[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。

[ま]アナタはなぜチェックリストを使わないのか? @kun_maa

こんにちは!嫌になるくらい物忘れがひどい @kun_maa です。
 
あなたは、「あっ!しまった忘れてた!」とか何かを忘れたことさえ忘れていることはありませんか?
 
僕はあります。
いまは休職中ということもあって、特に複雑な生活はしていないのですが、それでも外出するときに、自分の頭だけに頼ると必ず忘れ物をします。
 
買い物をしようとしてレジに並んでから財布がないことに気がついたり、喫茶店で煙草を吸いながら本でも読もうと思ったら、本も煙草もなかったりorz
 
郵送しようと思って鞄に入れた封筒をそのまま家に持ち帰り、寝る直前に思い出したり。数え上げればキリがありません。
 
「アナタはなぜチェックリストを使わないのか?」

 
 
僕のような忘れ物だけなら、自分ではショックですが人が死んだり、事故が起きたり、商売が失敗するという大きな影響がでるわけではありません。
 
しかし、世の中には手術、ビルの建設、飛行機のフライト、災害への対処法など、単純なミスによって人命が失われたり、大惨事を引き起こしたり、大きな被害を及ぼすことがあります。
 
どのような分野でも、事故防止のために細心の注意を払い、改善の努力を続けていますが、それにも限界があります。
 
どのようにミスを減らし、不測の事態に対応していくことができるのか。
 
その答えを求めて、ジャーナリストで医師でもある著者が、航空機の専門家、医師、料理人、経営者、建築家、投資家などの専門家たちにインタビューをし、さまざまな事例を考察しながら得た答えが、「アナタはなぜチェックリストを使わないのか?」なのです。
 
著者は研修医時代に読んで以来ずっと印象に残っているという人間が失敗を犯す原因についての文章を次のように紹介しています。

彼らはどうして私たち人間は失敗してしまうのかについて考えた。二人によれば、多くの場合は「無理」が原因だ。私たちは、この世界の大部分を理解することも、それに対して影響を及ぼすこともできない。科学技術の助けを借りても、私たちの肉体と精神には限界がある。人間は全知でも全能でもないので、どうしても無理なこともあるのだ。
一方で、高層ビルの建設、大雪の予知、心筋梗塞や刺し傷の患者の治療など、私たちができることもたくさんある。そして私たちが何かをできる領域では、失敗の原因は二つだけだ、とゴロビッツとマッキンタイアは言う。
一つ目が「無知」である。科学は発達したが、わかっているのはまだほんの一部分だ。
(中略)二つ目が「無能」だ。正しい知識はあるのだが、それを正しく活用できない場合を指す。 P.17

その上で著者は、我々が急速に知識を得たことで「無能」は「無知」に負けないくらい重要な問題となっていると述べています。
 
「無能」の解消が、個人の技術の不足にあるのならば、訓練と練習を徹底することで解決できるはずです。
 
しかし、多くの分野ではすでにそのようなトレーニングに関する時間は長く濃密になっており、個人の技量は優れているにもかかわらずミスが頻繁に起こるようになっているのです。
 
我々は膨大な知識を蓄積し、長期間訓練され、素晴らしい成果を上げてきてもいる一方で、ノウハウや知識を使いこなせず、防ぐことのできる失敗も頻繁に起きています。
このことについて、著者は次のように述べます。

知識の量と複雑性は、一個人が安全かつ確実に活用できる範囲を超えてしまったのだ。知識は私たちを助ける一方で、同時に重荷にもなっている。これが私たちが現在置かれている状況だ。
ということは、これらの失敗を防ぐには別のやり方が必要なのだ。私たちの経験と知識を有効活用しつつ、人間の限界を補ってくれるようなやり方が。(中略)
長い時間をかけて高度な技術と知識を身につけた人たちからすれば、馬鹿馬鹿しく思えるかもしれない。
そう、チェックリストだ。 P.22

 
要するに、複雑化した現代に生きる私たちは、もはや個人の能力や研鑽だけではミスをなくすことはできない。だから、今までのやり方を見直し、チェックリストを試してみるべきなのだというのが、本書の要点なのです。
 
したがって、本書はチェックリスト活用術といったようなノウハウ本ではありません。
 
前述したように、さまざまな専門家たちへのインタビューや実例から、建築家、投資家、パイロットなどが実際にチェックリストを活用して多大な成果をあげているにも関わらず、なかなか社会(特に自分が属する医療界)に浸透しないチェックリストについて、多くの実験結果や事例を積み上げていきます。
 

そして、チェックリストを有効に使うことで、複雑きわまりない事態に対処するためのチームワークと規律が醸成され、単純なミスを確実に減らすことになるというのが著者がたどり着いた意見です。

 
でも、僕も仕事でたくさんのチェックリストを使ったことがありますが、正直めんどくさいって思っちゃうんですよね。
 
僕が目にしてきたチェックリストは、項目が多くて、誰が、いつ、どのように使うのかが明確でなかったように思います。
 
だから、「この忙しいときにチェックリストなんかやってられるかよ」ってないがしろにしていました。
 
著者に言わせれば、これはチェックリストのつくり方が間違っているんです。

悪いチェックリストというのは曖昧でわかりにくい。長すぎて使いにくく、実用に適さない。現場を知らないデスクワーカーによって作られる。彼らはチェックリストを使う人たちは馬鹿だと思い込んでいるから、全ての手順を細かく書き出そうとする。脳を活性化させるのではなく、眠らせてしまうようようなチェックリストを作ってしまう。
一方、良いチェックリストは明確だ。効率的で、的確で、どんな厳しい状況でも簡単に使える。全てを説明しようとはせず、重要な手順だけを忘れないようにさせる。なにより実用的であることが良いチェックリストの条件だ。 P.139

そして、そのような良いチェックリストに対する使う側の信頼も必要だと言います。
 
どんなによいチェックリストを作っても、ただ渡しただけでは誰も使ってくれません。
チェックリストが、使う者から信頼されていなければならないのです。
 
本書には、良いチェックリストを作るためのポイントや、そのチェックリストがどのように信頼を得るか、そして信頼されたチェックポイントがどれだけ多くの危機を回避したかなど、さまざまなヒントが載っています。
 
つまらない忘れ物から、複雑な仕事でのミスまで、自分の脳だけに頼ってひたすらがんばるのはもうやめて、チェックリストを活用してみませんか?
 
その有効性に疑問を感じている人、良いチェックリストとはどんなものなのか興味がある人などにオススメの良い本です。
 
また、読み物としても大変おもしろいと思いました。

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...

このブログは毎日更新しています。
もし気に入っていただけたらGoogleReaderへの登録もよろしくお願いします。
f:id:kun-maa:20120324190736g:plain Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...