最近ちょっと情緒不安定。そろそろ瞑想でも始めようかと思っている今日この頃。
先日行ってきた新宿にあるタイのスーパーマーケット「アジアスーパーストア」で、タイの薬酒の素を買ってきた。
朝鮮人参や黒生姜の根などの漢方薬系の素材でできていて、一袋を650mlのアルコールに入れて作るのだけど、この素と酒があれば誰でもできるお手軽さ。
いわゆる滋養強壮薬のようなもので、出来上がった酒(タイ語でヤードーン)を飲むといろいろ元気になると言われている。
倒れたものも勃ち上がるとか勃ち上がらないとか。
食欲不振や女性の生理不順にも効くとか効かないとか。まあ薬効は気の持ちようだ。
出来上がったものは基本的に薬なので、用法としては毎食小さなグラスに1杯程度飲めばいいのだが、タイの最底辺の酒場である地面にゴザを敷いて酒を飲ませる飲み屋ではこの酒しか置いてないところも多く、浴びるように飲むこともしばしば。
そんなに元気になってどうすんだって話なのだが。それしかないのだから仕方ない。
とりあえず、自分で作る分には酒はウイスキーでも日本酒でも焼酎でもなんでも好きなものでいいのだが、今回はタイ米でできていることから相性もいいだろうということで、沖縄の「瑞泉」という泡盛を使った。
泡盛って「瑞泉」に限らずタイ米を使ってるものが多くて、タイの焼酎「ラオカーオ」に風味が似ていて好きなんだ。
ヤードーンの素を開けると、こんな真っ赤な固形物が出てくる。香りはなんと表現したらいいのか。独特の甘い漢方っぽい香りで、一度匂いを嗅ぐと忘れない強烈さ。
何かに例えられるといいのだけど、語彙が足りなくて表現できない。
ただ万人にとって不快な匂いではないことは確かだ。
これを適当に砕いて、泡盛の瓶の口から入れていく。
けっこうしっかりと固まっているので、砕くのも手間がかかる。
粉末にしてくれればいいのに。手にすっかりヤードーンの匂いが染み付いて洗ってもしばらく落ちない。
素を入れたばかりの頃はこんな感じでまだ赤い色は広がっていない。まだ赤く染まらない純なアルコール。
底には塊が沈んでいる。
少しだけ上下ひっくり返したりして、2日ほどたつとこんなに真っ赤な酒に変身。お前も染まっちまったなって感じ。
タイの赤酒ヤードーンの完成。
材料を知らなければ(知っていても少し)、どう見ても怪しげな酒である。
このなんとも懐かしい色合いと独特の香り。
いかにもチープな怪しい赤酒には、ネームというタイの生ソーセージがよく合う。
ネームを適当につまみながら、赤酒をチビチビとやっていると気分は一気にタイへと飛んでいく。
よせばいいのに、ネームをつまみに赤酒を飲むとついつい飲み過ぎてしまう。
気がつくとネームのおかわりを自分で切ってきて、手酌で赤酒をぐいぐい飲んでいた。
酔いはじめた頃から薄々ヤバいなって思っていたのだけど、やっぱりこの赤酒を毎日のように浴びるほど飲んでいた頃の記憶が生々しくよみがえる。
もう大丈夫だと思ったんだけどな。
一度噴き出すと止めようもなく、わずか3日間の思い出があふれ出す。
自分の感情さえもコントロールできず、すっかり忘れてしまっていたことを思い出して泣いていた。悲しいとかじゃなくて自分の身勝手さに情けなくなって泣いていた。
実は前回、と言っても2年以上前だけど、タイに行ったときにファランポーンの駅前で彼女のことを探したんだ。結局見つけることはできなかったけど。
彼女が田舎に帰ったのか、バンコクの闇に落ちていったのか僕にはわからない。
ローイエットで幸せに暮らしていてくれたらいいなとは思っている。自分勝手な願いだということはわかっているし現実はそんなに甘いもんじゃないってことも。
赤酒なんて作らなきゃよかった。
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