[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。

[ま]駅のホームから落ちた人をただ見ていることしかできなかったんだ @kun_maa

時々、駅のホームから線路に転落して電車に轢かれて死んでしまった人の話や、逆にホームに居合わせた人たちに助けられたというニュースを目にします。

僕は今までそういった場面に立ち会うことはなかったのですが、駅のホームに電車の緊急停止ボタンがあることは知っているし、何かあればきっと人を助けるために動けるだろうなんて気軽に考えていました。

f:id:kun-maa:20140621080115j:plain

昨日の仕事帰り、駅のホームで電車を待っていました。

ホーム上は金曜日の夜ということもあってけっこう混み合っており、周囲は人の頭や身体しか見えない状態です。僕は本を読みながら電車の到着を待つ列に並んでいました。

電車がホームに入ってくるというアナウンスが流れて、列が少しだけ前に動きだしたその直後に、僕の斜め左前方で大きな音がしました。僕の位置からはだいたい7〜8メートルくらい離れていたと思います。

小さな悲鳴が聴こえたかと思ったら、音がした辺りに並んでいた人たちが一斉にその場から逃げ出し始めました。人が多すぎて最初は何が起きたのかさっぱりわかりませんでしたが、現場から人が逃げ出したことで、その空間がぽっかりと空き、ホーム上に残された荷物が見え、反対側のホームからそのあたりを指差して叫んでいる人の様子から、ホームから人が落ちたらしいということがわかりました。

今、まさにホームに入ってくる電車の音と警笛が聞こえます。

僕はその場から逃げ出す人たちに押されながらも、その場を動くことができませんでした。

駅のホームにあるはずの「緊急停止ボタン」を押すために動き出すことも、落ちた人の場所に行って助け出そうとすることもできませんでした。

ただ、読んでいた本を片手に持ったまま、人が落ちたと思われる場所をじっと見て立ち尽くすことしかできなかったんです。

そして、頭の中では「なんでみんな逃げるんだろう?」と思いながら、ホームに入ってくる列車とそれに轢かれる人の姿、飛び散る血しぶきと肉片が浮かんでいました。

ああ、みんな自分たちの服が轢かれた人の血や肉で汚れないように逃げているのか・・・僕はそんなことを考えながら何もできませんでした。その場から一歩も動くことすら。

何かあればとっさに動けると何の根拠もなく思っていましたが、実際にその場に出くわすと何もできないものなのですね。

誰かが緊急停止ボタンを押し、ホームに入ってきた電車はすぐに止まりました。一度は全員が逃げ出してぽっかりと誰もいなくなっていた転落場所に人が戻ってきて、ホームに落ちた人を何人かで引っ張り上げていました。人が戻ってきたことで、僕の場所からは現場がまたよく見えなくなっていましたが。

周囲の人の雰囲気や、助け出した人たちのかけ声などで落ちた人が怪我もなく無事であることもわかりました。

あのような緊急事態に、とっさに身体が動くというのはどういう人たちなんだろうって帰りの電車の中でずっと考えていました。

今回は、近くにいた人たちはみんな逃げ出してしまい、誰もホームから飛び降りて助けようとした人はいなかったけど、ニュースで時々見かけるそういうことができる人ってどんな人なんだろうって。

考えたけどよくわかりませんでした。僕も今回はまったく動けなかったけど、もっと近くにいたらたぶん他の人と同じように逃げ出していたと思います。情けないけどそれが自分です。自分を犠牲にして赤の他人を助けることができるのか。僕の答えはNOです。これからもきっとできないと思います。冷静に対処できるように訓練すれば、緊急停止ボタンを押すために走ることくらいはできるようになるかもしれません。でも、ホームから飛び降りてまったくの他人を助けるなんてとても無理です。

それができる人とできない奴の違いってなんだろうって、昨日からずっと考えているけど答えはでません。僕にはわかりません。

2001年に新大久保駅で、ホームから落ちた人を助けようとして亡くなった日本人カメラマンと韓国人留学生の2人と、それをもとにした小説「横道世之介」を思い出しました。

そして、家族や友人や恋人だったらどうだろうかと置き換えて考えることしかできない自分が情けなく感じました。 

横道世之介 [DVD]

横道世之介 [DVD]

 
横道世之介 (文春文庫)

横道世之介 (文春文庫)

 
横道世之介 (文春文庫)

横道世之介 (文春文庫)

 

このブログを気に入っていただけたら、下のボタンからツイートやいいね!、はてなブックマークなどしていただけると僕がとっても喜びます。

また、RSS登録していただける方はこちらのボタンをご利用ください。 

follow us in feedly