[ま]固まる表情と微笑みの狭間で @kun_maa
僕はタイの市場が大好きです。
朝の喧噪と賑わいの時間帯も昼間の気だるい雰囲気も。
市場ですることと言えば、いろんな売り物を見て「それなに?」「あれなに?」って聞きまくったり、いろんなものを買い食いしながらウロウロして市場で働く人や売り物の写真を撮ったり。
市場で働く人の写真を撮るときは必ず「写真とっていい?」って聞くようにしています。
断られることはまずありません。
いつでも誰でも「いいよ、いいよ」って言ってくれます。時には周囲の人たちから「おお!写真撮ってもらってる〜」「きれいに撮ってもらいなよ」みたいなかけ声が上がりその場が笑顔で包まれるときもあります。
たまに、おばちゃんが「いやだよ〜、私はきれいじゃないから」とか言いながらも写真を撮らせてくれます。
でもね、イザ写真を撮ろうとすると、さっきまでの笑顔が消えてなんか表情が固まっちゃうことが多いんですよ。
そして、横を向いたり、作業に集中したり・・・
あれ?やっぱりイヤだったのかな?って思いながら写真を撮り終わって「ありがとう」って言うとすっごくいい微笑みを返してくれるんです。
本当はその微笑みを写真に撮りたいんですよ。でもカメラ(今回はすべてiPhoneだったけど)を向けるとやっぱり同じで、表情が固まったりうつむいたり横向いたりしちゃう。
あの微笑みが撮りたくて「ありがとう」って言いながら写真を撮ろうと思ったこともあるんですけど、なんかそれは違うなって思えてしまって。
だって「ありがとう」ってちゃんと言いたいじゃないですか。写真を撮りながら心のこもらない、写真を撮るための手段としての「ありがとう」なんて言いたくないんですよね。
だから僕の撮る市場の写真は、そのときの雰囲気を切り取ることができないんです。これはひとえに自分の未熟さなんでしょうけど。僕にはあの微笑みを撮る力がない。
だから、写真に撮ることはあきらめて、「ありがとう」って言ったあとのみんなの微笑みをしっかりと見てこちらも笑顔を返すことに徹しています。
だから僕には手元に残った市場の人たちの無愛想な写真を見ると、その後に見せてくれたとろけるような微笑みが目に浮かびます。
それでもいいんだよなあって、思っています。
僕は市場で写真を撮ることが好きだけど、それ以上に好きなのは市場の人たちと話をして、とびきりの微笑みに見送られることなんだなあって気がついたんです。
たぶんこれからも、僕が撮る市場の人たちの写真はこんな感じのものばかりになるでしょう。でも、その写真を撮ったあとでもらったとびきりの微笑みを僕は忘れません。
それが忘れられずに、僕はまたタイの市場へと出かけて行くのでしょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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