[ま]読書の技法/入門書と言いつつこれはなかなかマネできない @kun_maa
月平均300冊、多い月は500冊以上の本を読むという佐藤優流読書法の入門書である。
ただし、これだけの本を読むということは、全ての本を熟読しているわけではない。
そんなことをしていたら、月に300冊など読めるわけがない。
著者もこのように書いている。
「熟読できる本の数は限られている」というのは、読書の技法を考えるうえでの大原則である。読書に慣れている人でも、専門書ならば300ページ程度の本を1ヶ月に3〜4冊しか熟読できない。(中略)重要なのはどうしても読まなくてはならない本を絞り込み、それ以外については速読することである」(P.26)
「もっとも速読する場合も、その本に書かれている内容についての基礎知識がなければ、そもそも読書にならず、指で本のページをめくっているにすぎない。そういう指の運動を速読とは言わない。逆に基礎知識が身についているならば、既知の部分を何度読んでも時間の無駄だ。新たな本を読むとき既知の内容に関する部分は読み飛ばし、未知の内容を丁寧に読む。このように速読を行うことによって時間をかなり圧縮することができる」(P.27)
具体的に著者は、最初と最後、目次以外はひたすらページをめくる「超速読」で読むべき本と読むべき箇所を決め、速読あるいは熟読を行うという読書法を実践している。
そして効率的な読書ノートによって、その読書法を補完していくのである。
ただし、この読書法を実践するためには、自分がその読書から何を学ぼうとしているのかという明確な目的意識と、高校程度の基礎知識が必要である。
それらがなければ、読書という名の指の運動に成り下がる。
本書では、「超速読」「速読」「熟読」などの読書法に加えて、記憶を定着させるための読書ノートの作り方、必要とされる基礎知識の欠損部分の補い方についても丁寧に説明をしている。
佐藤流の読書法で必要とされる基礎知識は、熟読によってしか身につけることはできない。そして、人生の長さを考えれば熟読できる本の数は限られている。
高校生レベルの基礎知識の必要性と身につけ方、限られた時間のなかで何をしないか、何を読まないかを選択することの大切さを知ることができるおもしろい本である。
表紙には「超入門」の文字があったが、マネをするのはなかなか大変なことだなあと感じた。
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