[ま]父と酒を飲む/そのきっかけと両親との時間 @kun_maa
僕の父は今年80歳になった。
3年前から父母の誕生日と父の日、母の日には贈り物をするようになった。
それまでの僕は本当に親不孝者でいつも心配ばかりかけてきたというのに、初任給は自分のためだけに使い切ったし、これまで両親にプレゼントを贈るなんて考えたこともなかった。
そんな僕を見かねて「もっと両親を大切にしなさい」と彼女に言われたから3年前から渋々始めた年に2回ずつのプレゼントだが思いのほか喜ぶ両親を見ていると、もしかしたらずっとこういう僕の行動を待ち望んでいたのかもしれないなって思う。
昨日は誕生日に贈ったいも焼酎の「魔王」を父親と飲んだ。
僕の父はいつも仕事が忙しくて子供の頃にはほとんど一緒に遊んだり話をしたりした記憶がない。僕が成人してからも親の相手をするのはめんどくさいって思っていたからロクに飲んだりしたこともなかったんだ。
毎年2回のプレゼントを父の好きな焼酎にしてからようやく一緒に飲むようになって、昔の仕事の苦労話などを懐かしそうに話す父の酔った姿を目にするようになった。
昨日も終始ご機嫌で昔話をする父の姿を見ながら、自分の知らない父の一面をあらためて知ることができるという楽しみと、もっと早くこうしていればよかったという悔恨の後ろめたさを感じながらも楽しい時間を過ごした。
最初に書いたように僕の父はもう80歳だ。59歳の時に胃癌を患って胃の3分の2を切除しているのだが、そんなことを全く感じさせない健康体である。それでも残された時間はそれほど多くはないだろう。
こうしてあと何回一緒に楽しく飲めるのかと思うと本気で過去の自分を叱り飛ばしたい気持ちになる。なんでもっと一緒にこういう時間を持とうとしなかったのか。そして親不孝な僕を叱ってくれた彼女に感謝してもしきれない。
終始上機嫌で若い頃の話をする父の姿を見て、こんなに楽しそうな父の姿を見るのはこうして一緒に酒を酌み交わしている時だけだなって思った。
同席していた母が「お父さんは本当にうれしいんだよ」とポツリと呟く。
死ぬときは寝たきりになんてならないでポックり逝ってくれよという僕に「ばかやろー」と言いながらうれしそうに笑う父の顔を見ていると、すっかり遅くなってしまったけれど、これからはできるだけ一緒に飲む時間を持とうかなんて柄にもないことを考えている自分に気がつく。
もっともっと自分の知らない父を聞かせて欲しいと思う。そういえば母の若い頃のことも僕はほとんど何も知らない。母は酒をほとんど飲まないのだが今度は母とも酒を酌み交わしてみようか。
僕はこんな歳になるまで親とそんな時間を過ごさずに来たことを正直後悔している。
僕がどんなに自分勝手な行動をしても、病気で潰れて最悪の状態の時も常に温かく見守ってきてれた両親に対してやっと少しずつ恩返しをはじめられたのかもしれない。
そして僕にそんな両親との時間を作るように本気で叱ってくれた彼女にも感謝している。そしてつい先日別れてしまった彼女にできることなら伝えたい。
ちゃんと君に言われたとおり両親に贈り物をして一緒の時間を持つようにしているし、これからも続けるよって。
それでも人生は続く...
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