[ま]ぷるんにー!(พรุ่งนี้)

ぷるんにー(พรุ่งนี้)とはタイ語で「明日」。好きなタイやタイ料理、本や映画、ラーメン・つけ麺、お菓子のレビュー、スターバックスやタリーズなどのカフェネタからモレスキンやほぼ日手帳、アプリ紹介など書いています。明日はきっといいことある。

[ま]映画「プリズナーズ」(ネタバレなし)/ヒュー・ジャックマンとジェイク・ギレンホール共演の秀逸なミステリーだけど... @kun_maa

2014年5月日本公開のアメリカ映画。

ヒュー・ジャックマンジェイク・ギレンホールの有名どころふたりが共演。

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娘を誘拐された父親が容疑者を捕らえ、常軌を逸した方法で娘を助けようとする問題作としても話題になった作品である。

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ストーリーは公式サイトから引用してみよう。

平穏な家庭を突如襲った少女失踪事件。

これは、父親ならば当然の"愛"なのか?モラルを越えた"狂気"なのか?

ペンシルヴェニア州で小さな工務店を営むケラー(ヒュー・ジャックマン)の幸せに満ちた日常は、何の前触れもなく暗転した。

感謝祭の日、6歳の娘アナがひとつ年上の親友と一緒に外出したまま、忽然と消えてしまったのだ。まもなく警察は青年アレックス(ポール・ダノ)を容疑者として拘束するが、自白も物証も得られず2日後に釈放。

刑事ロキ(ジェイク・ギレンホール)の生ぬるい対応に不満を隠せないケラーは、アレックスがふと漏らしたひと言から、彼が犯人だと確信し、自らの手で口を割らせようとする。最愛の娘を取り戻したい一心で、法律とモラルの一線を踏み越えていく父親。

粘り強い捜査によって、新たな容疑者の存在を突き止めていく刑事。

もがけばもがくほど混迷が深まるこの難事件の背後には、想像を絶する闇が広がっていた...。(映画「プリズナーズ」公式サイトより引用)

愛する娘のためならば、私的制裁も許されるのかという点ばかりが宣伝ではクローズアップされ、冷静さを失い暴走する父親の狂気をヒュー・ジャックマンが名演しているらしいということから、観る前はアメリカ映画にありふれた感もある「自分の家族にゃ指一本触れさせないぜ!」っていう マッチョで脳天気な作品ではないかと思っていた。

その考えは、冒頭部分を観た段階でも変わらなかった。

ヒュー・ジャックマン演じるケラーは、息子に鹿狩りを教える銃社会の住人であり、敬虔なキリスト教徒でもあり、最悪の事態が起きた時には自らの力で生き延びる備えをしているといういわゆるPrepper(プレッパー)と呼ばれるいかにもなアメリカ人である。

そして、映し出される絵に描いたように幸せそうな家族。

ああ、こりゃ予想通り平凡なマッチョでバイオレンスな作品なのかなって思うよね。

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ところが、いい意味で僕の予想は裏切られた。

ブチ切れて常軌を逸していくケラーに対して、熱い心を隠し持ちながらもあくまでも冷静に、そして粘り強く捜査を進めていくジェイク・ギレンホール演じるロキ刑事。

対照的な二人の行動と、どんどん深まっていく謎。本当に最初の容疑者アレックスは犯人ではないのか、それとも彼は嘘をついているのか。行方不明の娘たちは無事なのか、それとも...。

そしていったい誰が真犯人なのか。

この作品は決してマッチョで脳天気なバイオレンス映画なんかではなかった。

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数多くの伏線が張られており、それが後半で破綻なくつながっていくミステリー作品としてのおもしろさは秀逸である。ちゃんと細部にまで計算されつくした作品なのである。

二転三転するストーリー展開のおもしろさ。派手さはないけど、じっくりと作り込んでいることがわかる。

そして巧みにカモフラージュされつつも、実は次第にキリスト教的背景がぷんぷんしてくる作品だということもわかってくる。

僕はこういう宗教がらみっぽいのが見えてしまう作品はちょっと苦手なのだが、この作品はミステリーとしての出来が悪くないので許せるかなって感じ。思いっきり上から目線でごめんなさい。

