[ま]ダブルフェイス(ネタバレ無し)/西島秀俊の好演が光る見応えのあるドラマ その不条理さに泣く @kun_maa
トニー・レオンとアンディ・ラウの主演で大ヒットした香港映画「インファナル・アフェア」をTBSとWOWOWが共同でリメイクしたというドラマ「ダブルフェイス」。
ずっと気になっていたのですが、ようやくHuluで観ることができました。
原作の「インファナル・アフェア」は3部作でしたが、こちらは「潜入捜査編」と「偽装警察編」の2部構成。
僕は原作映画自体を観ていないので、とても新鮮な気持ちと先が読めないワクワク感で十分に楽しむことができました。なのでここでもネタバラシは極力避けます。
ドラマの順番としては西島秀俊演じる潜入捜査官「森屋純」が主役の「潜入捜査編」が先で香川照之演じるヤクザのスパイ警官「高山亮介」が主役の「偽装警察編」が後になります。
「雨」のシーンが効果的に使われているなっていうのが第一印象。
抑えめだけど登場人物の心情を巧く描き出している演出がいいなあって思いました。こういう映画って派手な銃撃戦があったりするんだけど、それ以外の部分でどれだけ観ている人を惹き付けられるかって重要だと思うんですよね。人間が描けていないとアクション・シーンて意味がないですもん。
<潜入捜査編>
なんといってもこのドラマの見どころは森屋純(西島秀俊)。これに尽きます。
西島秀俊はホントにかっこよかった。完全にハマり役です。男でも惚れるレベル。
潜入捜査官っていうキツくて先が見えない仕事、しかもいつバレて死ぬことになるかもしれないという極度のストレス状態に6年間も置かれている男の病んでいる姿とそれでも正義感を貫き通す強い精神力をもった男を見事に演じきっています。
細かいところを突けば、あまりに不自然なのになんで怪しまれないのとか、織田組の組長とのいきさつが描かれていないので、どうしてあそこまで信用されているのかわからないとか、精神科医の西田奈緒子(和久井映見)との関係がちょっと大雑把過ぎるだろとか、そこでヤクザが警察幹部に手を出しちゃいかんだろとかいろいろありますが、それを補って余有るほど男臭くてドキドキして切ないドラマに仕上がっています。
警察のスパイとヤクザのスパイとの攻防、組織同士の意地を掛けたやりとりという構図もなかなか渋くて僕は好きです。
恐怖と期待と裏切りとが一体となって最後まで飽きさせません。魅了されます。
このシーンを観た時にはハッピーエンドかと思たんですけどね・・・甘かった。
完全に期待を裏切られ、絶望のどん底にたたき落とされて不条理なドラマの1作目は幕を閉じます。え〜!どうなっちゃうの?って感じ。
あ、あと森屋の弟分ひろしを演じている伊藤淳史がとぼけているけど泣かせる演技で好印象です。
<偽装警察編>
西島秀俊の配役に比べると、イマイチ感が最後まで拭えなかった高山亮介(香川照之)が主役です。個人的には、もう少し悪党っぽさと哀愁が漂う俳優さんが似合う役だと思うんですが、それでもまあまあ熱演しています。
この作品でよかったのは織田組組長との出会いからをちゃんと描いていたところでしょうか。どうして、彼が神奈川県警のエリートでありながらヤクザのスパイをやっているのかがとりあえずわかります。でも、警察の身上調査って相当厳しいですからね。実際には暴力団組長に育てられた男が警察官に採用されるなんてたぶんあり得ないでしょうね。原作の香港はどうか知らんですが。
そして、前作の「潜入捜査編」に比べると人間の心情の描き方が今ひとつ雑だったかなって思います。高山と末永万里(蒼井優)との関係性がそれほど深いものには見えないし、高山の織田組に対する心情の変化も理由が強引すぎる感がたっぷりです。
それでも、やっぱり最後にドラマが引き締まったのは西島秀俊の存在かなって思います。
ホント、彼はいいですね。役がハマりすぎて、観ていて感情移入がハンパないです。
それだけに用意された幕引きはすごくショックで不条理感がたっぷり味わえました。
あまりのことに泣きそうでしたよ。
そして心に残るのは「犬はどんなにいいものを身につけても犬だ」という言葉とその意味するところの切なさです。
2014年6月22日現在、Huluで絶賛配信中なのでお見逃しなく!
もし配信が終わってたらDVDもありますよん。
インファナル・アフェア 3部作スペシャルパック (初回生産限定) [DVD]
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