僕は「陽」か「陰」かに分類するとしたら間違いなく「陰」だ。
人や物事に対する態度には積極性が足りずどちらかといえばできない理由を考えて多くのことに「NO !」というタイプでもある。
一言でいえばネガティブ。
自分の性格がそうだからといってポジティブな人を見るのが嫌ということはない。
でも無駄にポジティブ過ぎるのは見ているだけで疲れてしまう。
だからいかにもアメリカ人が好きそうな(偏見!)ポジティブメソッドのテレビ伝道師みたいな人物が登場して「YES !といえばなんでも上手くいくのです(キリ」みたいな感じで会場が熱気の渦に包まれて...なんてのは苦手。
実生活でそんな場面に遭遇したら真っ先に逃げ出すことだろう。
という前振りからの映画「イエスマン"YES"は人生のパスワード」である。
主人公は3年前に離婚して以来何事にも消極的で人付き合いを極端に避けている銀行員カール(ジム・キャリー)。
友人との付き合いでも仕事でも何事にも「NO」と言いすべてのことに関わりを持たないように生活をしている。
そんなカールの気持ちがそこそこわかってしまい「そうだよね、あるある」って共感してしまうところ自分に危機感。
カールの行動を見れば見るほど自分の嫌なところを強調して見せつけられているようで心が痛い。
そんなカールが友人の誘いであるセミナーに参加する。
そのセミナーってのはさっき僕が苦手だと書いたようないかにもなアメリカンポジティブセミナーだ(こんな言い方があるのか知らんけど)。
これから決断する時は全て「YES !!」と答えれば人生が劇的に変わる。
セミナーの代表者に面と向かってそう言われ、会場にいる参加者の雰囲気に押し切られる形でこれから先全てのことに「YES」と答えることになったカール。
その優柔不断なところがまたまた自分の欠点を指摘されているようで胸が痛む。
ついでに言うと「人生を劇的に変える」なんて表現は大嫌いだ。
この後の展開はみなさんの想像どおり。
とにかく「NO」ということをやめてどんなことにも「YES」としか答えなくなったカールの人生はあれよあれよと刺激的で楽しいものになっていく。
これはあれだコメディというよりもファンタジーだ。
実体験に基づくという原作とシナリオの良さなのか。
ジム・キャリーが醸し出す彼独特のあの雰囲気のおかげなのか。
単なるポジティブ最高的なバカ作品とはならずに嫌味ではなくとても前向きで心が晴れる作品となっている。
そしてこの作品の何がいいってただ明るいだけのコメディってだけではないところ。
機械的に「YES」と言い続けて人生を受け入れることが大事なことなんじゃなくてさ。
そこに自分の気持ちはあるか自分の頭で考えているか自分が本当に望んでいることなのかって問いかけること。
つまり自分の人生に対して自分でちゃんと舵を握っているのかってことなんだ。
そんな大切なことをほぼ常にネガティブな僕に問いかけてきて心に響いた作品。
観終わった後、僕も望んでいるものがあるならちゃんと「YES」って言わなくちゃって思ったもの。
アリソン役のズーイー・デシャネルって魅力的だなかわいいなって思ったら「(500)日のサマー」のサマー役の女優さんだった。
そりゃ魅力的だよあの映画大好きだもん。
ズーイー・デシャネルに「YES !!!」