」はキャシー・ベイツの狂気の演技だけではなく、作家役のジェームズ・カーンの演技も良かったし、演出も素晴らしい作品でした。
作品としてどちらが上かと言われれば、間違いなく「ミザリー」でしょう。
「シャイニング」ファンには怒られるかもしれないけど、「シャイニング」なんて足元にも及ばないと思います。圧倒的に「ミザリー」推し。
あまりの怖さに、この顔が夢に出てきます。勘弁してください。
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