麦雑穀工房と書いて「ざっこくこうぼう」と読みます。ここは埼玉県比企郡小川町にあるマイクロブルワリー。
すべてオリジナルのクラフトビールが飲める座席数12席ほどのブルーパブを併設しています。
北浦和にあるBEER HUNTING URAWA でこの麦雑穀工房さんの「山椒ポーター」というビールを飲んだ時にとても風味がいいなと思ったのと、それを飲んでいる時に常連さんやお店の人にとてもいいところだと聞いたので「そうだ!小川町に行こう!」とお出かけしてきました。
東京方面からだと東武東上線で池袋から急行電車に乗って約70分。八王子からJR八高線でやはり約70分となかなか空気の良いところにあります。
僕は家が川越市なので最寄駅から快速で約30分、急行で約40分と意外と近いのです。
小川町の駅前はこんな感じでとてものどか。
こんなのどかな駅前ロータリーから駅を背にして右方向に歩いていくと(ちなみに駅の出口はひとつしかありませんから安心してください)、約2〜3分で左側に麦雑穀工房マイクロブルワリーがあります。とっても駅近。
お店の前にはタンクが置いてあり、その横にはホップが植えられてすくすくと育っていました。すごいな。生きているホップなんて初めて見ました。
お店の中はL字型のカウンターのみで12席ほどの本当に小さなお店です。ご夫婦でビールの製造から提供まで切り盛りされているようでした。
木をふんだんに使った手作り感のある店内も素敵で落ち着きます。
棚には各地のクラフトビールの空き瓶コレクションがびっしりと並んでいて、そのラベルや瓶の形を見ているだけでも楽しい。
僕が訪れた日はこの工房で造られたオリジナルのクラフトビールが5種類提供されていました。
どのビールもできる限り自家栽培の原料を使用した「畑からのビール造り」にチャレンジしているとのこと。
おつまみも自家栽培の野菜や地元のお肉屋さんのものばかりでとても体に良さそうです。
まずは創業時からの看板ビールである「雑穀ヴァイツェン」をいただきます。
出来立てのクラフトビールが420mlで500円とかうれしすぎます。
ヴァイツェン特有の独特な香りはそれほどきつくなくてやわらかくまろやかな匂い。味わいも苦味控えめで美味しいヴァイツェンらしい飲みやすさです。
ライ麦、キビ、アワが加えてあるそうなのでそれで香りが余計まろやかなのでしょうか。最初の一杯に丁度いいし、何杯でもいけちゃう感じ。
おつまみは「季節の野菜・自家漬けピクルス」と「デリカテッセンアーチャンのなんこつ燻製」を注文。
まずは「季節の野菜・自家漬けピクルス」。酸っぱいものは苦手なのですが、嫌な酸味がなくてとてもやさしい美味しさ。酸っぱいの苦手な人でも美味しくいただけます。
すべて自家栽培の野菜だそうです。ピンク色のカブみたいなのってなんだかわかりますか?これ「ビーツ」なんだそうです。そう、あの砂糖大根のビーツ。これが一番美味しかったなあ。ビールとの相性も良いです。
続いて地元小川町のお肉屋さんデリカテッセンアーチャンのなんこつ燻製。
これがまた丁度いいコリコリ食感と燻製のいい香りが絶品で、どう考えてもビールのためのおつまみ。あまりの人気に欠品となることもあるそうです。
どちらも一皿350円と、ビール共々ブルーパブとは思えない良心的な料金設定に感涙。
そして美味しいから困ってしまう。いや困らないけど。
2杯目は「ラスティック セゾン」(360ml 600円)。ベルギースタイルのビールです。
ビールによってグラスが変わるのもいいですよね。そのビールの風味を一番引き出すグラスを選んでいるのではないかと思われます(未確認)。
麦の香りとライ麦の酸味が心地よいまったりとした味わいのビール。飲んだ後に口に残る旨味と喉に残る程よい苦味が気持ちいい素朴だけど深い味わいが印象的。
農作業の合間に渇いた喉を癒すために飲まれていたビールとのことですが、さもありなんな飲みやすさです。
美味しいおつまみに囲まれて美味しいラスティックセゾンを飲む幸せ。空気もうまい!
