[ま]映画「ノア〜約束の舟」/ノアのイメージを変え、神の意志なんて人の解釈次第じゃない?って作品 @kun_maa
僕はクリスチャンではないので正直、ノアの方舟のお話と言われても特に興味があるわけでもなく、旧約聖書に書いてあるという元のお話も詳しくは知りません。
堕落した人間たちに対して怒った神が、いい人代表にノアを選んでこっそり夢で啓示を与えます。いろんな動物とノアの家族だけは助かるように事前に箱舟を造らせて、それを見ていた他の人たちにバカにされながらも箱舟を造り上げたら、大雨で世界が大洪水になり、ノアのことをバカにしていた人たちを含めて人類滅亡。箱舟で生き残ったものたちが新しく世界を造り直しました。めでたしめでたしっていうのが僕のノアの箱舟に関する知識の全てです。だいたいあってますか?
ではなんで、わざわざ映画館に「ノア」を観に行ったかというと、単にラッセル・クロウとエマ・ワトソンのファンだからです。ついでに言うと、ジェニファー・コネリーとアンソニー・ホプキンスも出演してるんだぜ〜。豪華出演陣です。
肝心の映画の方はどうだったのさ?っていうと、まあそれほど酷くもないけど、すっげー!ってほどでもなかったなって感じ。
ラッセル・クロウはやっぱり昔のワイルドなちょっと汚なめの男をやらせたら最高の役者さんですね。ええ、グラディエイターのイメージに毒されていますとも。
僕はずっと、ノアっていうのは完全無欠の善人だから神(ちなみに作品中ではGodは使っていませんでした。常にCreatorを使ってましたね)に選ばれたのだと思っていましたが、この作品のノアはちょっと立ち位置が違います。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、まあ善人ではあるんですが、本人曰く、あくまでも創造主である神に忠実な男であるから選ばれたってことのようです。
神の計画遂行のためなら人殺しでもなんでも「俺がやっちゃる」って男です。まあ、このノアが自分で考えている立ち位置も、養女イラ(エマ・ワトソン)の解釈ではまた変わってくるし、結局のところ「神の意志」って人間の解釈次第だよねって印象を強くさせられた作品だったんですけどね。
とはいえ、箱舟のスケールはなかなかのものですし、動物たちが集まってくるシーンも壮大と言えば壮大です。
ノアの父親を殺した男で、アベル殺しのカインの末裔トバル・カインが、ノアの箱舟の噂を聞きつけて登場しますが、彼はノアのことをバカにするのではなく、神が洪水で人類を滅亡させようとしているのなら、箱舟を力で奪って生き残るまでだという合理的な思考の持ち主です。
そして、カインは人間を造っておいて面倒を見ずに見捨てた神を恨んでいます。だから神の意志なんてクソ喰らえ!です。自分の運命は自分で決めるのであって神に決められてたまるかというとてもまともな意見の持ち主であり、人間性重視の男なのでどちらかというと「神様の仰せのままに!」っていうノアよりもカインに共感してしまいます。
おもしろかったのが、岩石製のトランスフォーマーみたいな堕天使が登場してノアの味方になり、箱舟つくりを手伝ったり悪人たちから舟を守ったりするんですが、これって旧約聖書にも出てくるんですかね?教えて詳しい人。
そして、もちろんノアが夢で見た神の啓示どおりに大洪水が起こり、世界は水没します。
トバル・カインが率いる「悪い人類」軍団も、雨に合わせて箱舟奪取に動きますが、岩石トランスフォーマーや神の奇跡により敗退。もちろん、ラッセル・クロウ演じるノアも箱舟に襲いかかる人々をガンガンなんのためらいもなく殺しまくります。う〜ん。
洪水により死にかけている一般の人々の悲鳴や助けを求める声が聞こえてきても、ノアは絶対助けません。家族に「助けてあげようよ〜」って懇願されても頑に拒否します。神の御意志に反することだからです。
そして、世界が洪水で死に絶え、目的を達したかに思えたそのときに、ノアは神の計画について家族に驚くべき事実を話しだします。僕ですら、え〜!って感じですよ。
この作品のノアさん、神の計画のためには家族の愛もなにもかも犠牲にする覚悟の完全無欠の神の下僕です。ノアってこんな奴だったんかいな?ってイメージが変わります。
いや、ホント。
ネタバレしないように、細かいところを省いて書いているので雰囲気程度しか伝わらないかもしれませんが、ノアに対するイメージが変わるっていうことと、神の意志の在り方って人間の解釈次第でどうとでもなるんじゃない?っていう2点が印象的な作品でした。
そして、やっぱりエマ・ワトソンは可愛かったし、アンソニー・ホプキンスは得体の知れない不気味さ(そういう役じゃないと思うんだけど)がよかったです。
どうしても観ておいた方がいいって作品でもありませんし、ノアの箱舟伝説に特に興味があるとか、出演者のファンだとかっていうんじゃなければ、たぶん一生観なくても後悔しない作品だとは思います。
それでも僕はそこそこ楽しんだし、なぜか2回ほど泣きそうになりましたけどね。
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