[ま]映画「貞子 vs 伽倻子」はふざけているのかと思ったらちゃんとホラー作品だった(ネタバレなし) @kun_maa
映画の単作で行き詰まると、必ず「〇〇 vs △△」とかって作品が作られてそういうのってほとんどがつまらない作品であることが多いじゃないですか。
あえて例は挙げませんけどね。
だから今回の「貞子 vs 伽倻子」も絶対行き詰まった末の苦し紛れのダメ映画だと思っていたんですよ。
だって貞子と伽倻子の対決ですよ?ふざけってんの?って思いますよね。
リングも最初は好きだったんですけど「貞子3D2」とかちょっともう限界かなって感じでしたし。やっぱり「vs」でいくしかないのかと。
6月末まで有効な映画1000円券を使いたいのと、ちょうど行った時間に観られるのがこの映画だけだったので、1000円ならハズレても我慢するかって程度の気持ちで観たんです。最初から期待値低すぎ!
それが期待を大きく外しておもしろかったんですよ。うれしい誤算。
リングの呪いのビデオの話と呪怨の呪われた家の話が交互にテンポよく進んでいきます。
貞子の方は一応呪いのビデオを見ると2日後に死ぬって設定なので、以前のように7日間も謎解きに奔走するっていう間延び感もないし、かといって「3D2」のように携帯電話で感染してすぐに死ぬってつまんない設定でもないので原点に帰りつつも期間は短くっていういいとこ取りって感じ。
いまどき呪いのビデオとかどうやって不自然さを感じさせずに登場させるんだよって思ったんですけどね。だってもう誰もビデオデッキなんて持ってないでしょ。
そこを「ああなるほどなあ」って思うような取り入れ方をしていて感心しました。
それに何よりもとにかくテンポがいいです。
日本のホラー作品特有の出るぞ出るぞ出るぞ...って引っ張りまくって出ない!とかしちめんどくさいことはしないで、出るぞって思った部分ではきっちりと出し惜しみしないで怖いものを出すっていう潔さがいい。それでいてしつこくなく、お化け屋敷方式のお家芸もきっちりと取り込んでいます。
呪怨編の方は俊雄(白塗り子供の怨霊な)はちらほらと現れるのですが、伽倻子はなかなか姿を現しません。早い段階で名前が登場する「貞子」と違って「伽倻子」は名前すらなかなか出てきません。
それでもしっかりと怖いというのは演出のうまさなんでしょうね。
こちらの主役の女子高生・鈴花役の玉城ティナの演技のよさも関係しているかもしれません。
それにひきかえ山本美月の演じる有里の演技の微妙さが最初は気になります。不思議なことに最後の方ではあまり気にならなくなってたんですけどね。
彼女の演技が撮影中にうまくなったのか、もうそんなことはどうでもいいほど息つく間もなく作品に見入っていたからなのかはわかりませんが。
たぶん後者。山本美月ファンよ、ごめん。
そして並行して進んでいた2つのホラーの舞台が一緒になった時の想像を超えたおもしろさときたらもうたまらんですよ。
貞子も伽倻子も女性だし、雰囲気が似ているっていえば似ているじゃないですか。
だから2人が同時に出てきた時に、インパクトとしてはどうなんだろうなって思ってたんですね。まったくの杞憂でした。
すごいです。それぞれのよさを十分に引き出しています。
内心では2人が同じスクリーンに出てきたら「ぷっ!」って吹いちゃうんじゃないか思っていたんですけどきっちりと怖かったです。コメディ要素なしのガチなホラー。
そして劇中で軽快な感じでいい味を出していた霊媒師の経蔵(安藤政信)たちの存在感をも吹っ飛ばす貞子と伽倻子のダブル怨念の凄まじさ。
「バケモノにはバケモノをぶつけるんだよ」なんてバカなこと言ってる場合じゃないんだよ、経蔵さん。
最後の舞台には貞子ゆかりのアレが用意されていたりして、なんていうか過去作に敬意を払いつつ自分たちの新しい世界観を醸し出しているいい作品だなあって思っちゃいました。意外でしょ?
そんなわけで、バカにして全く期待もせず軽い気持ちで観に行ったらしっかりと考えて作ってるなあと感心させられた挙句に怖がらせてももらえた作品でした。
これ、ちゃんとしたホラーです。
タイトルで損してる感はあるような気がするけど、興行的にはこのタイトルが人寄せになるからしょうがないんだろうなあ。
タイトルでダメ作品っぽく思われちゃうのがちょっと残念。
これならお金を払って観てもいいなって。
1000円で観ることができて得した気分って言ったら言い過ぎか。でもちゃんと怖くておもしろいと思うよ。
それに、これまでのそれぞれの作品上の細い設定は抜きにして、都市伝説として取り上げて話を進めているから、今までの作品を見てないこと前提で楽しめるしさ。
いいと思うんだ。
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