次のようなアンケート結果があるそうです。
これはアメリカで90歳以上の老人に聞いたもので、次のような質問でした。
「90年の人生を振り返って唯一後悔していることはなんですか?」
そしてこれに対する答えの9割が同じ答えだったそうです。
それは「もっと冒険しておけばよかった」というものです。
そこで本書は読者に問いかけます。
このままの生き方が続いたら5年後、あなたはどうなっているでしょうか?
このままの生き方が10年続いたらどうでしょうか?
このままの人生を過ごしたら、人生の最期の瞬間に後悔することになりませんか?
と。
どういうわけか、僕も含めて人は「自分だけは死なない」と思っています。
いや、誰もが必ず死ぬことは知っているわけですから、正確には「自分だけはすぐには死なない」という意味ですけど。
いつか死ぬ身であるということをしっかりと心に留めたときに、人は自分の人生に対する本当の気持ちを取り戻すといいます。
かの有名な哲学者ハイデッガーも次のような名言を残しています。
「人はいつか必ず死ぬということを思い知らなければ、生きているということを実感することもできない」と。
人々が、自分だけはすぐには関係無いと思い、そして忌み嫌っている「死」を意識することこそが「生」を完全燃焼させるための最高の「スイッチ」にできるのだと著者は書いています。
僕もその意見に賛成です。
いつ死ぬかわからないからこそ、日々を無駄にせず懸命に生きようと思うのではないでしょうか。永遠の命なんてクソ喰らえです。
死を思い知らないで生きるとは、未来のユートピアを描いた作品で永遠の命に倦む人々のように、そして銀河鉄道999で機械人間が生に対して傲慢であったように「生」を蔑ろにしてしまうと思うのです。
本書では27の質問を読者に投げかけることで、読者を「死」と向き合わせ、本当の自分に気づかせることが目的です。
それは例えば次のような質問です。
「あと何回桜を見られるだろう?」「これだけは失いたくないものベスト5は?」「いま抱えている悩みは、たとえ人生最後の日であっても、深刻ですか?」「『いつかやる』。あなたの『いつか』はいつですか?」「あなたが生きることで、幸せになる人はいますか?」「なんのために、この命を使いたい?」「半年後に死ぬとしたら、今の仕事をやめる?」「なにもかも大丈夫だとしたら、ほんとうは、どうしたい?」などなど。
そして、この質問には実際に自分で行ってみるワークが付いているものがあり、それもちゃんと取り組んでみないといけません。頭の中で考えているだけではなく、しっかりと自分の言葉として認識することは非常に大切です。
そしてすべての質問に対して自分なりの回答を考え、すべてのワークに取り組んでみたとき、自分だけは「死」とは関係ないと思ってしまう心に終止符を打つことができ、僕たちはもっと自由に自分の人生を生きることができるのかもしれません。
著者は「あとがき」で次のように述べています。
あなたはいま生きている。それ以上の奇跡などありません。
いつか死ぬ身であることを心の深くに刻めば、今日という1日がいかに可能性にあふれ、うれしく、ありがたく、いつにもまして輝きはじめることに気づくでしょう。
そう、いま生きていることが奇跡なのです。いつ終わるかは誰にもわからない「命」を慈しむために、それが有限であることを意識し、「死」が突然訪れる可能性を常に心に留めながら生きていければきっと死ぬときに後悔することなんてなくなるんじゃないかなあくらいには影響をうけました。
なんていえばいいのか、心が軽くなります。
生きることに疲れた時にも効き目ありな、ちょっと元気がもらえる一冊です。
- 作者: ひすいこたろう
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