それは、観客が引くほど残虐な行為に手を染めながらも信仰心を失うことのないケラーと、ある出来事を境に信仰心を失って悪魔的な行為へと進んでいった真犯人との対比で表現されている。そう、敬虔なクリスチャンと悪魔の対決のようである。

そして、その信仰心の対決は事件の解決へと結びつくことはない。

それはつまり、神は信者を救ってくれないし、自分の力を頼りに最悪の事態に備えているはずのPrepper(プレッパー)も自分たちを救うことはできないということを主張しているのではないかと思うのは考えすぎだろうか。

最終的に何もかも解決し、人々を救ったのはさりげなく何度も登場させて入念にアピールしているフリーメイソンを表す指輪と、その持ち主である。

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この作品は、上質なミステリーであると同時に、極めて宗教的で陰謀論までをも巻き込んでいるという意味で問題作なのだと思う。

見方によっては、この世界の秩序を守り、みんなを救うのはキリスト教でもPrepper(プレッパー)でもなく、冷静沈着なフリーメイソンであるというプロパガンダ映画とも言えるのだから。

それに比べたら、ケラー(ヒュー・ジャックマン)の残虐行為など実は問題ではなく、キリスト教的なものを表現するための小道具の一つに過ぎないのだ。考えすぎだろうか。

まあ、そんな余計なことは考えずに、素直にミステリーとして観て楽しんだ方がいいのかもしれない。宣伝が推すように娘に対する親の愛情の力をテーマにしてね。

ただ、ここで触れた程度のことは頭に入れてから観たほうが楽しめることも確かである。


『プリズナーズ』予告編 - YouTube

 

 

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[ま]園子温監督作品「ヒミズ」の主人公「住田」のように愛されたい/二階堂ふみが切なくも美しかった @kun_maa

2012年1月公開の日本映画。園子温監督作品の「ヒミズ」を観ました。

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人気コミックを原作とする作品らしいのですが、僕は原作を読んでいません。基本的に原作がある作品は、原作とは別物と考えていますので原作のあるなしはあまり僕の中では意味をもちません。だって原作と比べてどうかよりも、目の前の作品をどう感じたかが大切でしょ。

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園子温作品の常連である役者たちは、この作品にも出演しています。

吹越満黒沢あすか、でんでん、渡辺哲、そして監督の奧さんでもある神楽坂恵と。何れ劣らぬ個性派ぞろいですが、今作では完全に主役の2人に呑まれてやや霞んでいます。

特にこれまで大胆な演技で僕を魅了してきた神楽坂恵のあまりにも抑えた普通の演技にはがっかり...っていうか巨乳をまったく活かしていないっていうのはどういうことだと監督を呼んで説教したい( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン

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すいません。つい巨乳絡みになると取り乱してしまいます。

ということで、この作品ではエロは無しです。しつこいようですが、黒沢あすかの妖艶な演技も神楽坂恵の巨乳も登場しません。

登場するのは、普通の大人になりたいと願いながらもその生活環境はまったく普通とは程遠い15歳の中学生住田祐一(染谷将太)とその住田に憧れて恋い焦がれる同級生の茶沢景子(二階堂ふみ)の普通じゃない日常です。

住田の家は貸しボート屋をやっていますが、母親は酒浸りで男を家に連れ込んだり外泊したり。祐一の面倒なんて見る気もなくやがて男と蒸発します。

父親はたまに家に現れては金の無心をし、祐一には殴る蹴るの暴力を振るい「お前なんか本当にいらないんだ。川で溺れた時に死んでくれれば保険金が手に入ったのに」と繰り返し言う最低のクソ親父です。

そして家の敷地内には3.11の震災で全てを失った被災者たちを住まわせているという、かなり変わった環境に暮らす中学3年生の祐一は、しかし「普通」の大人になりボート屋を継ぐことを願っています。すでにスタート地点が普通じゃないのに。

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一方、そんな住田祐一に恋する同級生の茶沢景子はかなり祐一に夢中で、ほとんどストーカーと化していますが、その一途で曇りのない愛情表現がとても切なく愛おしいです。

