[ま]僕と世界 @kun_maa
僕の世界は僕が死ねば消えてしまう。
僕の世界は僕だけのものだ。
積み重ねた記憶や経験や感情やそんなものたちでできている認識のフィルターは僕固有のものだから僕が死ねば僕が見て感じて生きている世界は消滅する。
もちろん僕だけがそうなのだというわけでは全然なくて全ての人がひとりひとり違う自分だけの世界に生きているのだ。
あなたが見ている世界と僕が見ている世界と彼や彼女が見ている世界は全て違う世界。
僕たちはひとつの大きな世界が歴然と存在しているとなんとなく思っている。
自分が感じている世界は他の人たちと共有されているものだとなんとなく信じている。
でもそんなものは幻想なのかもしれない。
幻想という言葉を使ったからといってそこに何も存在しないという意味ではない。
そこには確かに何かが存在しているのだけど僕たちが認識している事物と実際に存在している事物との間には乖離がある。
例えば目に見えているものひとつを取っても僕たちの目はそこに存在しているものそのままの姿を捉えているわけではない。
光が物に当たってその光が反射したものを映像として把握しているにすぎない。
光の当たり具合や強さによって認識は変わるし光がなければそもそも見えない。
それ故に僕たちが認識している世界はみんなそれぞれ違ったものとならざるを得ないのだ。
だから世界はひとりひとりが認識している異なる世界の集合体なのだと思う。
みんながひとつの同じ世界に生きているという意味での世界なんて実は存在しないのではないか。
そう考えるとまるっきり違う世界で生きている人と人とが僅かでもわかりあえたり共感したりできるって奇跡的なことだと思えてくる。
それがたとえ勘違いから生じたとしてもだ。
生きている世界が違うんだから分かり合えなくて当然なんだ思えば他人にも自分にも優しくなれる。
それぞれの生きている世界が大切で愛おしいものだと感じる。
近頃は毎日ビールを飲みながらそんなことをひとり考えたりしている。
とても地味だけどこんなふうに答えのないことをつらつらと考えることは楽しい。
そんなわけでこの本がとても気になっている。