レビュープラス(R+)からの献本。
20世紀までとは桁違いの速度で変化し、予測不可能でまさしく「答えのない世界」ということができる21世紀のグローバル社会において、どのようにしたらさらなる成長を遂げ生き抜いていくことができるのか。
グローバル社会におけるリーダー育成という観点から必要な能力とそれを身につけるための教育に焦点を当てて書かれているのが本書だ。
本書は三章から構成されており、第1章では「答えのない」グローバル社会で求められる人材像について会員制月間情報誌「大前研一通信」からの寄せ集め(言い方が失礼かな?)を使って明らかにしている。
続く第2章、第3章では第1章で示したグローバル世界で求められる人材に必要となる能力を身につけるために有効と考えられる「国際バカロレア教育」の内容を中心に教育と学び方についての知見を示している。
少し前からよく耳にするようになった国際バカロレア教育というものについて、実は僕自身ほとんど無知だったこともあり第2章と第3章の途中まではとても興味深く読み進めることができた。本書を読めば国際バカロレアについてその理念や手法の概略を捉えることができる。
ただ、第3章の途中からは大前研一氏が学長をしているというビジネス・ブレークスルー大学(BBT大学)におけるこれまでの取り組みや実績など手前味噌な内容がメインとなり、やや白けてしまう感じがするのは否めないところだ。
また、先に書いたように本書は会員制月間情報誌「大前研一通信」からの引用や様々な雑誌やメルマガなどでの既出文書を切り貼りして寄せ集めたような構成となっているため、それらを一体化しようとする工夫は見受けられるのだが、どうしてもぶつ切り感が気になってしまう。これはもう書き下ろしではないことの宿命といってもいいので本書だけが特別劣っているというわけではないのだが、やはり気になるものは気になるのだからしょうがない。
なんだか献本されといてDisっているような感想が続いて申し訳ないところなのだが、もちろん悪いところばかりではない。
すでに書いたが国際バカロレアの概要を知るには手頃である。わかりやすくまとめられた内容に加えて具体的な事例を取り上げているところがとても良い。おかげでこれからはバカロレアという単語にビビる事はないだろう。
またこれからのグローバル社会で企業が生き抜いていくために一番重要なのは「人材」であり、それをクラウドソーシングを活用して必要な人材を必要な時に必要なだけ充てるのが最適解であり、正規雇用・非正規雇用という考え方自体が古臭いものとなるというは主張は全くそのとおりだろうと思う。
そしてそのような世界では与えられた答えを暗記するだけの人材、安価な労働力や機械が代行できる簡単な仕事を行うだけの人材は生き残ることが困難であり、これまで以上に英語力はもちろん自分自身の得意分野を伸ばすための努力を惜しまず実力をつけた者だけが生き残っていけるという意見にも、あまりに厳しい世界だと思いつつ同意せざるをえない。
そのような状況に対応するために有効なのがまさにバカロレア教育なのであり、親の教育に対する積極的な態度なのだと本書はいう。
親が子供に与えなければならないのは「21世紀の見えないデジタル新大陸の中で生き抜くスキル」です。しかし、それは学校や塾や家庭教師にアウトソーシングしたら、決して身につきません。親は自分自身の再教育に「お金」をかけ、子供の教育にはお金ではなく「時間」をかけること。それが大原則だと思います。
まあ、ここだけ抜き出すと言いたいことはよくわかるのけど裕福で生活に余裕のある親しか対応できんよなって思ってしまうのだが、またDisってしまいそうなのでやめておく。総論賛成各論反対。
要するに英語ができてクラウドワークスでバンバン受注できる専門性と実力を兼ね備え、自己主張もちゃんとできて日本から世界に飛び出していける人材ってのがこれからは生き残っていくんだって話なんだけど、それって随分前からいろんなところで言われてきたような内容じゃね?って思うのは僕だけだろうか。そして言われてきている割には日本の現状ってそんなに変わってないよなって思っているのも僕だけだろうか。
答えのない世界-グローバルリーダーになるための未来への選択 (前研一通信特別保存版 Part.X)
- 作者: 編著者:大前研一/ビジネス・ブレークスルー出版
- 出版社/メーカー: ビジネス・ブレークスルー出版
- 発売日: 2017/03/10
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