演じている二階堂ふみという女優を僕は初めて知ったのですが、若い頃の宮崎あおいを思い出させるルックスとその全力で体当たりをするような演技が、とても切なくて胸を打ちます。惚れてしまいます。彼女が住田を愛するように、一途に僕も愛されたいって本気で思いました。

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そんな彼女も、家庭内は実はボロボロ。住田ほどではないにしても、父親は浮気で家出中のようだし、母親はそのためか精神を病んでいるようで彼女に平気で死ねといいます。この作品に登場する親にまともな奴はいません。どんだけ最低で救いがないんだよって思います。救いがない最低の世界を描かせたら園子温監督の右に出る人はいないのではないでしょうか。

わずかな希望すら見えない世界で、それでも絶望を表に出さずに淡々と生きようとする住田と彼を必死に支えようとする茶沢。そして、そんなふたりをあたたかく見守り、未来を託そうとする被災者たち。

常連の俳優たちに加えて、ちょい役で吉高由里子が出ていたり、クズ役で窪塚洋介、最低のクズ親父役で三石研などが出演していて、なかなかいい演技を見せてくれます。

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そして、そんな最低だけど底辺で落ち着いている状態の日常にもやがて破綻が訪れます。

15歳の少年にとってはあまりにも過酷で辛い人生です。彼の望む「普通」は最初から彼の生活には存在せず、そしてさらに手の届かないところへと去っていきます。

絶望の暗闇をのたうち回り、苦悩しながら這いつくばって、さらなる絶望へと歩もうとする住田とそれを必死で止めようとする茶沢。なんかもう、おっちゃん切なくて切なくて何度も泣いてしまいましたよ。

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家庭環境にまったく恵まれない少年と愛情に飢えてその愛の全てを少年に捧げる少女。

周囲の大人が全員クソまみれに見えて、彼らがあまりにも切なくて、救いがなくて。気がつくと頬を伝う涙、涙。なんてこの世は最低なんだって。

そして、結末は...ネタバレきらいなので明かしません。

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作品中で、茶沢が住田に教えたヴィヨンの詩が、この作品を表すのにとても効果的に使われています。そして印象に焼き付きます。

ヴィヨンの「雑詩」の中の「軽口のバラード」という詩の一節のようです。

俺にはわかる

ミルクの中にいる蝿、その白と黒はよくわかる

俺にもわかる 俺にはわかる

どんな人かは、着ているものでわかる

それくらい俺にもわかる

天気が良いか悪いかもわかる 

俺にはわかる リンゴの木を見ればリンゴだってわかる

それくらいわかる

働き者か怠け者かもわかる なんだってわかる

自分のこと以外なら

そう、みんな自分のこと以外ならわかるんです。自分のことが一番わかっていない。そんなことを考えさせられながら、「普通」ってなんだろうねえとか、やっぱり二階堂ふみはいい女優さんだなあとかいろいろ考えちゃいました。

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園子温作品って、見終わった後の心の整理が大変なんだよね。でも大好きです。 

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[ま]映画「スライディング・ドア」/パラレワールドで描く切ないラブストーリーとグウィネス・パルトロウの美しさに魅せられる作品 @kun_maa

1998年公開の英・米合作映画。

主演は2013年のアメリカPeople誌が選ぶ「最も美しい人」にも選ばれたグウィネス・パルトロウです。彼女は1972年生まれだから今年で42歳。本作公開当時は26歳でした。

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それにしてもグウィネス・パルトロウは美しい。美しすぎますよ。ハートをわしづかみにされます。それだと死んじゃいますね。

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広告代理店勤務のヘレン(グウィネス・パルトロウ)は作家志望の恋人ジェリーと同棲中。ある日、会議に遅刻していくと幹部が大事にとっておいたウォッカを勝手に飲んでしまったことがバレてその場でクビに。英国ってそんなことでクビになっちゃうんですね。

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最悪の気分で部屋に戻ろうとすると、地下鉄のドアが目の前で閉まってしまいます。

