緻密な心理描写とグロい残酷シーンの描き方が秀逸な人気コミック「ミュージアム」の実写版映画を観た。
僕が原作を読んだのは1年以上も前。
恥ずかしながらストーリーの大事な部分がすっかり忘却の彼方にあったため、ところどころ「ああ!」って記憶をかすめる部分があったものの概ね制作側の思う壺な観方ができたのではないかと思う。
映画を観終わった後でどうしても気になり原作を読み返した。僕はとてもものぐさなので、いつもは漫画や小説が原作の映画を観終わった後に決してそんなことはしない。
夢中で読んだはずの原作の内容をほとんど忘れてしまっていたことへの悔しさと映画自体の魅力に触発されたようだ。
原作を再読して思ったことは、あの作品をこれほど原作に忠実なストーリー展開で実写で描くなんてすごいなってこと。作品の持つ空気みたいなものまですっかり取り込んでいる。
そして原作に忠実でありながら、それでもなおひとつの独立した作品として圧倒的な存在感を出すことに成功した大友啓史監督の手腕と小栗旬の熱演にあらためてすっげーなーって鼓動が速まり体温が上がる感覚がした。
もともと僕が小栗旬のファンであることとは関係なく心底そう感じた。なんかこんな書き方をすると言い訳がましく感じるかもしれないけど本当にそうなんだ。
ある事件に関連した人々を雨の降る日に残忍な方法で私刑にする連続猟奇殺人犯「カエル男」と、彼を追う沢村刑事(小栗旬)を中心にストーリーは展開する。原作で感じたスピード感と異常性、最悪な展開を想像させる有名なシーンも含めて、その圧倒的な映像に引き込まれていく。
原作をよく知っている人はある意味でドキドキ感を損なわれるかもしれない。だがそれを差し引いても原作の持つ雰囲気をどのように実写で描いているのかという好奇心と小栗旬の痛々しいまでの体当たりの演技に魅了されるはずだ。
まして原作を知らない人ならなおさらのこと、最悪の結末を想像しながら緊張感が途切れることなく作品世界に浸れることだろう。
サイコスリラー作品なのでこれ以上ストーリーに踏み込むことはしないが、カエル男をあるイケメン俳優が演じていることが公開前に明らかになったことでも話題になっていたらしい。らしいというのは僕がそのことを全く知らなかったからだ。
実は鑑賞中も全然気づかずにエンドロールでその俳優の名前があって驚いた。一体どこにいたのかと。もちろん映画のチラシにもその俳優の名前は書かれていない。
これから観る人は事前に調べたりせずに一体あれは誰なんだろうと暴く気持ちで観た方が「え?カエル男って◯◯だったのか!」という驚きも加わって楽しみも増すはずである。
原作をよく知るコアなファンにも、全く知らないけどサイコスリラー作品は好きという人、もちろん小栗旬のファンの方にもオススメしたい作品だ。
個人的には最後の件りだけは余計な気がしたけどね。あれがなければホント最高だったと思う。ああ、ストーリーにこれ以上踏み込まないと宣言しながら余計なことを書いてしまったか...
このブログを気に入っていただけたら、ちょくちょくのぞきに来ていただけるとうれしいです。そして、とっても励みになります。
RSS登録していただける方はこちらのボタンをご利用ください。