[ま]パチンコ「30兆円の闇」/知らないでは済まない @kun_maa
僕はパチンコ依存症だった。
仕事を休み、開店前のパチンコ屋に何度並んだことか。
1日で5万、10万つぎ込んで負ける日もあれば、5万、10万勝つ日もあった。
一番出たときで、1日に20万円ほど勝ったこともある。
その勝ちが忘れられずに、ズブズブとハマっていく。
パチンコは明らかにギャンブルである。
いわゆる「3店方式」というグレーゾーンで、警察の管理下にあるのがパチンコ業界という特殊な世界だ。
パチンコで現金が手に入らなければ、いったい誰があんなものに夢中になると言うのか。
「3店方式」と聞いても、パチンコを知らない人にはピンとこないかもしれない。
簡単にいうと、客がパチンコ屋で遊んである程度玉が出たとする。
その玉を、パチンコ屋で景品に換える。景品には2種類ある。
普通の景品と換金できる特殊景品だ。ほとんどの客は出玉を特殊景品に換える。
普通の景品に換えるのは、あまり玉くらいのものだ。
客はその特殊景品をパチンコ屋の近くに必ずある景品交換所に持っていく。
交換所は特殊景品を受け取り、客に現金を渡し、買い取った特殊景品を景品問屋に売る。
景品問屋はその特殊景品をパチンコ屋に納入する。
これがパチンコ屋、景品交換所、景品問屋の3店を回すことで客への換金を行う「3店方式」だ。
このグレーな方式で、パチンコ屋は現金を景品としてはいけない、提供した景品を買い取ってはいけないという法律の建前をくぐり抜けている。
そして、その脱法行為とも言える3店方式を裁量行政で転がしているのが、警察なのである。
パチンコ業界から警察へ流れるカネ、警察官のパチンコ業界への天下りと、業界と警察はズブズブの関係にあるという。警察による裁量行政と業界支配がパチンコ業界の闇の部分の根本原因とさえ言われている。
現在は1つの台に6万円を突っ込んでも当たらず、8万円をつぎ込んでようやく当たりが出るか出ないかといった「深い」機種が主流になった。が、1日に8万円もパチンコにつぎ込める客をまともな人とはいえない。
(中略)
パチンコは庶民の健全娯楽というが、健全娯楽として楽しむ層はとっくの昔に逃げ出している。付き合いたくとも、金銭的についていけないからだ。他方、サラ金からカネを借りてでも、売春してでも、というパチンコ依存症の重症客でさえ、もうパチンコにはついていけない。あちこちでカネを借りまくり、多重債務者になったところで、パチンコをやめないかぎり、数か月とカネは続かない。
本書では、30兆円産業とも言われるパチンコ業界の闇の部分に鋭く切り込み、なにが問題なのかを明らかにしていく。
そこにはパチンコ店の仕掛ける遠隔操作や台の改造などの不正、不正行為により儲けようとする犯罪者集団、「換金」をネタに業界を牛耳る警察、攻略法詐欺、パチンコの利権に群がるさまざまな者たちが描かれている。
財団法人社会経済生産性本部がまとめた「レジャー白書2004」によると、2003年のパチンコの市場規模は29兆6340億円。
中央競馬の年間売り上げが3兆円、競輪が1兆円、競艇が1兆1000億円、宝くじが1兆円である。パチンコ業界がどれだけ規模の大きなギャンブルの世界なのかがわかるだろう。
本書では、パチンコにまつわる様々な闇の部分を明らかにした上で、現状を変えるためには、パチンコを公然とギャンブルと認めて、適切に方の管理下(パチンコ特別法)に置くべきだと主張している。
僕もそう思う。
著者はあとがきでこう書いている。
パチンコは異常なまでに軽視されている。車や医療と肩を並べるほどの規模を持つにもかかわらず、たいていの人がわかった気になっているのか、バカにしているのか、パチンコを一顧だにしようとしない。
軽率であり、有害でもある態度と思う。日本のファンが営々と注ぎ込む年間約30兆円はそれ自体とてつもない金額である。(中略)巨大なパチンコ産業は実にオーストリア一国の経済を上回るのだ。
こうしたパチンコ産業を軽視していいはずはなく、国民経済の主要な要素としてパチンコを考えなければならない。
パチンコをやる人が読めば、自分たちがパチンコ、パチスロで遊ぶということがどういう意味をもつのかがわかり、たぶんやる気をなくすだろう。
パチンコをやらない人は、想像以上に巨大なパチンコ産業について認識を新たにすることだろう。
いずれにしても、自分は関係ない、知らないでは済まないことは理解できると思う。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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