[ま]映画「バケモノの子」(ネタバレなし)/涙が目尻から頬を伝って首まで流れて止まらなかった @kun_maa
細田守監督の最新作「バケモノの子」を観てきました。
先日観たターミネーターとは違って、子供からおばちゃんグループ、カップルまで幅広い層が座席を占め、普段は混んでもひとつおきくらいまでしか席を詰めない映画館なのですがほぼ満席状態でした。人気あるんだなあ。
日テレの「金曜ロードSHOW !」でのキャンペーンなんかもけっこう効いているのかもね。やっぱりテレビの力は侮れません。
僕自身は、前作の「おおかみこどもの雨と雪」の後半にほとんど感情移入できず、ちょっとがっかりした方なので、今回の作品はどうかなあという心配はありましたが、それは杞憂に終わりました。
どこで泣いたかはあえて書きませんが、3回泣きました。
涙がぶわっと目からあふれ出して、頬を伝い、まるで白糸の滝のように首まで流れ落ちていきました。濡れても目立たない黒のTシャツでマジよかったぜ。
シネコンだから座席がゆったりめとはいえ、息を吸うときに肩が震えて思わずしゃくりあげるように「ヒッ!」って小さな声が漏れてしまったので、隣の人には泣いているのがバレていたと思います。
まあ、3回のうち2回は隣の人も同じところで泣いていたのがバレバレだったけどね。
ストーリーは、離婚した母親と暮らしていた9歳の少年「蓮(れん)」が交通事故で母親も亡くし、傲慢な親戚に引き取られることを拒否して、ひとりで生きていくことを選び、渋谷の街をさまよっていてバケモノと出会ったことからはじまります。
そのバケモノの名は「熊徹(くまてつ)」。
熊徹は、幼い頃から孤独に育ってきた粗暴で品格の欠片もないバケモノだけど、バケモノの街「渋天街」でも強さでは次期「宗師」(渋天街のリーダー)の候補となるほどの実力を備えています。そして、人を愛したことがないから不器用なだけで、実はとても熱い心の持ち主です。
そんな熊徹の弟子として、蓮が熊徹に付けられた「九太(きゅうた)」というバケモノ界での名前で修行をしながら育っていくというのが物語のはじまり。
どちらも頑固で意地っ張りな熊徹と九太のやりとりや、今時流行らない「修行」なんてものを上手くソフトに取り入れていきながらも生き生きと育っていく九太と、子育ては親の成長でもあるなんて言葉をそのまま体現していくように変わっていく熊徹。
実はこの時点ですでに個人的な理由でかなり主人公の少年に感情移入していました。
「れん」という名前が、僕の息子の名前と同じなんですよ。漢字は違うけど。
なんかね、名前が同じというだけでもう他人に思えないんです。
強情なところとかも似ているし。
だから余計後半部分で九太が葛藤する姿や、熊徹とその友人のバケモノたちと九太の間に生まれる親子の愛情みたいなものに触れて目頭が熱くなったのかもしれません。
前半部分では弱々しかった九太もいつの間にか月日が流れて立派な青年に成長します。
熊徹との練習もまともにやりあえるほどに。
そして人間界の渋谷とバケモノの「渋天街」を行き来するようになる九太。渋天街では幼い頃と同じ九太だけど、人間の世界では元の名前「蓮」を名乗ります。
渋谷にある進学校に通う美少女「楓」との出会いと甘酸っぱい青春ものの展開もワクワクします。
それにしても、この楓がとってもいい娘なんだなあ。惚れちゃうくらいに。
彼女の設定もありえないくらいに二次元の青春アニメっぽいし。
その後の展開は観てのお楽しみってことでよろしくお願いしま〜す!
冒険活劇あり、家族愛あり、悩める青春と切ない恋愛ストーリーあり、人間のもつ心の闇とそれが引き起こす派手なアクションもあり、人間の世界のすぐそばにバケモノの街が本当にあるような臨場感ありと、みんなが楽しめる要素満載です。
まさに、万人ウケするエンターテイメント作品だといえるでしょう。
劇場内でも、観客が大笑いしたり、興奮して声を上げる子供がいたり、すすり泣きがしたりと幅広い層の観客それぞれが楽しめるポイントがたくさんあったのだと思います。
もちろん3回泣いたこのおっちゃんも十分楽しめました。
それでも、熊徹と九太との結末はたぶん意見が分かれるところではないかと感じました。
それはたしかに感動的で、それまでの熊徹と九太の関係をベースにしている最大の山場でもある場面があります。
ここは親の視点では、こうしてでも子を守ってやりたいと思うだろうけど、子供の立場からしたら自己の中心への親の内在化っていうちょっとゾッとする出来事だと思うんですよね。
ネタバレしないように説明しようとすると、何書いてんだかさっぱりわからないからやっぱり観てきてください。僕が書いたことを覚えておいて作品を観ていただけると、あいつこれのことがいいたかったのかってすぐわかると思います。
まあ、とにかくおすすめですよ、この作品は。
2時間近い上映時間があっという間に感じるほど、中だるみもなく最後までとてもおもしろいし、たぶんあなたも泣く。
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