この瞬間にパラレルワールドが出現。地下鉄に乗れたヘレンと、乗れなかったヘレンの物語が平行して進んでいくことになります。

そう、もしあのとき◯◯できていたら...を実現してくれるラブストーリーなのです。

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僕たちが「あのとき◯◯できていたら...」と思う時って、たいていの場合、現状に満足していなくて、もうひとつの選択肢を選べていたらきっとすばらしいことが待っていたに違いないってときだと思うのですが、この作品を観るとそんなこともないんだよなって気持ちになります。どちらに進んでも、自分が抱えている問題は自分で解決するしかないんですよね。

この作品におけるヘレンの場合の問題は、恋人ジェリーとの関係です。

地下鉄に間に合ったヘレンは、早く部屋に帰れたのでジェリーの浮気現場に遭遇します。

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一方、地下鉄に乗れなかったヘレンはその直後に起きた地下鉄の脱線事故でタクシーで帰宅せざるを得なくなり、そのタクシーを止める際にひったくり強盗に遭って怪我をしたために治療でさらに帰宅が遅れて、ジェリーの浮気現場には遭遇しなくてすみます。

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でも、どちらにしてもジェリーが浮気をしているという事実に変わりはなく、早く気がつくか先送りされたかの違いに過ぎません。パラレルワールドは別に片方が天国でもう片方が地獄というわけではないのですから。

片方のヘレンはジェリーに未練を残しながらも、髪をバッサリと切り、新しい生活を始めます。

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一方、もうひとりのヘレンは心の片隅でジェリーの浮気を疑いながらも、慣れないウェイトレスやサンドイッチ屋でのアルバイトでジェリーとの生活を支えます。

作品を観ている方からすると、何も知らずに健気に働くこちらのヘレンの方がかわいそうに見えます。

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自分で始めた会社の最初の仕事も成功し、新しい恋人も現れて幸せが訪れたように見える地下鉄に乗れた方のヘレン。

まあ、そのまま幸せになれるわけもないような伏線は張られているわけですが。

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一方で、ジェリーの浮気への疑惑を深めながらも彼との生活を捨てきれず、その生活には徐々にジェリーの浮気相手の影が現れ始める地下鉄に乗れなかった方のヘレン。

表面上は、一見穏やかで平和に見えながらも何の問題解決もされないまま徐々に破綻への道を進み始めています。

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それまでバラバラに進んでいるかのように見えた2人のパラレルワールドがある時点で交錯したとき、奇妙な事態がそれぞれのヘレンに起こります。

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そして、その時からそれぞれの世界で共通のある出来事を抱えながらヘレンの2つの世界はクライマックスへと突き進んでいきます。

このあたりのそれぞれの世界の描き方は本当にすばらしいです。

それぞれのヘレンが進む運命は別々の道を進むけれど、それはどちらが幸せで、どちらが不幸せかなんてことは最後の最後まで誰にもわからないことだし、そもそもそんなものを比べること自体がナンセンスであることをこの作品は僕たちに伝えてくれています。

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グウィネス・パルトロウはこんなに美しいのに、なんて男運がないのだろうとヤキモキし、ジェリーの優柔不断さやヘレンの新しい恋人ジェームズも加えた身勝手さに「男ってホントにバカだよなあ」って共感しつつも呆れてみたり。

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ついにお互いの世界で迎えたそれぞれのヘレンの人生最大の転機。

それをきっかけにして、パラレルワールドがふたたびひとつになろうと動きだしたとき、その結末と作品のセンスの良さを感じずにはいられませんでした。

パラレルワールドを通して描かれた切ないラブストーリーであり、グウィネス・パルトロウの魅力満載の作品です。

最後まで楽しめて、観終わったあとの余韻も心地いいです。

そして、男性はたぶん、おそらく、きっとグウィネス・パルトロウに惚れてしまいます。僕はもちろん惚れました。確かに美しい人だけどそれだけじゃない魅力にあふれた女優だと思います。

この作品はiTunesやDVDでも鑑賞できますが、Huluでは2014年10月20日現在配信中なので、Huluの会員はこちらがお得です。 

スライディング・ドア(字幕版)

スライディング・ドア(字幕版)

  • ピーター・ホーウィット
  • Romance
  • ¥1000

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[ま]映画「私がクマにキレた理由(わけ)」/スカーレット・ヨハンソンがすげー可愛いけどそれだけじゃない良作品 @kun_maa

2007年公開のアメリカ映画。原作はアメリカのベストセラー小説「ティファニーで子育てを」ってことですが、原作のことは何も知りません。日本でも売れたんでしょうか?

