昔の彼女から久しぶりにLINEがきた。
娘が日本に来ているんだけど風邪をひいてしまって一緒に遊びに行けないのだと愚痴る内容で不機嫌な彼女のマスク姿の写真ときれいな娘の写真が追加で送られてきた。
彼女の娘はとある航空会社の客室乗務員をやっていて時々日本に遊びに来るのだ。
以前は「娘が日本に来ているんだけど美味しいもの食べさせたいから少しお金を送ってよ」という連絡がくることが多かったのだけど最近はそういうカツアゲ的なのはなくて報告だけなので安心して既読にできる。
彼女と同棲していた頃、彼女の娘は彼女の両親とタイに住んでいた。
僕も何回か一緒にタイに行き彼女の家に泊まって家族でいろいろ遊びに行ったものだ。
だからこの娘のことはよく知っている。
幼い頃は会うたびにお小遣いをあげたものだが今は本当きれいになっちゃって元カノにそっくりになってきたので僕もびっくりだ。
なんていうの?義理の娘的な感じ。
今は外国人の彼氏がいて僕も写真では彼のことを知っているのだけどイケメンでやっぱり僕としてはちょっとお父さん的気分は否めなかったりする。
だけどせっかく中東系の航空会社のCAなのだから石油王でも捕まえて僕にも一枚噛ませて欲しいものだと腹黒いことを時々思っている←
そんな将来性のある娘がいる(おい!)元彼女からつき合っているときにもらった金のネックレスを僕は今でも仕事に行くときは毎日身につけている。
タイのお守り好きの僕のために「いいお守りをつけるのに使ってね」と彼女がタイで買ってくれたものだ。
タイでの金取引は街中にたくさんある「金行」で手軽にできる。
扱われているのは日本でよくアクセサリーなどに使われる18金ではなくて24金(23金という話もある)だ。
純度が高い。いわゆる純金。
取引にはバーツ(1バーツ=15.16グラム)という単位が使われている。
僕のは3バーツ(45.48グラム)で同じく金で作ったケースに入れたタイのお守りが繋がっている。
重さを測ったらネックレスだけでざっくり49グラムと表示されたけど少しお守りの重さ入ってると思う。
当時の日本での金相場の平均が1,619円/gだったから45.48グラムを掛けると約8万円だった(実際の金額は覚えてない)。
その後の金相場の高騰などもあって2018年9月25日の金の買取価格は4,651円/gだから45.48グラムを掛けると約21万円と約2.6倍の価値となっている。
そりゃびっくりだ。もっと金のネックレスを貰っておけばよかっ( ‘д‘⊂彡☆))Д´) パーン
あの頃の彼女の優しい気持ちがこもった金のネックレス。
お金がなくて彼女が自分のロレックスを質入れした時も、別れた後で生活が苦しくて僕に小遣いをねだってきた時も、このネックレスを売れとは決して言わなかった彼女のことをちゃんと覚えている。
だからどんなに金相場が高騰しても生活に困ったとしてもこれだけは手放さない。
彼女の優しさを思い出させる金のネックレスを毎日心臓の上に感じながら僕はあの頃よりも少しはマシな人間になろうと優しい人間になろうと諦めずにもがいている。
ある日突然石油王から招待されてオイルマネーの恩恵のもと熱帯の陽射しに目を細めながら高級コンドミニアムのテラスで海を目の前にして遅い朝食をのんびりと味わっている妄想に時々包まれながら。