[ま]傷つけられた方は忘れない @kun_maa
傷つけた方はその出来事や言動を忘れちゃうけど傷つけられた方は忘れないなんて聞くじゃないですか。
あれって本当だよなって。
そもそも傷つけた方は自分が相手を傷つけたってことに全く気がついてなかったりそこまで傷ついているとは思わなかったりするから余計始末が悪かったりして。
傷つけられた方はその出来事や言動に執着して繰り返し思い出すことで不幸になっていきそのことでさらに相手を恨んでまた執着してっていう不幸のループにはまり込んでいる人も見受けられたりする。
だからといって傷つけた人は悪くないとか傷つけられた方にも悪いところがあるとかって話にはならないんだけどね。
たとえ許せなかったとしても忘れる力って必要だよねって思うことはある。
自分の名前を名乗らず聞いても教えてくれない人から電話がかかってきたんだ。
その人はある人物の行方を探していてさ。
なんでかっていうとある時期に彼はその探している人物から酷い嫌がらせ(本人談)を受けてとても心が傷ついたんだって。
そしてそのせいでそれ以来何をやっても上手くいかなくて自分の人生をダメにしたその人物をどうしても許せないって思っている。
だからその後のその人物の職歴を調べてどうやら僕が現在勤めている職場にたどり着いたらしい。
詳しい経緯は教えてもらえなかったからどの程度の確信があって電話してきたのかはわからないままだけど。
ちなみに当該人物は現在僕の職場にいなかった。
その人物の年齢や出来事が何年前なのかといったことを確認すると会社の規定では定年退職の年齢をとっくに過ぎていることがわかった。
過去にいたかどうかそして現在はどうしているかなどの情報は個人情報なのでお伝えできない旨を丁寧に説明してなんとかお引取り願ったものの全然納得していない様子なのでまた電話がかかってくるかもしれない。
それにしても彼がひどく傷つけられたと主張する出来事は30年以上も前の出来事なのだ。
何度も何度もその当時のことやその後の不運を話す彼は支離滅裂なところもあって素人の判断でも精神を病んでいると思われた。
それでもこの人はそんなに長い間その人物に対する恨みつらみを持ち続け反芻することで増幅させてきたんだなって思って切なくなった。
そんなことでと言ったらきっと怒られると思うけどそんなことに執着するあまり自分の人生を無駄にしてきたんだなって思えてしまった。
僕が体験したわけでもなく人によって感受性も違うのでそこまで執着するような出来事だったのかどうかなんてことはもちろん判断できないんだけどそれにしても...だ。
もし彼がその恨みや辛い体験を忘れて前に進むことができていたならもっと違った人生を歩むことができたのかもしれないのにって。
他人がそう思っても簡単に忘れらることじゃないのかもしれないけどさ。
僕にだって傷つけられて忘れられないことなんていくつもあるし今でもかなり鮮烈に何度も思い返されるのはうつ病になったときの一部の人たちの言動だったりしてその人物のことを思い出すと気分が悪くなって血の気が引くからあまり偉そうなことは言えない。
全く執着していないかっていうとそんなことはないのだから。
彼の電話を受けた後からどうにも気持ちが引きずられてしまって悲しくなっている。
許すことはできないとしても傷つけられたことに執着して心を囚われてしまったら負けなんじゃないかと思えてしまうんだ。
負けって表現が正しいのかどうか自分自身まだ消化できていなくてしっくりとした言葉を探しているのだけど。