[ま]あなたのお金はどこに消えた?/ゾウさんたちが繰り広げるお金と幸せの物語 @kun_maa
この物語の舞台はゾウたちが住む国のカネー村。
カネー村は、以前は炭鉱の町として栄えましたが、今ではすっかり寂れてしまっています。そんなカネー村にある儲け話が転がりこむことで、みんなが浮き足立ち、自分を見失っていきます。
お金と幸せというテーマを「カネー村」に住むゾウたちを主人公にして童話タッチで描かれた作品です。
大切なテーマを重苦しくなく軽快に読みやすく書かれているので、つい物語に引き込まれてしまいます。
登場するゾウたちに自分を重ね合わせながら、自分はどう生きたいのか、どうしたら幸せなのかを考えさせてくれます。
人間関係の中で、「自分が正しい」というエネルギーがどれだけお互いを傷つけていることか・・・という面にも目を向けさせられます。
お金に対する正しい知識は必要だし、消費に踊らされる生活はまっぴらごめんと思いつつも、物欲に悩まされ、振り回されている自分。
パン屋のナイーゾは、カネー村を覆う「ヘッジホント」という儲け話について、次のように語ります。
「どちらかというと、汗をかいてパン屋で稼いだお金のほうが、価値があるのではないかと思ってしまう。しかし、パン屋の稼ぎは金額が少ないから、やっぱりヘッジホントのほうが偉いのかもしれない。頭の悪い自分には、よくわからない。でも、そうすると、働く意味ってなんだろう?」
「本当にみんなが労働から解放されるのだろうか?それって、だれも働かない世界ができるってこと?みんな働かなくなったら困らないのかなあ?そんな世界って楽しいんだろうか?」
本当の幸せとは、お金に振り回されるのではなく、自分が社会的になんらかの価値を提供し、豊かな人間関係に包まれていることではないのかなと思わされる一冊です。
村のお金持ちの長老アルーゾの言葉も突き刺さります。
「みんなお金さえもうかればいいと考えるようになった。お金のために好きでもない仕事をするものもいる。稼ぎの悪い夫を見下すような奥さんも増えてきた。わしらの生活を便利にするはずのお金に、みんな支配されてしまったんじゃ」
お金に支配されることなく、心安らかにお互いを尊重しながら生きていきたいものです。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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