[ま]映画「96時間(Taken)」/娘のためならエッフェル塔も壊すというリーアム・ニーソンに泣ける @kun_maa
2008年のフランス映画。製作・脚本にはあのリュック・ベッソンも名を連ねています。
元CIA工作員のブライアン(リーアム・ニーソン)は娘のキムのために仕事を引退し、今は離婚して別のリッチな男と再婚した妻レノーアとともに暮らす娘の近くに住み、娘と会うことだけが生きがいのような生活をおくっています。
キムの17歳の誕生パーティーにプレゼントを持参したブライアンですが、元妻からは冷たくあしらわれ、娘からはプレゼントに贈ったカラオケマシーン(子供の頃に歌手になるのが夢だったからというだけの理由で)を一応喜ばれたものの、その直後に現在の養父から馬を贈られて、ブライアンのカラオケマシーンを放り出して馬に大喜びのキム。
その後の友達とのパリ旅行の話の際も、子供たちだけで行くことの危険性を説いて反対したことから、キムにすっかり嫌われてしまいます。
っていうか、この娘のブライアンに対する表面的な態度がけっこう鼻について、そんな娘の態度を見透かしているようでも、一生懸命娘に好かれようと努力しているブライアンがかわいそうで泣けてきます。家庭を顧みなかった親父の悲哀と後悔と娘への愛情をひしひしと感じさせるところはリーアム・ニーソンの演技力の凄さでしょう。
あろうことかブライアンの心配どおりパリに着いた途端に、アルバニアの人身売買組織に友人とともに誘拐されるキム。話が出来すぎだろ!とか思っても言わないのが約束。
キムが拉致される瞬間まで、偶然電話で話していたブライアンはすかさず会話を録音し、娘の携帯電話を拾い上げた誘拐犯とも直接話します。
そんなの普通の親父ならビビって喚き立てるか娘の命乞いすることしかできませんよね。でも、ブライアンは違います。そのときのセリフがすごいんですよ。
お前が誰だか知らん お前の狙いも 身代金が目的ならカネなどない だが 俺には非常に特殊な能力がある 長年の仕事で身につけた ー お前らを震え上がらせる能力だ 娘を解放するなら 見逃そう お前を捜すことも追跡もしない だが解放しないなら お前を捜し ー 必ず見つけ出す そして お前を殺す
こんなセリフ、どれだけ修羅場を越えてきたら言えるんだよって思いますよね。これは、観客にこいつはただの引退した工作員じゃないって思わせるのに十分で、かっこよすぎるセリフです。
当然わずかな手がかりから友人の元CIA工作員サムの協力も得て、相手の組織を瞬時に割り出します。そして、無事に救出するためには誘拐から96時間以内に取り戻さなければならないことも。
ここからのブライアンの行動はすごいです。とても娘にカラオケマシーンを贈ってがっかりされるようなダメお父さんとは思えないほどの緻密な推理と計算づくの行動力を見せつけます。
あっという間に、娘と娘の友人にパリの空港で声をかけてきた男を割り出し、追跡するも男はトラックに轢かれて事故死。
CIA時代の友人でもあり、フランスの諜報機関に勤めるジャン=クロードに協力を依頼するも断られ、なぜかフランス諜報機関の監視下に。
ジャン=クロードに協力を断られたときのブライアンのセリフにもシビレます。
ジャン=クロード:パリでムチャなマネは許さん
ブライアン:必要ならエッフェル塔も壊す
唯一の手がかりの男に死なれ、友人からは協力を断られ、なかなか上手くいかないもんだなって思わせながらも、この人CIAじゃなくて特殊部隊にでもいたんじゃないの?ってなくらいのランボーちっくな活躍を見せてあっという間に、誘拐組織のボスの元までたどり着きます。まあ、このあたりのご都合主義にも目をつぶりましょう。そんなことよりも、ブライアンの活躍に刮目すべきです。
自分の娘を無事に救出するという目的のために、ブライアンは残虐行為や人殺しになんの躊躇もありません。
フランスの諜報機関とアルバニアの人身売買組織との関係に気づいたブライアンは、ジャン=クロードに情報を吐かせるために、彼の妻を彼の目の前で銃で撃ちます。殺しはしなかったものの、友人の妻ですよ。その妻とも面識があったみたいだし。それでもなんの躊躇もなく撃ちました。
目的のためには手段を選ばないブライアンの通ったあとには、死体の山が築かれていきます。人身売買組織もとんでもない男の娘を誘拐してしまったものです。
ブライアンの目的はとにかく娘を救出することなので、他の被害者を助けたり、関係ない人々を巻き込まないようになどという配慮も皆無です。もうやりたい放題。
娘のためならエッフェル塔も壊すと言い切る男の潔さに、観ている僕までカタルシスを感じます。リーアム・ニーソンすごいです。エッフェル塔は壊さなかったけどね。
それでも、やっぱりブライアンは哀しいんです。
命がけで娘を救出し、そのときは大喜びされても日常に戻れば、娘は何をしてくれたわけでもない養父や母親と抱き合い、彼らとの生活に戻っていくんだから。
僕は泣きましたよ。彼の心中を深読みしすぎて。彼に共感しすぎて。
だから、最後に待っていたシーンでは本当にホッとしたなあ。
キレッキレのアクションと容赦ない暴力にスカッとして、不器用な親父の愛情に涙し、それが報われるんじゃないかと思わせて終わるとてもいい作品でした。
こういう親父にホント憧れます。
身体鍛えて格闘技と銃の扱いをマスターしようかなって思うんですよね。← なんか間違ってる。
このブログを気に入っていただけたら、ちょくちょくのぞきに来ていただけるとうれしいです。そして、とっても励みになります。
RSS登録していただける方はこちらのボタンをご利用ください。