[ま]人見知りが治るノート/思い込みを排して現実を認識することで行動が変わるかも @kun_maa
僕は人見知りだ。偉そうに書くことではないかもしれないけど、かなり極度の人見知りだと思っている。人前で複数の人に話をするなんてとんでもないことだし、人混みの中にいるといつもガクブル状態である。外からはそう見えないのがキツイところだけど。
それに初対面の人とはほとんど話すことができない。相手がせっかく話しかけてくれても気の利いた返事が出来ずに会話が途切れる...
子供の頃のクラス替えなんて友人が誰もいないクラスに振り分けられたりしたら、ほぼ1学期は無駄にすることになる(もともと友人が少ないからこういうことはある)。だってクラスの何人かに慣れるのにすら、そのくらいの時間が必要なんだもん。
ところが、本書で紹介しているある調査によると日本人の98.3%は人見知りのもととなる不安症の素質があるのだとか。
「え〜! そんなことないでしょ。みんな楽しそうに他人と話してるじゃん」って思う気持ちと同時に、そうか自分が人前や人混みでガクブルになっていることが意外と周囲に気付かれていないように、もしかしたら同じような人見知りは僕だけじゃなかったんだって思ったけど、そう思ったところでなんら事態は好転するわけでもない。
本書では、程度の差こそあれ多くの人が人見知りで悩む時代にあって人見知りを直すメリットについて次のように述べている。
人見知りがなくなれば、出会いのチャンスは無限に生まれます。堂々とみんなの心に残るスピーチをしたり、自分の意見を臆せず主張することもできます。これまで勇気がなくてできなかったことが少しずつ実現し、人生が何倍も豊かになります。
なんか怪しい自己啓発セミナーの誘い文句みたいだ。これは警戒しないといけない。
変なポジティブ思考万歳主義にはうんざりだからね。
でも、ご安心を。先ほどの書き方は確かに怪しいけど、本書はいわゆる自己啓発の、ポジティブに考えれば全てが上手くいく系の本ではない。
むしろ、そんなふうに事実を捻じ曲げて考えることを否定している。
本書が取り入れているのは「認知行動療法」と呼ばれているものだ。これはカウンセリングの手法の1種で、うつ病、パニック障害、社会不安障害の治療に使われてある程度の成果を上げているものである。
僕も、うつ病の回復期にメンタルクリニックでこの「認知行動療法」による集団カウンセリングを受けて効果があったと感じている。
認知行動療法とは、簡単にざっくりと言ってしまうと、物事の受け取り方やモノの見方、現実の捉え方に対する自分の偏りに気づき、いわゆる「思い込み」を取り除き、現実に即した捉え方ができるように訓練することである。
そう、大事なのは「現実に即した」という部分。だから、アホみたいなポジティブシンキングも、勝手に落ち込んでいくネガティブシンキングも、どちらも正しく現実を認識していないという点でダメなのだ。
本書は、この認知行動療法の考え方をベースにして、実際に考え方を変えながら行動してみる練習をすることで、人見知りを克服していく方法について書かれた本だ。
たとえば、人見知りの正体というのは「不安」である。この不安はいつ心配するかによって次のように3種類に分けることができる。
予期不安:まだ起こっていないことを先取りする不安。何日も前からその日のことを心配している。
最中の不安:まさにその時の不安。たとえば大勢を前に話をしている時に感じるような不安のことで、誰でも多かれ少なかれ感じるもの。
事後の不安:たとえ、その場を乗り切ったとしても後で振り返って、失敗したんじゃないかとか、人に悪く思われているのではないかと想像して心配すること。
この3つの不安のうち、「最中の不安」はパフォーマンスを高めるのに必要です。しかし、残りの「予期不安」と「事後の不安」は誤解によって生み出された不安ですので、その誤った考えを訂正することで軽くすることができます。
こんな具合に、人見知りの原因となるものについての「思い込み」をひとつひとつ潰していき、現実に沿った考え方とそれに裏付けられた行動をすることができるようになることが本書の目的なのだ。
本書でワークを実際に行っていくことで、「思い込み」を排して現実に沿った考え方が身につき、それに伴って行動も変わっていく。それがこの本のタイトルに「ノート」とついている所以なのだろう。
だから最後に言えることは、ただ読んで頭でわかったと思うだけではダメなんだってこと。大切なのは繰り返し行動すること。
それによってしか自信は生まれないし、人見知りも治らないのだ。
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