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主演は(僕の)スカーレット・ヨハンソン。クールでセクシーでかっこいい女性のイメージだった彼女が、この作品ではすごく可愛い女性を演じています。

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邦題だけを見ると、なんの映画なのかさっぱりわかりませんね。

原題は「The Nanny Diaries」です。Nannyとは乳母とか子守りの意味。原作の小説は、マンハッタンの上流階級家庭に雇われた子守りの女性から見た、彼らの子育ての様子を描いているようです。

映画においてそういった設定は活かされていて、主人公である大学を卒業したばかりのアニー(スカーレット・ヨハンソン)が、金融業界の採用面接で自分について問われ、何も語ることができなかったことから途方に暮れてしまいます。それは、親の期待に応えて自分の目的もなく勉強に励んできたから。

そして偶然の出来事からマンハッタンの上流家庭に子守りとして雇われることになり、自分探しも兼ねて住み込みの子守り(ナニー)として働くことにします。

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最初は子守りなんて楽でいい給料がもらえて、おまけに自分探しのための猶予期間にもなるとして、気軽に考えていたアニーですが、現実はそんなに甘いものではありません。

雇い主はわがままで自分勝手。子供のことはアニーに任せっきりで慈善活動だ、エステだ、パーティーだと家にもロクにいません。そのくせ子守りの行動にはうるさくて、アニーの前の子守りは1回男とデートをしただけでクビになったといいます。

ひとり息子のグレイヤー(ニコラス・アート)も最初はアニーに懐かず反抗してばかり。

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こうして、書いているとなんか悲惨な子守りの物語のように見えるかもしれませんが、そんな状況でもスカーレット・ヨハンソンは明るく可愛いんです。そして、基本的にストーリーはコメディタッチなので暗い雰囲気になるということはありません。

最初こそ反抗的だったグレイヤーも、親に全く甘えられない寂しさからかすぐにアニーに懐いていきます。

しかし、グレイヤーがうらやましい。あんな金持ちの息子で、子守りがスカーレット・ヨハンソンってどれだけ贅沢なんだよ!ヾ(・・;)ォィォィ

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物語は、お金持ちだけど不倫状態の夫とそれに薄々気がついているけど今の生活が捨てられなくて他の活動などで不満を解消している妻の様子や夫婦の争いの様子、その他の上流家庭やそこで雇われている他の子守りたちの様子なども描きながら進んでいきます。

アニーの視点から見て描かれているので、ちょっと昔のドラマ「家政婦は見た」をおしゃれにしてアメリカ版にした感じ。

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家政婦仲間との会話もおもしろいけど、その中にさりげなく上流家庭の子育てに対する問題点や、子守りという仕事を選ばざるを得ない貧困層の問題なども紛れ込ませてあって、いろいろ考えさせられます。

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ほんの腰掛けのつもりで始めた子守りの仕事なのに、雇い主の妻やグレイヤーのことが心配でやめると言い出せないアニー。

恋愛禁止を破ることになる素敵な男との出会いや、金融業界に就職したと嘘をついたままの母親との関係なども織り交ぜながら、彼女の成長の物語は時に考えさせられ、時に笑わされながらあっという間にクライマックスへと進んで行きます。

雇い主からは行動を疑われ始め、その夫からはセクハラを受けます。なんか予想どおりの展開にちょっと鼻白んだけど。そりゃスカーレット・ヨハンソンみたいな女性がひとつ屋根の下にいたら手を出したくなる夫の気持ちもわからなくは■━⊂( ・∀・)彡ガッ☆`Д゚)

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そして突然のクビ宣告。あんなにこの家族とグレイヤーのために尽くしたのになあ。観ていた僕も腹が立ちましたよ。この雇い主のあまりの自分勝手さに。

