[ま]キリスト教史をやくざの物語で描く衝撃の一冊/仁義なきキリスト教史 @kun_maa
すごい本を見つけました。
キリスト教の歴史上のエピソードを描いた本なんですけど、これが全編やくざの世界なんです。そう、ユダヤ教はユダヤ組、キリスト教はユダヤ組系列の下部組織からキリスト組へ、イスラム教はイスラム組。そして登場人物の台詞はすべて広島弁です。
まず最初に注目すべきはその目次。やくざ映画のタイトルみたいな字面が並びます。
こんな目次で本当に大丈夫なの?って感じです。
第1章 やくざイエス
第2章 やくざイエスの死
第3章 初期やくざ教会
第4章 パウロ ー 極道の伝道師たち
第5章 ローマ帝国に忍び寄るやくざの影
第6章 実録・叙任権やくざ闘争
第7章 第四回十字軍
第8章 極道ルターの宗教改革
第9章 インタービュー・ウィズ・やくざ
もちろん、中身もバリバリやくざの世界。
例えばこんな感じです。
「イエスの兄貴は今疲れとるんじゃ、去ねえ、去ねえ」
「もたもたしとると子供ごとブチ殺すど」と怒鳴り散らしたのだが、これに対してはイエスがとうとう激昂した。「このクソばかたれどもが!カタギに八つ当たりする阿呆がおるかい!」(P.32)
「おやじ、今日来た糞餓鬼。あれがイエスじゃいうて、見とったやつが言いよったです」「ガリラヤでパリサイ組に喧嘩売っとったグレン隊のアタマじゃ」「はよう見つけ出してタマ殺っちゃりやしょうや!」「このままにしとったらカタギの連中に舐められますけん!」(P.48)
「破門じゃあ、破門ッ!ここまでナメられとって黙っとれるわけなかろうがィ!」キリスト組系任侠団体「ローマ・カトリック会」の会長である、教皇グレゴリウス七世の怒号がラテラノ宮殿に轟いた。(中略)「ハインリヒの外道、明らかにケンカ売っとりますけん。買ったりやしょうや、おやっさん!」「あぎゃあナメた真似ェ見逃しちょったら、わしらもおまんまの食い上げですけん!」(中略)「のう・・・世間知らずの餓鬼に教えてやろうじゃァない。わしらがその気になりゃあ、あの腐り外道の王位なぞ、いつでも消し飛ぶいうことを、のう!」(P.186〜187)
どう見てもキリストだの聖職者だのというイメージを打ち砕く生粋のやくざモノです。
そして全編この調子で書かれています。完全に極道の斬ったはったの世界です。
イエスもペテロもパウロもルターも全員が極道。十字軍はイスラム組へのカチコミです。
もうキリスト教史なんだか実録やくざ史なんだかわからなくなります。
もちろん、台詞以外にも人物がデフォルメされたり、創作の部分が多分にあるので、ある程度キリスト教についての知識がないと「あの事件がこんなふうに描かれているのか」という楽しみ方や、ちょっとした表現でニヤリとすることはできません。
そういう意味では、キリスト教について一般的な知識があった方が楽しめるのは確かですが、もしなにも知らなくてもエンタメ作品として十分楽しむことはできるし、各章の終わりには簡単な「解説」が載っていて、基本的な背景は理解することができます。
もともとキリスト教史自体が排他的、暴力的で派閥抗争や十字軍、魔女狩りなど血なまぐさい面が多いので、それをやくざものに見立てて描き出すって言うのは思ったより親和性があるのかなって感じました。
それにしても、すごい本です。強烈でとてもおもしろいです。
あまりに強烈なので、キリスト教原理主義者の逆鱗に触れて、発禁処分にならないことを祈るばかりです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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