こんにちは!現在は働く苦しみをほとんど感じていない @kun_maa です。
著者自身が多くの失敗から学んだ末にたどり着いた「会社で働く苦しみから抜け出す」ための手引書と言える本である。
本書の柱は次の3本。
①「欲」を減らす
人間は本能が壊れた動物だから「生きる理由」が必要だ。でも、会社では「生きる理由」を手に入れる機会よりも失う機会の方が多く、そのために我々は傷ついていく。
そう、望んでいるものが手に入らないから苦しむのである。つまりは手に入れようとする「欲」があるから苦しいのだ。
しかし、会社で働きながら「欲」をなくすのは不可能なことである。なぜなら会社とは社員に対しても、顧客に対しても「欲」を生み出し、あおる装置だから。
「欲」をなくすことはできないけれど、減らすことはできる。
そのためには、「他人を変えることはできない」「他人の評価に自分の人生を委ねるのをやめる」「結果にこだわるのをやめて経過に注力する」「利己である自分を自覚し利他を目指す」などの事柄を理解し、実行する必要がある。
②「現実」を肯定する
コップの水が半分入っている時に「たったの半分か」と苦しむ人もいれば、「半分も入っている」と喜ぶ人もいる。つまり、事象が人を苦しめるのではなく、解釈・認知が人を苦しめるのである。
したがって、会社で起こる様々な肯定し難い現実を肯定する術を学ぶことで苦しみから逃れることができる。
そのためには「様々な肯定し難い現実の苦しみには意味がある」「ダメな自分を好きになる」「自分にOKを出せるの自分だけ」「感謝の気持ちを持つこと」などを理解し、実行する必要がある。
③「ギャップ」を受け容れる
我々は「欲」と「現実」のギャップに苦しむことになる。なぜなら、「欲」が「現実」になるということを前提にしているから。
そうではなくて、「うまくいかないのが当たり前」「思い通りになんてなるわけがない」という考え方でいれば、かなわなくても苦しまないし、かなったとしたら大喜びということになる。
しかし、最初からあきらめていては力が発揮できないため、結果が出るまではとことんこだわり、結果が出たらもう気にしないという行動が必要になる。
そして、結果が失敗だったとしても現実をそのまま受け容れることが大事であり、たとえそれを受け容れられない自分がいたとしてもそういう自分すら否定しないで受け容れるという態度が求められる。
それぞれの柱に対して、具体的にどうしたらいいのかを、失敗談や仏教、心理学などの視点から丁寧に述べられていてわかりやすい。
内容的にはかなり仏教的な考え方に影響を受けているなあと感じた。
「他人を変えることはできない」「利他的であれ」「望めど欲せずこだわらず」など、いずれもどこかで見たことのあるような内容であり、「これは!」といった新鮮さには欠けるが、それだけ書かれている内容は普遍的で重要なことなのだろう。
言うは易し行うは難し。自分がどうやって実践していくかが課題である。
でも、なんとなくこの本の内容はちょっとした努力でできそうな気がする。
そんなふうに思わせてくれる本でもある。
仕事に息苦しさや、やりがいのなさを感じている人、なんとなく行き詰まっている人にオススメしたい。