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別荘をひとり追い出されて、タクシーとフェリーでマンハッタンへと帰らされるアニー。いつでも大人の勝手な都合に振り回されて悲しい想いをするのは子供です。突然の別れに泣いて追いすがるグレイヤー。ちょっとウルっときました。

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フェリーの中で、アニーは最後の給料だと渡された封筒を開けて、あまりの金額の低さについにキレます。

マンハッタンの家に着くと、ナニーカメラ(子守りの様子をビデオに撮るための隠しカメラ)の在処を探して部屋を荒し回り、ついにテディベアの中にカメラを発見します。

そう、これが邦題の元になっているんですね。

まさかここまで来てそれがわかるとは( ̄□ ̄;)!!

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この後は、雇い主に対する罵詈雑言を最後のメッセージとしてカメラに向ってぶちまけようとするアニー。いったいどうなってしまうんだろう?って心配になります。

でも、そこには意外な結末が。

このシーンで僕は泣いてしまいました。それまでグレイヤーとの別れのシーン以外はほとんど笑っていたのにさ。

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そして、アニーの恋や自分探しの結末の方はどうなるのか。ぜひ作品を直接見て確かめてください。

最後まで楽しめるとてもいい作品でした。もちろん一番の見どころはスカーレット・ヨハンソンなんだけどさ。でも、それだけではない中身もいい作品でした。

 

しかし、この作品のスカーレット・ヨハンソンは可愛すぎます。

彼女に対するイメージがちょっと変わりますね。

She is verrrrry cuuuuuute!!!! ☆⌒ヾ(*゚∀゚)ノヒャッホォ-ゥ♪

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ちゃんとお父さんのためのサービスシーンもありますた( ̄m ̄*)

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私がクマにキレた理由(わけ)[字幕版]

私がクマにキレた理由(わけ)[字幕版]

  • シャリ・スプリンガー・バーマン & ロバート・プルチーニ
  • Drama

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[ま]映画「死にぞこないの青」/残念!見るべきものは谷村美月の美しさのみ @kun_maa

映画「死にぞこないの青」を観た。

原作は乙一。主人公のマサオには「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズでおなじみの須賀健太を、青には谷村美月を配役している2008年公開の日本映画だ。

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乙一の原作は読んでいないのだが、いじめをテーマにしているらしい。

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本作においても、新任教師・羽田(城田優)によるマサオ(須賀健太)へのいじめが発端となり、次第にクラスの仲間からもいじめに遭うようになっていく様子が描かれている。

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羽田のマサオに対するいじめは陰湿で、なんの落ち度もないマサオを追い込んでいく。

しかしなんでだろう?内容は陰湿なんだけど、その「いじめ」自体がすごく軽く見えてしまう。また、羽田がマサオをいじめる動機もさっぱりわからない。まさか冒頭の、クラスの係決めの行き違い程度であそこまで目の敵にしないだろう。不自然極まりない。

そして、羽田を演じる城田優の演技もなんだかなあ・・・なのである。

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羽田という役にも行動にも現実味が感じられないのである。そう、リアルさがない。だから、物語全体も薄っぺらく見えてしまう。

これは城田優だけの責任ではなくて、マサオ役に須賀健太を起用したことも関係があると思う。彼は、この役をやるには明るすぎるというか、優等生すぎるというか、自分が置かれている不条理な状況に対する情念みたいなものがまったく欠けているように見える。

だからストーリーがまったく生きてこないし、薄っぺらくて作品に共感できない。従って、観れば観るほど作品にのめり込めなくてシラけてしまう。

青(谷村美月)がマサオの目の前に現れたときも、気持ちの揺れ動きがちっとも感じられず、演技が表面を滑って空回りしているようだった。

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青に「橋から飛び降りて死ね」と言われた時も、一応なんとなく行動には移すけど、その前提となる「いじめ」による心の葛藤や不条理感をまったく表現しきれていないから、そりゃ飛び降りるわけねーよなってシラけてしまう。

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クラスメートによるいじめもさっぱり現実味がなく、観ている者の心をまったく動かさない。不条理さもリアルさもなにもない。とにかく薄っぺらいのだ。

