[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。

[ま]アメリカ最強の特殊戦闘部隊が「国家の敵」を倒すまで/ビンラディン暗殺作戦に至るまでを描く優れたノンフィクション @kun_maa

本書の著者はアメリカ海軍最強の戦闘部隊「DEVGRU」の元メンバーであり、オサマ・ビンラディン暗殺作戦「ネプチューン・スピア」ではチームリーダも務めた人物だ。 

アメリカ最強の特殊戦闘部隊が「国家の敵」を倒すまで NO EASY DAY

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本書に登場する「DEVGRU」という特殊部隊とは次のようなものである。 

ーDEVGRUー(デブグル  Development Group)

海軍特殊戦開発グループ。アメリカ海軍特殊部隊「Navy SEALs」の精鋭の中からさらに厳しい訓練によって選ばれたメンバーで構成され、対テロ戦、敵国内での秘密裏の暗殺などを主要任務とする。正式名称は、United States Naval Special Warfare Development Group 。(本書の帯の説明文を引用)

本書は個人の回想録であるとともに、すぐれたノンフィクション戦争文学作品でもある。

ノンフィクションであるが故に、安全上の問題から登場人物の名前は変えてあるし、アメリカの安全保障上問題となるような技術的なことや、進行中の作戦は伏せられている。

 

それでも、描かれている出来事はすべて著者の記憶に基づいているため、普通は窺い知ることのできない特殊部隊の訓練や生活などの内側を知ることができる貴重な作品である。

SEALs(シールズ) の名前くらいは聞いたことがあるし、映画での戦闘シーンなどはもちろん観たことがあるが、初めて聞く DEVGRU(デブグル)という最強の特殊部隊の内情や雰囲気、訓練や実戦の様子などを知ることができるという点がとても興味深い。

 

著者がえげつないくらい厳しい訓練を乗り越えて、DEVGRU のメンバーへと駆け上がっていく部分の描写は臨場感にあふれ、実戦の模様が描かれている場面では思わず引き込まれてワクワクしている自分に気づく。

恐ろしいほど厳しい訓練も、死と隣り合わせの任務も、すべてがまるでスポーツを描いているかのようにあっけらかんと、そして読む者を引き込まずにはいられない圧倒的な臨場感をもって描かれているため、彼らの任務が「人殺し」であることを忘れてしまうほどである。

そんなふうに思えてしまうのは、文章の巧みさはもちろんのこと、実際の彼らの様子がまるで、すぐれた職人のようにストイックで黙々と任務をこなしているからなのかもしれない。

 

作戦の実行には多くの人の関わりと苦労があることを十分承知し、ワシントンの政治的なしがらみと作戦決行への決断の遅さに振り回されながらも、彼らは彼らにしかできない任務を命がけで実行していく。

確かにその任務は「人殺し」であり、様々な批判もあることは承知している。

しかし本書を読むと、善悪や政治的な問題は抜きにして素直に彼らのことを「かっこいいな」って思えるし、こういう戦闘員たちの陽が当たらない地道な活躍によって保たれている平和や、人の命があることはもっと認められていいと思う。

 

思想的な立場を超えて終始臨場感にあふれ、ワクワクしながら読むことができるすぐれたノンフィクション作品であり、戦争映画が好きな人なら一気読み必至である。

特にビンラディン襲撃の「ネプチューン・スピア」作戦の描写は圧巻だ。これだけで一編の映画を観ているような錯覚に陥る。

 

エピローグで著者は次のように述べている。

おれたちはものいわぬプロでいることにずっと誇りを抱いてきたが、襲撃作戦に関する報道を見るたびに、誤解を解きたくなっていった。今日にいたるまで、ビンラディン殺害にいたる作戦の報道はどれも間違いだらけだ。内部情報と銘打っているものでさえ不正確だ。だれかが本当のことを伝えなければならないと思った。おれにいわせれば、真実を語ることは、襲撃作戦そのものより大変な作業だ。そしてなにより大事なことは、危険をいとわず、すべてを投げ出して仕事に打ち込んできた男たちに、もっと光を当てるべきだという点だ。(P.294)

この後に、政治家たちを皮肉りながらも、戦死者たちへの想いを言葉にしているんだからグッとくるじゃないか。

たとえ報われなくても自分を極限まで鍛え、命がけで任務を遂行する男たちを描いたとても魅力的なノンフィクション作品である。 

アメリカ最強の特殊戦闘部隊が「国家の敵」を倒すまで NO EASY DAY

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