[ま]映画「トランセンデンス」/愛する人をどこまで信じることができるのかそしてジョニー・デップはすばらしい @kun_maa
ジョニー・デップ主演、人工知能の脅威を描いたSF大作と言われている「トランセンデンス」を観てきました。
そもそも「トランセンデンス(TRANSCENDENCE)」とは何かというと”超越”って意味らしいです。一般には「シンギュラリティ」と呼ばれるもので、意志を持った人工知能が人類の知性を超えてしまう現象のことを指します。「シンギュラリティ」も知らんけど。
タイトルがその現象の名前となっていることからわかるとおり、人工知能の研究をしている科学者夫妻であるウィル(ジョニー・デップ)とエヴリン(レベッカ・ホール)が主役の映画です。
人工知能の進化に脅威を抱くテロリストグループによって、放射性物質ポロニウム(ロシアの元諜報部員やアラファトの暗殺に使われたことで有名ですね)を体内に埋め込まれてしまったウィル。残された数日の命を妻と過ごそうとするウィルですが、妻のエヴリンは諦めません。ウィルが生きているうちにその意識を研究中のスーパーコンピュータにインストールして彼を生かす道を選びます。
身体を失い、意識だけの存在としてコンピュータの中に生きるウィル。そう、まさに意志を持った人工知能の誕生です。彼はインターネットに繋がることで世界中の情報・技術を吸収し、自分自身を究極の形態へと進化させていきます。だって自分でプログラミングできちゃうんだもん最強だよね。
ウィルの進化と彼の生み出すテクノロジーの発展を喜ぶとともに、ウィルに対して次第に不安を感じていくエヴリン。
ナノテクノロジーを駆使した再生医療技術により、人間の障害の治療はおろか身体改造や意識の同化など明らかに人類の知性を超え、一見不穏な雰囲気(世界征服的なやつね)を漂わせるウィルにFBIや友人の研究者、テロリストたちは脅威を感じて、一致協力してウィルの破壊が計画されます。
軍も加わった攻撃を受けるもその驚異的な人類を圧倒する力で抵抗するウィル。
果たして人類とウィルの対決の結末は・・・。ウィルの真の狙いとはなんなのか。
ざっくりとしたストーリーはこんな感じです。
コンピュータや再生医療、ナノテクノロジーのシーンはとてもきれいだし、映像的にもいろいろと楽しめました。さすが製作総指揮がインセプションのクリストファー・ノーランです。お金も100億円かかってます。ビッグです。
ストーリーは、ウィルが人類の知性を超えて世界を征服するのではないかという展開の割にはスピード感が無くて、やや中だるみを感じる部分はありましたが、最後まで退屈せずに楽しめました。
そして中だるみに感じた部分も、観終わってみれば「ああ、そういうことだったのか」と納得します。
今日(2014年6月28日)から公開の映画なのでネタバラシはしません。
そして、僕はこういう風に感じたというだけで「いやいや、それは違うでしょ」という意見も当然あると思いますが、この作品は人工知能の脅威を描いたSF作品という派手な構図を利用しながらも「愛」をテーマにした作品なんですよ。
登場するシーンはバリバリSFです。見応えもあります。でも、本質のテーマは「愛」。
だからこそ、途中のややスピード感にかけるシーンも実は重要だったり、ウィルの真意が明かされたときに、劇中で繰り返し聞かされる「人間は未知のことに恐怖を感じるものだ」という言い回しに込められた意味に気づいてハッとなるのです。
この作品で問われているのは、人工知能が人間の知性を超えたときに人間に対して牙を剥くのか否かという命題ではなく、愛する人をどこまで信じることができるのかというテーマなんだと思います。
ちょっと取っ付き難いタイトルだし、先に公開されたアメリカでの評判があまりよろしくないようですが、僕はとてもおもしろい作品だと思います。
ストレートにSFサスペンスだけの作品だったら、ここまではおもしろさを感じなかったかもしれません。せいぜい「うぉー!すっげー!」ってな感じでしょう。
でもそこに「愛」の物語が込められているところに、この作品の奥深さを感じるのです。ええ、ちょっと泣きましたとも。涙もろいものですから。
そして、ジョニー・デップの抑え気味の演技がいいんだなあ。
ちょっとキレ気味の役もおもしろいけど、こういう落ち着いた哀愁を感じさせる役でこそ彼のすばらしさが生きてくると思うんですけどね。どうでしょう?
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