繁華街を歩いていたら一生懸命献血を呼びかける声が聞こえてきました。
「そういえばもう何年も献血してないな」と思い、献血ルームに立ち寄ることに。
もちろん献血に協力するのが目的ですが、それ以上に「抗うつ薬を飲んでいる人間が献血できるのか」という点に興味がありました。
広々として明るく、清潔感溢れる献血ルームの受付カウンターで、「お願い」と書かれた紙を渡されました。
そこに書いてあったのは次の内容です。
<以下に該当する方は献血をご遠慮ください>
① 3日以内に出血を伴う歯科治療(抜歯、歯石除去等)を受けた方
② 4週間以内に海外から帰国(入国)した方
③ 1ヶ月以内にピアスの穴をあけた方
④ エイズ検査が目的の方
⑤ 6ヶ月以内に下記に該当する方
(a) 不特定の異性または新たな異性と性的接触があった
(c) 麻薬、覚せい剤を使用した
(d) 上記(a)〜(c)に該当する人と性的接触をもった
⑥ 今まで下記に該当する方
(a) 輸血(自己血を除く)や臓器の移植を受けた
(b) ヒト由来プラセンタ注射薬を使用した
僕はどれにも該当しないので、この時点では献血可能です。
でも、その下にはまだ次のように続きがあります。
<以下に該当する方は職員・検診医にお申し出ください>
① 3日以内に薬を服用、使用した方
② 1年以内に予防接種を受けた方
③ 海外滞在歴について
(a) 3年以内に外国(ヨーロッパ、米国、カナダを除く)に滞在した方
(b) 昭和55年以降、ヨーロッパ、サウジアラビアに通算1ヶ月以上滞在した方
(c) 今までに中南米諸国に通算4週間以上滞在した方
僕は①と③(a)に該当します。その旨を受付職員に告げると、手続きの前に検診医の面談を受けるようにと別室に連れて行かれました。
そこには柔和な感じの医師が待機していて、僕に質問をしてきます。
医師「なんの薬を飲んでいますか?」
僕「抗うつ薬です」
一瞬、医師の表情が微妙に変わった気がしました。
その後、薬の名前を聞かれたので答えるとそれをメモしてから分厚いファイルを開いて調べ始めました。そのファイルには様々な薬品の名前とA〜Cの表示が書いてあります。
僕が飲んでいる薬はすべて「C」に該当するものでした。
医師が丁寧に説明してくれましたが、要するに「C」というのは服用後72時間以内の献血はできないということです。
72時間って3日間か。うつ病が寛解しない限り献血は無理だね。
たぶんそんなことじゃないかな・・・とは思っていましたが、やっぱりダメでした。
帰ろうとする僕を医師が呼び止めました。
「献血とは関係ありませんが、もしよかったら、うつ病になった経緯をお話してくれませんか?」
意外な申し出に一瞬固まりました。
なんでそんなことをあんたに言わなきゃならないんだ?という言葉が頭の中をよぎりましたが人のよさそうな柔和な表情に魅かれてかいつまんで話をしました。
医師は「それは大変でしたね。あなたを見て、なんでうつ病になったのか背景が知りたくなってしまい質問をしてしまいました。立ち入ったことを聞いてすいませんでした。今は症状がいいように見えますね。本当によかったですね。人生にはいろいろなことがあります。あなたの経験も決して無駄なことではありません。あせらないで治してください。早く薬を飲まなくてもよくなるといいですね」と言いながら優しく微笑みました。
僕は、予想外の医師の言葉につい目頭が熱くなりウルッとしてしまいました。
こういうのに弱いんですよ。ホントに。
そんなこと言われちゃったら、断薬できたら真っ先に献血に駆けつけますよ(つд;)
あれ?もしかして献血ルームの思うつぼ?そういうこと?
結局、抗うつ薬を常用していると献血はできないことがわかりました。
風邪薬や抗生物質などの薬でも献血不可となるモノがあるので、献血をする際には飲んでいる薬の名前をメモしておくことをおすすめします。
- 作者: エリック・A.フェルドマン,ロナルドベイヤー,山田卓生,杉山真一,宮沢節生,Eric A. Feldman,Ronald Bayer,山下篤子
- 出版社/メーカー: 現代人文社
- 発売日: 2004/01
- メディア: 単行本
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
このブログを気に入っていただけたら、ちょくちょくのぞきに来ていただけるとうれしいです。そして、とっても励みになります。
RSS登録していただける方はこちらのボタンをご利用ください。