それは、残酷さが足りないと言い換えてもいいかもしれない。現実の世界に存在する残酷さが、フィルターでも通したかのようにきれいに抜き取られている感覚。

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プールにランドセルが捨てられていようと、多少の暴力はあろうと、どれもどこか現実感がない「いじめごっこ」を見せられているようだ。

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この作品を見る限りでは、マサオは突然、担任教師による不条理ないじめを受け、その不条理さに対抗する為にマサオの心が生み出したのが暴力的な別人格の「青」であるはず。

しかし、肝心のいじめに現実味がなく、マサオ自身も別人格を生み出さなくてはならないほど追い込まれているようにはまったく見えない。したがって、青が出現した意味がわからないのである。いや、説明はこうしてできるんだけど、登場する必然性がまったく感じられないということだ。

顔も身体も傷だらけで、皮膚は青く、拘束衣を着用している姿は、もうひとりのマサオであり、自由にならないその身体はマサオの心を表しているはずなのに...だ。

夕暮れの河原でマサオと青が次のような会話をするシーンがある。

マサオ「なに言ったって、なにしたって、何も変わらない」

青「おまえ、先生はなんでも正しいって思っているのか?大人はいつも正しくって、間違ったことをするのは子供だけなのか?自分の頭で考えろ。自分の心でちゃんと見ろ。おまえ自身の力で闘え」

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たぶん、それまでの内容に少しでもリアルさがあれば、少しでもいいからマサオに切実さの欠片でもあれば、きっと観ている者の心に響く会話だったに違いないと思う。

残念でならない。少なくとも僕の心にはまったく響かなかった。

そんな作品だから、細部の細やかさにも欠けるし、ストーリー展開もちぐはぐである。

なぜ羽田の自宅に忍び込む必要があるのか、そして羽田はそんなマサオを殺そうとまで思い詰めるのか。

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そして、マサオは青の言うとおりに羽田を殺すのか。

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こういう作品を観ていると、そんなことはもうどうでもよくなってくる。もう好きなようにエンディングまで進んじゃってくださいよって気分。

ついでに言うと、マサオが人間的に成長したようなエンディングには反吐がでた。

正直なところ、映画としては駄作である。

 

つまらない映画を観る時は、その中に少しでも楽しめる部分を探すようにしているのだが、この作品で言うと、それは谷村美月の容貌の変化である。

マサオの心の在り方を反映した姿となって現れる「青」は、最初は片目がつぶれ、口も半分縫い付けられ、身体は拘束衣で身動きがとれないという状態で現れる。

しかし、マサオの心が自由になっていく(決してそれが描かれているとは思えないが)にしたがって彼女の容貌も変化していくのである。

最後には美女の谷村美月その人が現れる。きれいな人だなああ。

まあ、特殊メイクをしている時にも美しかったけど。そうか、それもこの作品の空気から現実味を失わせていたのかもしれない。

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でも、この作品の楽しみって、きっとこの部分しかないと思う。

僕にとっては、そんな映画である。谷村美月が好きな人にはおすすめ...かな?ただし早送りに限る、なんてね。

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[ま]映画「猿の惑星 新世紀(ライジング)/猿も人類も等しく愚かでリーダーの苦悩は続く @kun_maa

2014年9月19日から公開されている「猿の惑星 新世紀(ライジング)」(原題:Dawn of the Planet of the Apes )を観てきた。

前作「猿の惑星:創世記ジェネシス)」から10年後の世界を描いた作品であり、予告編がYouTubeで公開されるたびに楽しみにしていた作品である。

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今更書くまでもないことかもしれないが、本作は1968年の「猿の惑星」(2001年に公開された「PLANET OF THE APES/猿の惑星」も含むのかな?)の前日潭にあたる作品である猿の惑星:創世記ジェネシス)」の続編であるため、地球が猿に支配される未来という結末は決まっていることである。

