[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。

[ま]マザーズ (金原ひとみ 著)/男には永遠に共感できないかもしれない @kun_maa

 

 

母になるということは、男の僕には永遠にわからない。

そしてこの物語はあまりにも痛々しい。

作家のユカ、専業主婦の涼子、モデルの五月という3人の女性の視点で物語は描かれていく。共通点は3人とも1児の母親であるということ。

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ユカはドラッグに溺れ、涼子は赤ん坊との2人だけの世界に疲れ切り、五月は夫との不和と自分の不倫に悩む。

全員がそれぞれの世界で悩み苦しみながら、母親であるという接点でつながっている。

それぞれの視点から見る相手の姿は、本人が感じている疎外感や孤独感とは無縁である。誰しも相手が自分が置かれた状況よりもよく見える。

隣の芝生は青く見えるってやつ?

同姓同士、母親同士ですらわかり合えない行き詰まり感。

 

全員が孤独だ。それはもう想像を絶するくらい。

子どもという絶対的な弱者を抱えながら、3人が3人ともどんどん追いつめられていく。

その様子は淡々と、そして凄まじい。

 

全員の物語があまりにも痛々しくて、男の僕には最後まで共感することはできなかった。

男が思い描く「母親像」をことごとく破壊してくれる作品である。

こうあるべきという安直な「母親像」は、この世界では微塵も感じられない。

1人の女性として、そして母親として思い悩み、苦しむ姿に母とはこうも孤独にならざるを得ないのかと震撼する。

 

ある者は子どもを失い、ある者は虐待への道を転がり落ちていき、ある者は狂気の世界に突き進んでいく。

誰もが必死に母になろうとし、母という役割を受け入れられず、母であることに恐怖する。

 

最後まで、哀しみとやり切れなさを感じさせられる作品である。

立場が違えば、この作品の感じ方も違うのだろうか。

女性が読めば共感できるのだろうか。

母親が読めば共感できるのだろうか。

 

たぶん、男には永遠にわからない苦しみなのかもしれない。

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最後までお読みいただきありがとうございます。

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