[ま]管理職向けメンタルヘルス研修会に参加/まず自分のSOC(首尾一貫感覚)を高めろってことだな @kun_maa
会社主催の管理職向けメンタルヘルス研修会に参加した。
僕の所属する部署全体での精神疾患による休職者は平成21年をピークに年々減少傾向にあり、昨年度は平成17年度と同程度の休職者数で高止まりの状況らしい。
ちなみに僕は現在もうつ病の治療中で月に一度メンタルクリニックに通院をしている。僕が発症して休職したのは今とは全く異なる部署にいた時のことなので、今回の研修で示された休職者の推移統計には含まれていなかった。
自分が数字に含まれていると思うとなんとなく気持ちが落ち着かないが、そうではないとわかっていれば少なくともストレスにはならない。
そんなことを気にしていまだに引け目を感じている場合じゃないんだけど。僕は自分の職場からメンタル不調者を出さないことが仕事でもあるのだから。
研修では、まず最初に部署全体の取組として「メンタルヘルスの一次予防」を掲げた担当課によるこれまでの対策の紹介が行われた。
"風通しの良い職場"なんていう使い古されていっこうに変化のないお題目にうんざりさせられながらも、ロールプレイング方式によって言葉かけの大切さを参加者に体験させる、基本的なことだけど気持ちのよいあいさつや感謝の言葉の効用をあらためて実感させるなど、昔よりは本気で心の健康に取り組もうとしている印象を受けた。
印象を受けたとか偉そうに語ってないで、僕が実践しなくちゃいけないんだけどね。
続いて臨床心理士による講義が行われた。
リーダーシップ論やリスクへの対応、脳がもつクセなどについての説明や具体的な事例を通して、どのようにしたらメンタル不調者を未然に防ぐことができるか、また残念ながら不調者を出してしまった場合でも早期発見につなげるかという基本的な部分を押さえる講義だった。
その講義の中で、もっとも力説されていたのがSOC(Sense of coherence)という感覚の持つ力の重要性についてだった。
SOCとは日本語では「首尾一貫感覚」と言われるもので、アーロン・アントノフスキーによる、アウシュビッツ強制収容所から生還した人たちに対する調査から導き出された感覚のことを指す。
一般的にアウシュビッツからの生還者の多くはあまり長生きできなかったことが知られている。これは強制収容所のような悲惨な体験による過度のストレスに長期間さらされたことにより、心身のエネルギーを消耗してしまったためだと考えられている。
しかし生還者の中には、その後も極めて良好な健康状態を保ちながら余生を送った人たちもいたのだ。アントノフスキーはその良好な健康状態を保った集団の性格特性を詳しく分析し、その人たちにはある共通した感覚がそうでなかった人たちに比べてより強い形で備わっていることを突き止めた。それがSOCである。
アントノフスキーはSOCの構成要素を「有意味感」「把握可能感」「処理可能感」という3つの感覚で説明している。
講義でもざっくりとこの3つの感覚について説明があった。
「有意味感」はどんなことにも何らかの意味を見出せる感覚。
「把握可能感」は混乱した状況でも先をある程度見通せる感覚。
「処理可能感」は今までの成功体験に基づいて「ここまではなんとかなる」と確信したうえで、未知の部分については早期に援助を依頼することができる感覚。
アントノフスキーの研究によれば、抑うつと最も強い相関関係を持つものは、年齢でも性別でも労働時間でもなく、SOCであるということになる。
そして、SOCはそれを伝えることで他人を励まし支えることでより高まる感覚であり、最終的には「主観的健康感」としてその人自身を支えるものとして働くそうなのだ。
このSOCって感覚、話だけではよくわからないけど自分に当てはめるとよくわかる。
僕にはSOCの構成要素である「有意味感」「把握可能感」「処理可能感」のどれもが欠けているのだ。
だからうつ病になったのかもしれないし、まだ治療が終わらないのかもしれない。僕は医師でも臨床心理士でもないのだから、素人判断は危険なことだとは思うけどね。
でも本当に自分はこの三要素が弱いなあって思うんだ。
今は自分のメンタルヘルスだけではなく、職場で働く部下や同僚のメンタルヘルスにも気を配らなければならない。
幸い部下や同僚に恵まれているおかげでこんな僕でもなんとかなっているが、まずは自分のSOCを高めること。話はそれからだなって強く感じた。
そしてそれを周囲に伝えて還元していくことが求められていると思うと、ちょっと気が遠くなったことは内緒だ。
そういえば、今回の講義ではSOCの具体的な高め方についてアドバイスがなかった。ビールばっかり飲んでないでそれくらい自分で勉強しろということか...
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