昨日の夜、仕事帰りの僕は空港にいました。
自分にとって海外に飛び立つ前の空港出発ロビーはいつもワクワクする場所だったはずなのに、昨日は全く別の場所のように思えて。
空港の出発ロビーってこんなに別れがありふれていて切ない場所だったんですね。
自分自身が旅に出るときに通過する出発ロビーはいつもワクワクした気分で満ちていてとても楽しい場所です。
目に入るのはこれから旅立つはしゃいで楽しそうな人たちばかり。大げさでもなんでもなく全てが輝いて見えるような感じ。
僕に楽しそうな人たちしか見えていなかったのは、そして全てが輝いて見えていたのは、自分がこれからはじまる旅の高揚感に包まれていたから。
人は見たいものしか見えていないとはよく言われることだけど、気にしていないものはたとえ視界に入っていても見えていないってのは本当なんですね。
昨日の僕には楽しそうな旅人よりも、別れを惜しむ人たちの姿の方が多く見えました。
旅立つ人たちとそれを見送る人たち。
別れを惜しむように抱き合う人もいれば、いつまでも離れがたいのかずっと立ったまま口を耳に寄せて話し込んでいる人たち、静かに別れのキスをする恋人たちもいました。
全てが切なく見えてしまい、輝いて見えるものなんて何もありませんでした。
ああ、そういえばやけにロビーは明るく感じたけど。
今まで見えていなかった別れの情景ばかりが見えてしまったのは、僕もきみを見送る側の人間だったからなのかもしれません。
自分が旅立つばかりで、見送ることには慣れていないんだよ。
空港の見慣れた出発ロビーでも自分の心がどこに拠って立つかで、自分の気持ちがどういう状態にあるかで見える景色は違ってきます。
旅人の僕が見えていたものと見えていなかったもの。
見送る側の僕が見えていたものと見えていなかったもの。
出発ゲートの向こうに消えていくきみを見送った後、来た道を振り返らずに黙々と歩きモノレールと電車を乗り継いで日常へと戻っていく僕。
さすがに人混みで泣くような失態はしませんでしたから安心してください。
だけどあなたのいない世界はやっぱり寂しい。
見慣れた通勤風景でさえ、いつも以上に殺伐としてまるでモノクロの世界のようです。
それでも大丈夫、きっとすぐに慣れるからさ。
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