こんにちは!人との出会いは大切に @kun_maa です。
ふと友人についてしまった嘘がもとで、主人公の高校生が、東京から自宅のある熊本まで自分でも想像もしていなかった旅をすることになります。
その旅のなかで普通の人たちと出会い、その人たちの日常に触れながら、自分の生き方を見直す機会を得ていくという、優れたロードムービーを見ているかのような物語です。
予定どおりにいかないことの連続とその中で繰り返される出会いと別れ。
主人公はその出会いと別れを通して、人との出会いの大切さ、生きるための力のようなものを学んでいきます。
物語の形式をとってはいますが、この作品は「夢をかなえるゾウ」が、優れた自己啓発本であるという意味と同じ意味で間違いなく自己啓発本です。
人との出会いの大切さ、目の前のことに一生懸命取り組むことの、そして好きなものは好きと言い、自分の価値観を持って生きていくことの大切さを教えてくれる作品です。
いくつか心に残った部分を引用してみます。
「泣いても笑っても、過ぎたことを後悔しても、これからのことを不安に思っても、今日あんたが熊本に帰れないという事実は変わらないのよ。だから今を楽しむの。わかる?」
「相手が大人だろうが、先生だろうが、言いなりになって何かを手に入れようなんて思ったところで、おまえはおまえらしさを失う。そして、それによって起こることを自分のせいじゃなく、他人のせいにして生きる。わかるか?」
「あなたにとって居心地のいい場所は、まわりの人があなたに何をしてくれるかによってじゃなくて、あなたがまわりの人のために何をするかによって決まるの。家も、学校も、職場も、全部同じね」
「人間は人が喜ぶ顔を見るためだったら、お金なんてもらえなくても進んでいろんなことができるんだよ。相手が自分の愛する人ならなおのことさ。大好きな人の喜ぶ顔を見るためなら、人間はどんなことだって頑張れるようにできているんだ」
「わけもわからず、他の人が幸せやと言うてるものを追い求めたり、他人が持ってるものを手に入れようとするんが人生やないで。そんなくだらんことに人生を費やすためにおまえは生まれてきたんやない。他人のメガネはほっとけ。人が何と言おうと、自分がやりたいことは何かを考えろ。他の誰でもない、おまえの人生やろ」
途中で涙が出そうになってウルウルしたり、なるほどなあと感心したり。
人と人の出会いは偶然のように見えて、実は必然なのかもしれない。そんなことも考えたりします。
そして読後の清々しさは何ともいえないです。
たぶん、物語の形で、そしてその物語がよくできていることによってスッと受け入れられる部分が大きいと思います。
この本に書かれている自己啓発的な内容を物語の形ではなく、単なる自己啓発本として説教がましく示されたら、ちょっと鼻についてうんざりするかもしれないなと思いました。
そういう意味では、本当によくできた作品だと思います。