[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。

[ま]映画「死にぞこないの青」/残念!見るべきものは谷村美月の美しさのみ @kun_maa

映画「死にぞこないの青」を観た。

原作は乙一。主人公のマサオには「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズでおなじみの須賀健太を、青には谷村美月を配役している2008年公開の日本映画だ。

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乙一の原作は読んでいないのだが、いじめをテーマにしているらしい。

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本作においても、新任教師・羽田(城田優)によるマサオ(須賀健太)へのいじめが発端となり、次第にクラスの仲間からもいじめに遭うようになっていく様子が描かれている。

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羽田のマサオに対するいじめは陰湿で、なんの落ち度もないマサオを追い込んでいく。

しかしなんでだろう?内容は陰湿なんだけど、その「いじめ」自体がすごく軽く見えてしまう。また、羽田がマサオをいじめる動機もさっぱりわからない。まさか冒頭の、クラスの係決めの行き違い程度であそこまで目の敵にしないだろう。不自然極まりない。

そして、羽田を演じる城田優の演技もなんだかなあ・・・なのである。

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羽田という役にも行動にも現実味が感じられないのである。そう、リアルさがない。だから、物語全体も薄っぺらく見えてしまう。

これは城田優だけの責任ではなくて、マサオ役に須賀健太を起用したことも関係があると思う。彼は、この役をやるには明るすぎるというか、優等生すぎるというか、自分が置かれている不条理な状況に対する情念みたいなものがまったく欠けているように見える。

だからストーリーがまったく生きてこないし、薄っぺらくて作品に共感できない。従って、観れば観るほど作品にのめり込めなくてシラけてしまう。

青(谷村美月)がマサオの目の前に現れたときも、気持ちの揺れ動きがちっとも感じられず、演技が表面を滑って空回りしているようだった。

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青に「橋から飛び降りて死ね」と言われた時も、一応なんとなく行動には移すけど、その前提となる「いじめ」による心の葛藤や不条理感をまったく表現しきれていないから、そりゃ飛び降りるわけねーよなってシラけてしまう。

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クラスメートによるいじめもさっぱり現実味がなく、観ている者の心をまったく動かさない。不条理さもリアルさもなにもない。とにかく薄っぺらいのだ。

それは、残酷さが足りないと言い換えてもいいかもしれない。現実の世界に存在する残酷さが、フィルターでも通したかのようにきれいに抜き取られている感覚。

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プールにランドセルが捨てられていようと、多少の暴力はあろうと、どれもどこか現実感がない「いじめごっこ」を見せられているようだ。

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この作品を見る限りでは、マサオは突然、担任教師による不条理ないじめを受け、その不条理さに対抗する為にマサオの心が生み出したのが暴力的な別人格の「青」であるはず。

しかし、肝心のいじめに現実味がなく、マサオ自身も別人格を生み出さなくてはならないほど追い込まれているようにはまったく見えない。したがって、青が出現した意味がわからないのである。いや、説明はこうしてできるんだけど、登場する必然性がまったく感じられないということだ。

顔も身体も傷だらけで、皮膚は青く、拘束衣を着用している姿は、もうひとりのマサオであり、自由にならないその身体はマサオの心を表しているはずなのに...だ。

夕暮れの河原でマサオと青が次のような会話をするシーンがある。

マサオ「なに言ったって、なにしたって、何も変わらない」

青「おまえ、先生はなんでも正しいって思っているのか?大人はいつも正しくって、間違ったことをするのは子供だけなのか?自分の頭で考えろ。自分の心でちゃんと見ろ。おまえ自身の力で闘え」

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たぶん、それまでの内容に少しでもリアルさがあれば、少しでもいいからマサオに切実さの欠片でもあれば、きっと観ている者の心に響く会話だったに違いないと思う。

残念でならない。少なくとも僕の心にはまったく響かなかった。

そんな作品だから、細部の細やかさにも欠けるし、ストーリー展開もちぐはぐである。

なぜ羽田の自宅に忍び込む必要があるのか、そして羽田はそんなマサオを殺そうとまで思い詰めるのか。

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そして、マサオは青の言うとおりに羽田を殺すのか。

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こういう作品を観ていると、そんなことはもうどうでもよくなってくる。もう好きなようにエンディングまで進んじゃってくださいよって気分。

ついでに言うと、マサオが人間的に成長したようなエンディングには反吐がでた。

正直なところ、映画としては駄作である。

 

つまらない映画を観る時は、その中に少しでも楽しめる部分を探すようにしているのだが、この作品で言うと、それは谷村美月の容貌の変化である。

マサオの心の在り方を反映した姿となって現れる「青」は、最初は片目がつぶれ、口も半分縫い付けられ、身体は拘束衣で身動きがとれないという状態で現れる。

しかし、マサオの心が自由になっていく(決してそれが描かれているとは思えないが)にしたがって彼女の容貌も変化していくのである。

最後には美女の谷村美月その人が現れる。きれいな人だなああ。

まあ、特殊メイクをしている時にも美しかったけど。そうか、それもこの作品の空気から現実味を失わせていたのかもしれない。

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でも、この作品の楽しみって、きっとこの部分しかないと思う。

僕にとっては、そんな映画である。谷村美月が好きな人にはおすすめ...かな?ただし早送りに限る、なんてね。

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