日本人の多くは一応、仏教を信仰しているのでしょう。
だって、多くの家庭には仏壇があったり、お盆やお彼岸にはお寺にある墓参りをし、死ねばお寺の僧侶にお経をあげてもらい、仏教の修行などしていなくても戒名がついて仏になるということになっています。
でも、本来の仏教は霊魂の存在を否定し、輪廻や生まれ変わりも否定しています。
ブッダは死ねば極楽あるいは地獄に行くとも教えていないといいます。
人々は仏像や目に見えない仏を拝んでご利益を願いますが、本来の仏教の「仏」とはキリスト教の神のようなミラクルな存在ではなく、修行により真理を悟った人のことを指すだけなのです。
多くの日本人が抱いている仏教のイメージは、本書によればヒンズー教とキリスト教の知識から合成されたもののようだといいます。
僕自身は、そこに儒教や日本古来の先祖崇拝のようなものも加わっているんじゃないかと思っていますが。
仏教に対する多くの誤解を解き、すべてのものが関係しあって互いの存在を支えているのだという「縁起の理」こそがブッダの悟りであるということを、わかりやすく説いているのが本書です。
なぜ本来の仏教と日本人のイメージする仏教とがかなり異なるものとなってしまったのか。著者はその理由として3つ挙げています。
- 僧侶たちが積極的に仏教の真髄を教えてこなかったこと
- なんとなく仏教徒だろうと考える人たちが、仏教徒はどういうものなのかを自ら勉強してこなかったこと
- 新興疑似宗教や自称霊能者たちがでたらめな教説を流布して、仏教とは何か正しく知らされていないこと
これらの理由から、本来の仏教から乖離した仏教が広まっているのだそうです。
本書では、純粋な形の仏教の考え方を取り上げて、仏教とはなにかを解説していきます。
それは、「仏」の意味から始まり、ブッダの経歴や経典の成立、仏教の考える人生のとらえ方、苦しみの原因、「縁起」や「空」や「無我」の意味、「煩悩」や「涅槃」について、さらには「愛と慈悲」、「諸行無常」の意味や「輪廻思想」にいたるまで、こと細かに取り上げてわかりやすい言葉で解説しています。
読み進めるにつれて、自分が今まで仏教に抱いていたイメージとは大きく異なることがよくわかります。
自分の中の、仏教に対するモヤモヤした部分がかなりスッキリしました。
それにしても、仏教って知れば知るほど、死後を語るための宗教じゃなくて、人生をよりよく生きるための哲学だよなあって思います。
この本は、仏教の本来の姿を知るために、簡単で最適な入門書です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
このブログを気に入っていただけたら、下のボタンからツイートやいいね!、お気に入り登録などしていただけるととてもうれしいです。