ブログ「リンゴ日和」の今泉ひーたむさんの著書「あのね、わたしがねちゃってても、あとででいいからだっこして」を読んだ。
タイトルは長女のゆーちゃんが夜寝る前に妹のことをかまいがちなお母さんに向かって言った言葉である。
涙腺が弱く涙もろい僕なんて、もうこのタイトルだけでいろんな想いを感じてしまい目頭が熱くなる。おっちゃんはすぐ泣いちゃうんだから。
長女のゆーちゃん(5歳)と次女のふーちゃん(2歳)との何気ない、だけどかけがえのない日々を可愛らしいイラストとともに綴った本書には、クスッと笑わされたり思わずグッときたり、ほろりとしたりと多彩な宝石箱を覗き込むような楽しみがある。
自分の子供たちがまだ小さかった頃の出来事を思い出したりして、久しぶりにほっこりと温かいものが心の中によみがえったりもした。
そして愕然としながら思ったのだ。
僕は自分の子供たちと過ごした何気ない日常生活のほとんどを忘れてしまっているということを。
イベント的な事や印象的な出来事はかろうじて覚えてはいる、今のところは。
それでも本書に綴られているような、日常の中の子供たちの何気ない行動や表情や言葉の数々に対するその時々に感じた想いは自分が子育てをしていた頃にもきっとあったはずなのに何も覚えていないのだ。
書き綴ることで残る子育ての真っ只中の出来事とその都度感じている様々な想い。
そして子供の側に立ってみたとき、ここに綴られているような日々は大人になれば忘れてしまっているようなことばかりだろう。
自分自身を振り返っても、5歳の頃の記憶なんてほとんどないし、ましてや2歳の頃の記憶なんて...
本書を読んで子供たちの愛らしさや著者の想い、パパのさりげない奮闘や切なさを楽しみ癒されるのはもちろんなのだが、そこにはかなりのうらやましさも加わっている。
本書に登場する子供たちもすぐに大きく育ち、今と同じ日々は二度と戻らない。
あのね、わたしがねちゃってても、あとででいいからだっこして
ちょっとでもいっぱいでもいいから、あとで、だっこして
とか、
きょうだいはもういらないの...。だって、ふーちゃんのかわいさで十分なの
おかあさんのとなりでねれなくなっちゃうとイヤだもん...
とか、
へい!おっぱいよ!
ごめん!おっぱいよ!
なんて言葉たちもいつしか自然になくなってしまう。
それをこうして書き綴ることで、親にとっても子供にとってもその大切な何気ない日常生活を切り取ってしまっておけることがうらやましいのだ。僕はもう手遅れだから。
今はまだ子育て真っ最中の大変な時期なのかもしれない。
それでもいつかこの本を子供たちと一緒に開いたときにあふれ出すひとつひとつが、かけがえのない宝石のような日々の記憶があるのってすごくいいなと思う。
親にとっても子供にとっても、そういう意味では宝石箱のような大切な本なのだ。
読者である僕はそんな親子の日々を少しだけ垣間見させてもらって、ほっこりとした気持ちを分けてもらった。
そしてこれからもブログや次作を通して僕にも少しだけ優しい気持ちを思い出させてくれるとうれしい。
そんな一冊だった。
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