[ま]一家に一冊必携の書「ゾンビサバイバルガイド」/生き残るために必要な全てはここにある @kun_maa
ブラッド・ピット主演で話題となった映画「ワールド・ウォーZ」の原作者マックス・ブルックスのデビュー作にして、全世界200万部の大ベストセラーとなったのが、この「ゾンビサバイバルガイド」だ。
そもそもゾンビとは何か?映画や小説の世界ではさまざまなゾンビが登場するので、我々も混乱するところではあるが、本書が対象としているのは本物のゾンビである。
それはブードゥーの黒魔術により生まれたものでも、その他の超自然的な力で発生したものでもない。ソラニュウムというウィルスにより引き起こされる感染症である。
ソラニュウムはあらゆる生物に致命傷をもたらすウィルスだが、死後に蘇生するのは人間だけである。これこそが本物のゾンビだ。
ゾンビ映画で死者が墓場から甦るというものが時折あるが、あれは事実ではない。死体にウィルスは転移しないからだ。意図的に死体にソラニュウムを注射したとしても、血流が止まっている死体では脳にウィルスが到達しないし、そもそも死んだ細胞に対してウィルスは反応しないので、ソラニュウム以外の原因で死んだ死体が蘇生することはないのだ。
ここまで読んだあなたは「何をバカなことをまじめ面して書いているんだ」と思ったかもしれない。だがその考えは危険だ。
本書を読むと、世界各地で古くは紀元前60000年から2002年に至るまで、ゾンビが発生していたことが推測できる記録が多数残されていることがわかる。
それは日本でさえ例外ではない。日本には江戸時代に「生者一党」というゾンビ狩りの秘密結社が存在し、秘密裏に「生きる屍」の大発生を防いできたという。現在も「生者一党」が連綿と受け継がれて存在するのかどうかわからないが、江戸時代以降現在に至るまで日本でゾンビの大量発生の事例が存在していないことと関係があるかもしれない。
そう、ゾンビは映画の世界の作り話ではなく、実在する危機として我々の目の前に存在するものなのだ。
そこで本書が必要となってくる。そうでなければなぜ本書は、全世界で200万部もの大ベストセラーとなったのか。ただの与太話がそれほど売れるものだろうか?その理由をよく考えた方がいい。情報が遮断されているだけで、実はこのサバイバルガイドを必要としている人たちは世界中にかなりの数いるのかもしれない。
本書にはそのタイトルどおり、一般市民がゾンビの襲撃から生きのびるために必要なことが書かれている。
本書で具体的に学べることは次のような内容だ。
①ゾンビの性質、身体的特徴、行動パターン
②ゾンビと戦うための適切な武器、戦闘技術
③ゾンビへの攻撃法及びゾンビからの完全な防御法
④ゾンビ大発生中の逃亡法
これらについて事細かに書かれているので、よく読み、アドバイスにしたがって来る日に備えて準備をしておくことが大切だ。そう、あなたが生き残りたいならね。
武器や必要な物資の備蓄、身体を鍛えておくことなど大切なことはそれこそ山のようにあるが、その上で重要なのはゾンビの発生をより早く知ることだ。
そのためにも、ゾンビ発生の兆しを見逃さないように次のような6つの兆候に注意を払うべきであると著者は述べている。
①ヘッドショットあるいは断首による殺人
大発生の開始に直面した人間が、自分たちで大発生を解決しようとした結果、幾度も起きたことである。たいていの場合、こうした人々は当局によって殺人犯として告発、起訴されることになる。
②行方不明者、特に荒野や住人の少ない地域におけるもの
捜索チームまでもが行方不明になっていないかどうか、確認を怠ってはならない。もし事件が映像や写真付きで報道されたなら、捜索チームの装備がどれほどのものだったか見極めよ。1グループに1人以上の射撃手が帯同していたら、それはもはや単なる救助活動ではない可能性が高い。
③家族や友人に対して、武器を使わず「狂乱して暴力」をふるったという事件
襲撃者が犠牲者に噛みついた、あるいは噛みつこうとしていたかどうかも確認せよ。もしそうなら、犠牲者たちはまだ病院にいるか?犠牲者が噛みつかれて数日のうちに謎の死を遂げていないかどうか調べあげろ。
④暴動など市民による騒乱事件が、何らかの扇動や、その他、理解できる原因なしに起こったとき
一般常識から言えば、どんな市民層による暴動行為も、単純な人種間の緊張、政治行動、法の解釈の問題などの火種なしには、起こったりはしない。いわゆる「集団ヒステリー」ですら、たいがいその原因を特定できるものだ。それがわからないなら、答えは別のところに眠っているかもしれない。
⑤原因が未特定、あるいは極めて疑念が残ったりする、疾病による死亡事件
1世紀ほど前と比べ、工業化された現代においては感染病による死は稀だ。それゆえ、新たな流行病はたいていニュースで取り上げられる。正確な災害の原因が説明されないケースに目を光らせろ。また、「西ナイル熱」の流行だとか「狂牛病」災害といった疑わしい説明も警戒せよ。隠蔽工作の可能性もある。
⑥上記のいずれかについて、メディアの報道が禁じられている状況
すべての報道機関が停止してしまうようなことは、アメリカではめったに起こらない。もしそんなことが起きたなら、緊急警報が発せられたも同然と考えるべきだ。もちろん原因は生ける屍者の襲撃以外のことかもしれない。しかし、いずれにせよ政府が、我々やメディアの注目を断ち切ろうとしているなら、警戒すべきだ。ゾンビであろうがなかろうがよい状況ではありえない。
以上のような兆候に気づいたら、本書の巻末にある付録「大発生記録帳」に記録し、その後の経過も追いかけよう。
その時は意外ともう近くまできているのかもしれない。
本書のAmazonでのレビューにすらその兆候は見て取れる。
その時になって慌てなくて済むように、そしてもちろん生き残る為に、本書は一家に一冊必携の書と読んでも差し支えないだろう。懸命なるみなさんの健闘を祈る。
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