[ま]ぼくらはみんなハゲている(藤田慎一 著)/ハゲ問題の深淵を覗く良書 @kun_maa
フジテレビ系ドキュメント番組でオンエアされて大反響を呼んだという「ぼくらはみんなハゲている」という番組に追加取材を行い書籍化したものが本書だ。
著者の藤田慎一氏はテレビディレクターである。
彼がなぜこの番組のディレクターに選ばれたかというと理由はただひとつ、藤田氏が「ハゲだから」。思わず笑ってしまったがよく考えればひどい話だ。
本書と同名の番組名だって相当ひどい。
だって「ぼくらはみんなハゲている」って、ハゲている人が制作しているから許されるけど髪フッサフサの人がディレクターだったら相当反感を買うレベルだと思う。
幸いなことに僕自身はまったくハゲる気配がない。あ、今ハゲに喧嘩を売ってしまったような気がするが悪気はないのでご容赦を。
それにしても「ハゲ」が抱える悩みの深さがここまでとは本書を読むまで思っていなかった。ハーゲンダッツを短くして気軽に「ハゲ」って呼んでいてゴメンなさいという気持ちになった。
まあさっきからなんだかんだで「ハゲ」を連発しているので反省していると言っても信じてはもらえないだろうが。
それにしてもすごい本である。
僕がさっきから「ハゲ」を連発しているといってもこんなものは可愛いものである。
本書では「ハゲ」という単語が1ページにいったい何回出てきたことか。
ハゲの苦悩は人類の誕生とともに生まれたと言っても過言ではないという。
果たしてハゲとは病なのだろうか。
ハゲゆく自分の頭と戦う人、カツラを被ってハゲという状態からさよならする人、毛髪関連産業の餌食となる人。それぞれ様々な方法でハゲに向き合う人たちが登場するとともに毛髪関連産業の闇に包まれた深淵も覗かせてくれるとても興味深い本だった。
そこで元に戻ってハゲとは果たして治療すべき「病」なのだろうか。本書はそんな疑問を読者に投げかける。
作られた或いは煽られたコンプレックスをカネに変えようとするビジネスの罠にハマらないためにも、ハゲゆくことをはじめとして完全ではない自分を丸ごと受け止めて許して生きていくことの大切さについて考えさせられる一冊である。
タイトルはアレだが中身はとても真面目なドキュメンタリーなのである。
現在進行形でハゲている人にもそうではない人にもそしてまた様々なコンプレックスをお持ちの方々にもオススメの良本だった。
このブログを気に入っていただけたら、ちょくちょくのぞきに来ていただけるとうれしいです。そして、とっても励みになります。
RSS登録していただける方はこちらのボタンをご利用ください。