前作の「マッドマックス サンダードーム」から実に30年ぶりの新作となる「マッドマックス 怒りのデス・ロード」がついに2015年6月20日公開されました。
主演のマックスを演じるのはメル・ギブソンからトム・ハーディに変わったけど、脚本・監督はこれまでと変わらずジョージ・ミラーが務めています。
そして、そこに描かれていた世界は「どうせ過去作の焼き直しみたいなもんでしょ?」って舐めていた僕の想像を大きく超えてぶっ飛んだ世界でした。いや、マジ最高です。
過去3作のマッドマックスは、どちらかというとスロースタートな作品で、冒頭はそれほど激しいシーンが登場することはなく、次第に盛り上がっていくってのが定番で、途中にも中だるみに感じられるアクション以外のシーンがけっこう挟まっているんですが、この作品は違います。
冒頭に、わずかにマックスのトラウマフラッシュバックの静かな狂気に包まれたシーンがあったかと思ったら、即終末感丸出しのヒャッハー祭りのアクション突入。
いきなり捕まったマックスは白塗りの武装集団「ウォーボーイズ」(ウォーターボーイズじゃないよ)のひとりであるニュークス(ニコラス・ホルト)への血液供給源にされて、車の前部に鎖で繋がれ磔にされる始末。
そして、ほぼ全編を通して続く激しくて大規模なカーチェイス!爆走!爆発!銃撃!やり投げ!ぐちゃぐちゃ!もうなんでもありです。
こりゃもうたまりません。マッドマックスファン感涙ものです。
だってマッドマックスの一番の魅力の部分だけで構成されているような作品なんですよ。
2時間があっという間に感じるほどに画面に魅せられます。
もう、すっげー!かっこいい!イカしてる!狂ってる!ってな平凡な言葉しか出てきません。あまりのことに言葉を失います。僕の貧弱な語彙力では表現できません。すごい作品です。
まともな車なんて1台もなく、登場するのはすべて改造車。乗り込んでいるのは異様な風体のヒャッハーな男たち。これだけでごはん3杯はいけます。
シリーズの代表作であるマッドマックス2を濃厚にして、さらにじっくり煮詰めたような作品です。
そこには過去の作品にあったような、ややコメディっぽい部分も、ティナ・ターナが見せたような人間らしさの欠片もありません。
よくぞ作品のエッセンスをここまで煮詰めたものだと感心します。
第1作目のような低予算作品からは想像もつかないほどの破壊と爆破の連続です。
あまりのうれしさに腰を振りながらウレション漏らす犬のようになってます。
ちなみに、今回の悪役のボスであるイモータン・ジョーを演じているのが第1作目で暴走族のボスであるトーカッターを演じていたヒュー・キース・バーンだと知って、もうそれだけでも感無量です。
ボスが意外とあっけなく死ぬという伝統(?)は今回もしっかり守られているので、イモータン・ジョーがどんな最後をあっけなく遂げるかご注目ください。
ストーリーを語ってしまうとあまりにも単純すぎて「えええ?」と思うのもマッドマックスらしくて好感度アップです。
過去の作品との接点はないに等しいので、前3作品を観ていなくても十分楽しめますが、過去作を知っているとショットガンの不発だったり、婆さんがショットガンを撃ったり、車の先に人間を磔にしたりといった過去作へのオマージュもきっちり入れ込んでいるところが心憎かったりもします。
タイトルはマッドマックスだけど、本当に狂っているのはマックスじゃないし、主役もマックスなのか?って個人的には思うことの多いシリーズですが、今回のマックスはなぜかすんごいトラウマに囚われていて、フラッシュバックがハンパなかったりもするので本当に「マッド」な印象が強かったです。
でも、主役としての存在感は今までの在り方を踏襲している感じで、シャーリーズ・セロン演じるフュリオサやニュークスに食われ気味なのが逆にうれしかったりします。そう、マックスはこうじゃないとダメなんだよね。百人力の無敵のヒーローではないんよ。
とにかく、まあすごい作品ですよ。
登場人物、カーアクション、爆発、終末感、狂った感覚、迫力とどれをとってもすっげーとしか言いようのないほど圧倒的な作品の存在感。
とりあえず観てくださいって感じです。それが一番いいと思います。
そして、ぜひこの火を吹くギターとドラムと大音量のスピーカーを載せたキ◯ガイのような改造車もお見逃しなく。まあ、いやでも目に入るけど。
これも客観的に見たら変だとしか思えないのに、作品中ではめちゃくちゃかっこよく感じるから不思議です。狂ってるよなあ。
マックスのトラウマの原因やフュリオサの左手が義手である理由、ウォーボーイズはなんであんな格好で死期が早いのかなど考えると気になる点はありますが、とりあえずそういうことは忘れてスカッと楽しめる迫力満点の作品です。
僕は3Dがあまり好きではないので2D作品を観ましたが、気にならない方は 3D や IMAX でご覧になるのも迫力が増しそうでいいかもしれません。
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