だから、どのような過程を経て猿の支配が始まっていくのかを描き出していくところが、ある意味で見どころの作品と言える。

そういう観点からは、本作は十分に期待に応えている作品であるとともに、原題のタイトルどおり、猿の惑星の夜明けであり、人類と猿の争いの始まりを描くにふさわしい作品だった。さらに、何といっても映像の美しさやストーリーの良さも含めて、すばらしいエンターテイメント作品なのである。

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前作から10年後のサンフランシスコを舞台にした本作では、前作に引き続き、進化した猿たちをリーダーとして率いるのはシーザー(アンディ・サーキス)である。

山奥に自分たちのコロニーをつくり平和に暮らしている。

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作品の冒頭では人類が猿インフルエンザによって絶滅の危機に瀕していく過程の概略が、報道映像のように淡々と流されるが、本編に入ると猿たちの生活だけが描かれている状態が15分程度続く。そう、すでに人間はこの作品の主人公ではなく、最初の方は猿たちしか出てこないのだ。

シーザーとオランウータンのモーリスとの雑談の中で、前回、前々回の冬の間に人間の姿を見ていないから、もう人類は絶滅したのではないかという話が出てくるだけである。

そんな猿たちの平和な生活の均衡が崩れるのは、ダムの発電設備を復旧させるために森の中に入り込んだマルコム(ジェイソン・クラーク)たちとの偶然の出会いと発砲事件の発生からである。

本当は猿も人間たちもそれぞれ平和に暮らしたいのに、次第に崩れていく理想の暮らし。

人間とは争わず、共存することで大切な「家」「家族」「未来」と仲間たちを守りたい一心のシーザーと、人間との共存を快く思わないコバ(トビー・ケベル)を中心とする一部の猿たち。そしてコバの持つ人間への恨みはやがて、猿の組織内での権力闘争と汚い破壊工作や暗殺へと繋がっていく。

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本作品におけるテーマは「愚かな人類に対して優れた猿」という進化した猿の優生思想を具体化したとも言える「猿は猿を殺さない」という言葉と、その言葉の持つ力の崩壊にあるのではないかと感じた。

平和から争いへ。信頼から裏切りへ。忠誠から嫉妬へ。いとも簡単に変わってしまう感情の動きは人間だけではなく、進化した猿たちにも当然存在するのである。

人類は人類同士で殺し合いをするが、進化した猿たちは絶対にお互い殺し合わないという決まりというか、スローガンというか、いわゆる「掟」みたいなものがあるのだが、その点において猿たちは、人類よりも優れているというというのが猿たちを束ねるリーダーとしてのシーザーの心の拠り所となっていた。

しかし、本作でシーザーはその心の拠り所を失うことになる。自分の考えの甘さに打ちのめされるのである。

猿同士がお互いを信頼できていれば、そしてその信頼を基に、人類との共存を模索していれば、あるいは悲劇は防げていたかもしれない。

進化するほど、人間に近づき、悪い面まで似てしてしまうというのか。猿たちの姿は人間社会への痛烈な皮肉にも見える。

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結局、猿も人類も同じだったとつぶやくシーザーの背中が小さく見え、リーダーの苦悩が垣間見えるシーンはとても切なく、人類と猿との戦争を避けることができなくなってしまったことをマルコムに詫びるシーンでは涙がこぼれた。

猿たちも人類も等しく愚かである。

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この作品で描かれる人間は少ない。猿に襲われて逃げ惑う姿がほとんどで、生活レベルも今ひとつはっきりしないし、舞台となったサンフランシスコのコロニーの様子くらいしか見えてこない。

したがって、絶滅しかけているという人類全体の状況や、アメリカ国内の状況ですらさっぱりわからない。こんなところからも、すでに主役は人類ではなく猿たちであることが垣間見える。

何度も共存のチャンスがありながらも、ことごとくボタンの掛け違いが起こり、お互いの信頼を築くことができなかった人類と猿たち。

自らが率いる猿たちに対する理想像は崩れ、猿たちの本性を見限り、人類との共存も諦めたシーザーはどこへ向うというのか。もはや全面戦争は避けられないのか。

猿と人類の新しい時代への夜明けは、この作品で確かに迎えた。

そして、これからの展開をさらに期待させてくれる「猿の惑星 新世紀(ライジング)」であった。

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