[ま]映画「シャイニング」/ホラー映画の傑作はジャック・ニコルソン色の作品だった @kun_maa
1980年公開のホラー映画で、監督はスタンリー・キューブリック、原作スティーヴン・キングというこの作品。
突き破ったドアの隙間からジャック・ニコルソンが顔をのぞかせるシーンが有名ですよね。ホラー映画の傑作とは聞いていたけど、今まで観たことがありませんでした。
※今回は既に名作と呼ばれている作品なのでネタバレ含みます。
キングの原作も読んでいないのですが、この作品をめぐってはキューブリックが大幅に原作と変えてしまったことからけっこう大きな揉め事になったとか。
まあ、それもだいぶ前に決着がついて、キングが原作に忠実なドラマ版を製作したらしいので、そちらもぜひ観てみたいなあって思いました。
だってこの作品、ホラー映画の傑作らしいですけど何が描きたかったのかイマイチよくわかんないんですよね。
キューブリックは難解なのが芸術だと思っているのかもしれませんが、そんなの知らんがな。難しいのは苦手です。ホラーはわかりやすいのが好きです。
とりあえずざっくりと何がわからなかったのかというと。
①ジャック・ニコルソン演じるジャック・トランスはなぜ狂気に走ったのか
以前の管理人が家族を皆殺しにして自殺したという話と、先住民の墓地の上に建てたホテルであるということ、死んだはずの管理人や無人のはずのホテル内に現れる幽霊たちが描かれていることから、ごく普通の善良な男が悪霊に取り憑かれて気が狂ったということが素直に描かれていればわかりやすかったと思います。
でも、ジャック・ニコルソンの顔が強烈すぎて最初からヤバそうにしか見えないし、子供に対する虐待経験や妻に対する不満などを抱えて幽霊云々の前から明らかに変な人です。普通のおじさんには見えません。
例えば、殺人事件が起きてワイドショーのリポーターが近所の人に話を聞くと「あの人はそのうちヤると思ってました」って言われるタイプ。
それに加えて幽霊の関与が中途半端なので、悪霊に取り憑かれておかしくなったのか、もともと溜まっていた鬱憤が孤独に苛まれて発狂したのかがわかりません。
そして、おかしくなった後も何で家族を殺さなければならないのか動機が不明。
おまけに、管理人家族の安否が気になってわざわざ雪上車で駆けつけた超能力を持っているはずの料理長ハロランをあっさりと一撃で殺したのに、当初の目的である妻子の殺害を果たすことはできずにひとりで凍死って何なの?バカにしてるの?って感じです。
②息子のダニーや料理長ハロランがもっている超能力って何の意味があるのか
トランス家の息子ダニーとホテルの料理長ハロランには予知能力やテレパシーのような超能力があって、それがタイトルにもなっている「シャイニング」なのだと思うのですが、その能力が全く活かされていません。意味ないじゃん。
ダニーは、トニーという彼にしか見えない友達と戯れるちょっと危ない子にしか見えないし、料理長のハロランに至ってはダニーと通じ合う超能力を持ちながら、何の見せ場もないままジャックに斧で殺されてお終いというお粗末さ。
ダニーが生き残ったのも超能力のおかげではないし、本当に超能力設定の無駄使い。
何となく原作者のスティーヴン・キングが怒ったのもわかるような気がします。
だって、シャイニング的能力関係ないw
③何で舞台となったホテルは幽霊だらけで、しかも冬場にしか現れないのか
これも全然わからないんですよね。説明なんてないし、それを表現する描写もないし。
幽霊たちの舞踏会がド派手に行われていたり、突然エレベーターから大量の血が流れ出したり、以前の管理人に殺されたと思われる双子の姉妹が廊下に現れたり、彼女たちが切り刻まれて殺されている場面があったり、不気味な女のお化けが部屋にいたり、男と着ぐるみを着た幽霊の変態プレイがちらっと出てきたりと、確かに幽霊はいます。
幽霊はいるんだけど、なんでいるのか、なんで冬場のホテルが営業していない時だけ現れるのか、なんでジャックに自分の家族を殺させようとするのか、なんで以前の管理人は家族を皆殺しにしたのか、なんで?なんで?ってなっちゃう。
双子の姉妹も不気味だけど登場の意図がさっぱりわかりません。
とりあえず作品の意味が分からないところを3つ挙げましたが、もちろん自分に分からないから駄作だというつもりは毛頭ありません。
何と言ってもホラーの傑作との評価が高い作品ですから。敬意を持って接しなければ。
でも正直なところ、ストーリーに関してはイマイチだなあと思いましたし、演出だって難解すぎるだろ!っての。
すいません、すいません。傑作に向かって無礼な発言をお許しください。
あ、難解で意味がわからないことに対する恐怖感ってのはあります。それが狙いか!
ところで、この作品の何がいいのでしょう。どうして傑作と呼ばれるのでしょう。
まず第一にカメラワークが素晴らしいです。
僕みたいなド素人がいうのもなんですが、冒頭の空中から車を追いかけるシーンや、ホテルの廊下をダニーが移動するシーン、雪の迷路での追いかけっこなど、難しいこと抜きですごいなあと思いました。
そして、この作品がホラーの傑作と言われる所以は、カメラワークによるところが大きいんではないかと感じました。ストーリとか抜きにしてドキドキしますもん。
そして何と言っても最大の見所は例の有名なシーン...と言いたいところですが、想像していたよりもあっさりとしていて怖くなかったです。
どちらかというと、シーンそのものよりも妻役の女優さんの顔が怖いw
そして、ジャック・ニコルソンが顔を出した時には思わず キタ━(゚∀゚)━!!!!!!! ってなって笑っちゃいました。不謹慎でした。
だからあの有名なシーンというよりは、もう作品全体を自分色に染め上げてしまうくらい強烈なジャック・ニコルソンの存在そのものが素晴らしい。
なんか意味がわかんないなあとか、こんな終わり方はないわーとか思っても、ジャック・ニコルソンの尋常ではない顔芸(って言っていいのかな?)が全て帳消しにしてしまうようなそんな作品。
それが、映画「シャイニング」の魅力だと思うわけです。
いい意味でも悪い意味でもジャック・ニコルソンのための作品だよなあ。
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