再開発が進んで駅前はどんどんきれいになり、おしゃれな飲食店や宿も増えてきました。
そんな駅周辺でも、一歩路地を入ると昔ながらの商店や食堂が、まるでそこだけ時が止まっているような様相で旅人を出迎えてくれます。
僕が今回泊まった「ステーションホテル」という廃墟のようなホテルもそんな路地の一角にあります。
[ま]バンコク・ファランポーン駅前ステーション・ホテル @kun_maa - [ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)
ホテルの入り口の横に、何十年も営業を続けていると思われるカフェ・ボラーン(昔ながらのタイコーヒー)のお店があります。
初日にこの店を訪れた時にいたおばちゃんは、見るからに優しそうないいおばちゃんで、カフェ・ボラーンを注文したら嬉しそうに作ってくれました。
一応、オープンエア(?)の店内もあるんですが、路地にはみ出して置かれたテーブルで通り行く人を眺めながら朝食を食べるのが僕のお気に入りです。
カフェ・ボラーンにおまけのパートンコー(揚げパン)付きで20バーツ(約60円)。
カフェ・ボラーンには必ず中国茶がついてきます。コンデンスミルクがたっぷり入った甘ーいコーヒーなので、お茶で口直しをするって意味なんでしょうか?
タイのあちこちで飲んでいますが、未だにこの飲み物と飲み物のセットの意味がよくわかりません。
同じ店で、同じ時間帯に行っても違うおばちゃんが店をやっていたりします。
曜日で違う人がお店を借りているのか、それとも前日のおばちゃんの家族なのかよくわかりません。このおばちゃんはちょっと不機嫌な顔で、一見無愛想なのですが、話してみると普通にいいおばちゃんでした。
この日は、パートンコーをたくさん食べたので、27バーツでした。おばちゃんは替わっても、コーヒーの味は変わりません。
おばちゃんと話をしていると、お坊さんもやってきてお茶を飲みながら話に加わりました。この坊さん、日本からタイへの往復の航空券の値段を聞いたり、いきなりタバコを吸い出したりしてけっこう煩悩を抱えた坊さんです。袈裟も新しいので坊さんになったばかりなのでしょうか。
みんなで話をしていると、ひとりのホームレスがしつこく僕にお金をせびりにきました。
断ってもその場を離れないので弱ったなあと思ったら、おばちゃんとお坊さんが一斉に「この人は日本人なんだから、もうやめてあっちへ行け!」とホームレスをしかって追っ払ってくれました。
わざわざ「日本人なんだから」と付け加えるのは、お金がありそうに聞こえていかがなものかと思いましたが、しかられたホームレスはすごすごと去って行きました。
この路地を行き交う人たちは、みんな顔見知りみたいでおばちゃんや兄ちゃんやおねーちゃん、おかまなどいろんな人たちが通り過ぎながら、おばちゃんたちに声をかけたり、パートンコーをつまみ食いしていったりと、なんだかその輪の中にいるだけで癒されるような空間でした。
この周辺の建物はかなりボロボロなので、いつ再開発の波にのまれてなくなってしまうかわかりません。
こういう雑多だけど楽しい雰囲気の空間がなくなって、小洒落たカフェなんてできたら、とってもがっかりするんだろうなあなんて思います。指先を油でギトギトにしてパートンコーをつまみ、激甘のタイコーヒーにちょっと浸しながら食べているとちょっと感傷的になってしまいました。
こういう雰囲気の店はいつまでも変わらずにいて欲しいと思う @kun_maa です。
夜に見ると、手前のおしゃれな飲食店の裏でより一層廃墟感が濃くなるステーションホテル。知らないと立ち寄りがたい雰囲気を醸し出していますね。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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