お店からはビールのタンクも見えます。造っているすぐ横で飲める幸せ。そりゃ美味しいわけです。
3杯目は麦雑穀工房定番の黒ビールということで「おがわポーター」(400ml 500円)。
黒ビール特有の焙煎香がとても心地よいです。強い香りにかなりの濃厚さを覚悟したのですが、これがあっさりと飲みやすい。飲み口軽やかです。
いい香りと飲みやすさが併存している美味しい黒ビール。
続いてこの店に来るきっかけとなった「山椒ポーター」(275ml 500円)。
同じ黒ビールでも、こちらには地元産の山椒を加えて香りづけをしています。
常連さんとお店の人が何リットルに山椒を何グラム入れると...といった話をされていて、ふんふんと聞いていたのですがメモを取っていなかったので忘れてしまいました。
でも、それほど大量の山椒は入れなくても香りは出るそうですし、多く入れすぎるとビールの成分と山椒が分離しちゃう(だったかな?)のでうまくできないようです。
難しそう。
BEER HUNTING URAWA で飲んだ時は山椒の香りというよりも野趣な風味を感じたのですが、今回飲んだ山椒ポーターは少し舌がピリッとくる程度には山椒が効いていて以前飲んだものよりも香りも山椒でした。
その時々で多少味わいが変わるのもクラフトビールの楽しいところではあります。
次のおつまみは、まず「4種の自然力野菜プレート」。これも350円ね。
普段はあまり野菜は食べないんだけど、この店の野菜は何を食べても美味しいんですよ。左から二番目のなんて大嫌いなトマト味だったのに、美味しいからうっかり全部食べちゃったくらい。その右隣のズッキーニが一番美味しかったなあ。
基本的に肉食なので野菜で幸せになれるなんて初めてです。
そして自家製のスティックパン「ビアシュタイゲン」。パンといっても硬いパンです。
生地にはミックスハーブが使われていて、味付けは塩。表面に岩塩がめり込んでいます。これがビールに合うんですよ。単体だと普通なんだけど、ビールと一緒だと止まらなくなる感じですごく美味しいのです。1本100円なのもうれしい。
この日5杯目は「ザルチィック」(300ml 500円)。
ドイツ語で「しょっぱい」という意味のビールです。上でご紹介した「ビアシュタイゲン」を副原料に使っているそうです。
ベルギーで余ったパンをビール造りに利用していることからヒントを得たという実験的なビール。
名前ほどはしょっぱくありません。ほのかに軽く塩を感じる程度。それとかすかな酸味が特徴のすっきりとしたビールで、これからの暑い季節にはいいんじゃないかと思いました。
それにしても、どれを飲んでも美味しくておつまみもビールにぴったりだし、常連さんの話も楽しくて居心地のいいお店です。
僕はこの日のビールを5種類制覇したら帰るつもりだったのですが、ついつい雑穀ヴァイツェンと山椒ポーターをお代わりしてしまいました。
だってもう少しいたいなあって思ってしまういい店なんだもん。
そして常連さんが食べていた「サバペーストのオープンサンド」がどうしても気になって...これツナじゃなくてサバのペーストだからね。すんげー美味しかった。350円。
7杯も飲んでしまってかなりいい気分になったので、後ろ髪を引かれる思いで店を後にしました。
帰りの東上線はガラガラで乗った時点では貸切状態。
最寄り駅まで爆睡して帰りました。
僕は今回、麦雑穀工房マイクロブルワリーでビールを飲むためだけに訪れましたが、小川町はもともと和紙で有名なところ。和紙づくりの体験ができる施設もありますし、少し脚を伸ばして隣の東秩父村ではユネスコ無形文化遺産に指定されている「細川紙」の手すき体験もできるので、それらと組み合わせれば立派な観光コースになるんじゃないかなって思います。
もちろん、麦雑穀工房マイクロブルワリーでビールを飲むためだけに訪れても十分にその価値があるお店だと思いますので、ぜひ多くの人に訪れてもらいたいものです。
あまり混んでしまって僕が行った時に座れなくても嫌なんだけどね。
麦雑穀工房マイクロブルワリー ブルーパブのblog | 埼玉県小川町駅近くの小さなブルーパブ。主に営業日・営業時間の案内&イベント出店などのお知らせをしています。
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